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卒業後
298 星暦553年 萌葱の月 28日 温泉って良いよね(6)
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「じゃあ、階段の整備と固定化は私とシャルロでやっておくから、源泉からお湯を引くパイプとアスカの浴場の方を始めておいてくれ」
アスカに掘って貰った階段モドキを下がった俺たちは、二手に分かれた。
アレクとシャルロが上への階段と、地上の簡単な階段の入り口を納める小屋の設置。
俺(というかアスカ)が源泉を引くパイプの設定だ。
というか、先に排水関係を設定しておく方が良いな。
まず西の妖精森で入手した浄水の魔道具を設置し、それにパイプを繋げる準備をする。
「え~っと学院の下水溝は・・・あそこか」
考えてみたら下水設備がどこにあるのか調べておくのを忘れていたのだが、心眼で教師用の風呂場設備の下にあったのを見つけた。
「アスカ、このパイプをあそこの下水溝に上から排水が流れ込むように通してくれるか?」
『勝手に流していいのか?』
地面に穴を開けながら、ちょっと呆れたようにアスカが尋ねる。
良いじゃん別に。
学院で使う水を捨てるんだから。
『通ったぞ』
場所も遠くなかったので、あっという間に何やら馴染みのある汚臭がアスカの開けた穴から漂ってきた。
「臭!
アスカ、このパイプを通したいんだ、手伝って」
心眼でパイプが下水溝の上に出来た穴まで伸びていくのを確認しながら、排水用の太いパイプ繋いでを急いで突っ込んでいく。
アスカの前足って意外と力が強いんだよね。
アスカが居なかったらパイプ持ち役にシャルロかアレクが必要なところだった。
まあ、アスカってそれなりに大きいし足だってそれなりに頑丈そうだから強くっても不思議ではないんだけど・・・幻獣って魔法の存在のような気がするから、物理的な力があるっていうのがちょっと意外だったり。
それはともかく。
アスカに助けて貰いながらパイプを通し、排水溝の上まで届いたらそこで固定。あちら側の隙間を埋めて貰ってこちら側は浄水用の魔道具に繋ぐ。
やっと下水溝から流れてくる臭いが止ったぜ。
何故か臭い場所って特に風が吹くわけでも無い訳なのに臭いが押し寄せてくる感じがするんだよなぁ。
「消臭!」
とは言え、まだ残っている感じがするので消臭の術をかけた。
前職のさいには、この臭いに悩まされたもんだぜ。
こぎれいな格好をしたって下水の汚臭がぷんぷんしていたら怪しまれるんで、仕事によっては高いのに消臭の魔道具を買う羽目になったこともあった。
それはともかく。
考えてみたら、下水溝に流しちゃうのに態々浄水の魔道具を使う必要ない気もするんだけど、なんと言っても設備を一式全部纏めて妖精から買ったんで、自然を汚染しない設計になってるんだよね。
まあ、その浄水でついでにお湯の温度も下げてくれるらしいんで、下水溝で変な生物が繁殖する心配をしなくて済むけど。
「よし。
こっちは固定が出来たから、下水溝への入り口からここまで、パイプと穴の間の隙間も全部埋めちゃって、固定してくれる?」
アスカに頼みながら立ち上がる。
さて。
排水の方は大丈夫だから、今度は本番の温泉のお湯を引く方だな。
更衣室の下に大きめな槽を作り、そこにお湯を溜めてアスカの浴場にした上で、上の風呂場へポンプでお湯を流すようにする予定だ。
俺たちが顔とか体をあらって浸かるお湯がアスカの残り湯になるというのはちょっと微妙な気もするんだが・・・土の幻獣なので物理的な汚れは殆ど無いらしい。
どれだけどろんこになって遊んでも泥が体に付かないって羨ましい。
今時そんな遊びはもうしないけどさ。
でも、泥の跡が付かないって言うのは凄え羨ましい・・・。
どちらにせよ、地下から引いた水なので一度フィルターを通すしね。
『固定し終わったぞ。
まわりもかっちり固めて、この金属に穴が開いても水が漏れんようにしておいた』
おおう。
ありがとうよ。
パイプが破損したときのことなんて考えても居なかったぜ。
「じゃあ、次はアスカの浴槽だね。
こっちに部屋を作って深さ1メタぐらいで縦横2メタ四方ぐらいの槽を作っちゃってくれる?」
浴槽も、水が漏れないように石をくりぬくか、ちょくちょく取り替えることを想定した木の物にするかとか色々考えたんだけど、土を水の漏れないように固めてくれるとアスカが言ったので任せることにした。
粘土でも使って固めるのかね?
まあ、一応の為にアスカが嫌がらなかったら防水の術も掛けておくつもりだけど。
しっかし。
もしもこの温泉設備がず~っと使われることになったら、俺が死んだ後もアスカがこの地下の浴槽を使い続けるのかな?
魔術学院の怪談になりそう。
夜遅くに何やら音がするから真っ暗な風呂場の下の階段を降りていったら、誰かが風呂に入っていた~なんて。
アスカに掘って貰った階段モドキを下がった俺たちは、二手に分かれた。
アレクとシャルロが上への階段と、地上の簡単な階段の入り口を納める小屋の設置。
俺(というかアスカ)が源泉を引くパイプの設定だ。
というか、先に排水関係を設定しておく方が良いな。
まず西の妖精森で入手した浄水の魔道具を設置し、それにパイプを繋げる準備をする。
「え~っと学院の下水溝は・・・あそこか」
考えてみたら下水設備がどこにあるのか調べておくのを忘れていたのだが、心眼で教師用の風呂場設備の下にあったのを見つけた。
「アスカ、このパイプをあそこの下水溝に上から排水が流れ込むように通してくれるか?」
『勝手に流していいのか?』
地面に穴を開けながら、ちょっと呆れたようにアスカが尋ねる。
良いじゃん別に。
学院で使う水を捨てるんだから。
『通ったぞ』
場所も遠くなかったので、あっという間に何やら馴染みのある汚臭がアスカの開けた穴から漂ってきた。
「臭!
アスカ、このパイプを通したいんだ、手伝って」
心眼でパイプが下水溝の上に出来た穴まで伸びていくのを確認しながら、排水用の太いパイプ繋いでを急いで突っ込んでいく。
アスカの前足って意外と力が強いんだよね。
アスカが居なかったらパイプ持ち役にシャルロかアレクが必要なところだった。
まあ、アスカってそれなりに大きいし足だってそれなりに頑丈そうだから強くっても不思議ではないんだけど・・・幻獣って魔法の存在のような気がするから、物理的な力があるっていうのがちょっと意外だったり。
それはともかく。
アスカに助けて貰いながらパイプを通し、排水溝の上まで届いたらそこで固定。あちら側の隙間を埋めて貰ってこちら側は浄水用の魔道具に繋ぐ。
やっと下水溝から流れてくる臭いが止ったぜ。
何故か臭い場所って特に風が吹くわけでも無い訳なのに臭いが押し寄せてくる感じがするんだよなぁ。
「消臭!」
とは言え、まだ残っている感じがするので消臭の術をかけた。
前職のさいには、この臭いに悩まされたもんだぜ。
こぎれいな格好をしたって下水の汚臭がぷんぷんしていたら怪しまれるんで、仕事によっては高いのに消臭の魔道具を買う羽目になったこともあった。
それはともかく。
考えてみたら、下水溝に流しちゃうのに態々浄水の魔道具を使う必要ない気もするんだけど、なんと言っても設備を一式全部纏めて妖精から買ったんで、自然を汚染しない設計になってるんだよね。
まあ、その浄水でついでにお湯の温度も下げてくれるらしいんで、下水溝で変な生物が繁殖する心配をしなくて済むけど。
「よし。
こっちは固定が出来たから、下水溝への入り口からここまで、パイプと穴の間の隙間も全部埋めちゃって、固定してくれる?」
アスカに頼みながら立ち上がる。
さて。
排水の方は大丈夫だから、今度は本番の温泉のお湯を引く方だな。
更衣室の下に大きめな槽を作り、そこにお湯を溜めてアスカの浴場にした上で、上の風呂場へポンプでお湯を流すようにする予定だ。
俺たちが顔とか体をあらって浸かるお湯がアスカの残り湯になるというのはちょっと微妙な気もするんだが・・・土の幻獣なので物理的な汚れは殆ど無いらしい。
どれだけどろんこになって遊んでも泥が体に付かないって羨ましい。
今時そんな遊びはもうしないけどさ。
でも、泥の跡が付かないって言うのは凄え羨ましい・・・。
どちらにせよ、地下から引いた水なので一度フィルターを通すしね。
『固定し終わったぞ。
まわりもかっちり固めて、この金属に穴が開いても水が漏れんようにしておいた』
おおう。
ありがとうよ。
パイプが破損したときのことなんて考えても居なかったぜ。
「じゃあ、次はアスカの浴槽だね。
こっちに部屋を作って深さ1メタぐらいで縦横2メタ四方ぐらいの槽を作っちゃってくれる?」
浴槽も、水が漏れないように石をくりぬくか、ちょくちょく取り替えることを想定した木の物にするかとか色々考えたんだけど、土を水の漏れないように固めてくれるとアスカが言ったので任せることにした。
粘土でも使って固めるのかね?
まあ、一応の為にアスカが嫌がらなかったら防水の術も掛けておくつもりだけど。
しっかし。
もしもこの温泉設備がず~っと使われることになったら、俺が死んだ後もアスカがこの地下の浴槽を使い続けるのかな?
魔術学院の怪談になりそう。
夜遅くに何やら音がするから真っ暗な風呂場の下の階段を降りていったら、誰かが風呂に入っていた~なんて。
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