シーフな魔術師

極楽とんぼ

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卒業後

937 星暦557年 黄の月 3日 新しい伝手

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「久しぶりだな」
突然来たのだが、あっさりゼブに会えた。

暇なのかね~。
まあ、組織のトップが日常の仕事に忙しすぎて落ち着いて考える時間や突発的な出来事に対応する時間がないって言うのは不味いと思うけどさ。
俺って別に『突発的な出来事』という程ではない。

多分書類作業とかに飽きていて、丁度いい気分転換になると思って直ぐに会うっていったんだろうなぁ。

「久しぶり。
最近はどうだ?」
今日は特に変な影響を受けている様子はないし、入ってくる途中で見た組織の人間もごく普通な様子だった。

前回来た時は偶々何か闘争中かその前の下準備中だったのかね?

「お蔭さまで、平和だぜ。
お前さんの国の方こそ、最近かなり派手に裏側の業者を色々と摘発しているらしいが大丈夫なのかい?」
にやりと笑いながらゼブが返してきた。

そう言えば、年初に密輸業者、そのすぐ後に人身売買組織、そんでもってこないだはヤバい薬系の業者と立て続けに色々と今年は摘発されてるよなぁ。
国も膿を出し切る勢いで頑張っているのかも知れないが、どれも案外と偶然起きた事件絡みって感じなんだよなぁ。

俺も関係しているが、実はシャルロの方が大元に近いかも。
人身売買組織はシャルロの従姉妹が誘拐されたから大々的に捜査が始まったんだし、薬物関係もレディ・トレンティスが狙われたから。

まあ、どっちもオレファーニ家関係だからウォレン爺が出張って頑張ったって感じかな?
ウォレン爺は報復に狙われても大丈夫だよな?
それなりに国にとってもオレファーニ家にとっても便利で重要な役割を果たしているから、まだまだ元気に頑張ってほしいところだが・・・彼もシャルロの『大切な人』扱いで水精霊がつけられているのかな?

余り必要はない気もするが・・・。
それとなく聞いてみるかな?
流石に俺が清早に頼む筋合いの話じゃあないだろう。

シャルロ本人は、流石に高位精霊が溺愛している相手を八つ当たりで報復しようなんて考えるバカは居ないだろうし、そこまでアホなら行動を起こしてくれた方がさっさと根絶させられて便利だ。
無敵だな!

「色々と偶然が重なったんじゃないかな?
少なくとも国が突然本腰を入れて裏社会の組織を殲滅させようと決めた訳ではないと思う。
まあ、それはさておき。
こう、よく知られていないタイプの毒とかも全部探知出来たり中和できたりするような魔具ってどこかで手に入るのかな?
知り合いがあまり知られていない危険な薬を盛られそうになってね」

まあ、今となっては水精霊が大抵の大切な知り合いには付けらえているっぽいからあまり関係ないかもという気はするけど。
なんと、ドリアーナで食中毒問題が起きたりしても困る!とか言って食事処にまで水精霊を付けていると聞いた時は思わず笑った。

確かに変な嫌がらせや仕入れ業者の不手際で食中毒問題が起きて店が潰れたりしたら困るが・・・そうなったらそれはそれでシャルロやオレファーニ家が雇えば良いのになんて思わなくもない。

そう考えないのがシャルロだな。
俺だったら、ちょっと人気が下がって予約が取りやすくなる方が良いんじゃね?という気もしないでもないんだが。
賄いをちょくちょく食べさせてもらっているからそれなりに満足はしているが、やっぱりしっかり予約を取ってがっつりコースの料理をスターターからデザートまで食べるのも良いよなぁ・・・。

まあ、潰れまいと足掻いているうちに品位が失われて味が落ちる可能性もゼロではないから不幸は起きないに越したことは無いが。

「ふむ。
毒ねぇ。
毒とか不調を他者に移す呪詛もあるんだよ。
貴族とか豪商とかしか使わんが。
そう言うので処理しているから、毒探知の魔具はここ等辺じゃあ高いのは売れない。
呪詛で済ませたくないなら、もっと南の方に行ってみたらどうだ?」
ゼブが肩を竦めながら教えてくれた。

呪詛で毒を誰かに押し付けるって・・・。
確かにそんなことが可能だったら知らない毒だろうが本人は無事に対処できるだろうが、誰かを犠牲にして贖う対処法というのはあり得ないな。

「誰か、南の方の人間を紹介して貰えないか?
金なり魔具なりでそれなりの対価は払おう」

考えてみたら、香辛料の違法販売だって混ぜ物は迷惑だろうから、新しく作った分析用の魔具はそれなりに需要があるんじゃないか?

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