298 / 1,038
卒業後
297 星暦553年 萌葱の月 28日 温泉って良いよね(5)
しおりを挟む
温泉浴場予定地に来た俺たちは、まず予定地の整地を始めた。
「着替え場と体を洗う場所を含めた浴室と、男女で二つずつ必要だよね。
女性の生徒や教師の方が数が少ないから、女性用は小さめで良いかな?」
チョークで線を引きながらシャルロが提案した。
そういえば、どこにするかとかどうやって学院長を説得するかを話し合うのに注意が向きすぎてて、考えてみたら実際の温泉浴場の詳細についてまだ話し合ってなかった。
が。
シャルロ、甘いぞ!
「いくら人数が少ないとは言え、少数派になることが分かっていながら魔術師になることを選んだような女性は、その権利を侵害されることに男よりもずっと強く反発するし、怖いぞ。
将来的には人数の比率が変わる可能性もあるし、どちらかが壊れたときに交代制で残った方を使うためにも、同じサイズにしておく方が良い」
裏社会だって、娼婦ギルドの下っ端娼婦を数に入れなければ圧倒的に男性社会だ。
それでもどのギルドでもある程度は女性がいて・・・それらの女性は怒らせたら他の男達よりも圧倒的に怖かった。
一般的な女性は家庭的で優しいかも知れない(本当かどうかは知らんが)。
でも、平均から外れることを恐れない女っていうのは自分や仲間の権利を守ることに関して獰猛になるんだぜ。
「確かにそうだね。
機具とかその他のデザインとかも二通り考えるのも面倒だし、同じのを二つ作ろう。
でも、今は取り敢えず一つだけ作って学院長に試して貰うのが良いんじゃないかな?」
アレクが穏やかにさらっと同意した。
・・・お前の所のお袋さんだって、お上品そうな顔をしているがあれも怒らせれば怖い人間だろうに。
もう少しシャルロに世の中というものを説明した方が良いんじゃないか?
貴族だって女の争いって中々熾烈で怖いんだけどねぇ。
まあ、館に忍び込んで皆が寝静まるのを待っている間に見ていた俺とは違って、普通に光の中で他の貴族と一緒に社交界にいたシャルロは気が付いていないのかな?
そんなことはさておき。
取り敢えず地面の整地だけは全部先にやってしまった。
アスカにちゃちゃっと頼んで土地を均して貰った後に、固定化の術を掛けるだけだったから簡単だ。
今まで頼んだことなかったから知らなかったんだけど、今回温泉場を作るに当たって協力を頼んだところ、土竜《ジャイアント・モール》であるアスカは土の幻獣なだけあって、地面の扱いに関しては実は無敵だった。
ちなみに今回の一連の作業に対するアスカへの対価は、地下にアスカ用の温泉浴場を作ること。
アスカも実は温泉が大好きだったことが判明した。
どうせ場所も分かっているだし、地下にある温かい水流に浸かっていれば良いじゃないかと思ったのだが、直接源泉に浸かるのは水流の勢いとかもあって、あまりリラックス出来ないらしい。
「ここら辺に地下施設への入り口でも作ろうか」
アレクが浴場予定地の横を指した。
「そうだな。
アスカ、そこに地下へ行く穴を角度を付けて掘ってくれるかな?
俺たちがそれを固めて階段にするから、途中で曲がって良いから勾配は緩い目にお願い。高さは俺の身長の1.5倍ぐらいで、深さは俺の身長の10倍ぐらいかな?
そのくらい深くすれば、空洞を作っても陥没したりしないよね?」
『うむ。
だが、どちらにせよ儂が作った空間ならば余程のことが無い限り、陥没はせぬぞ』
そうなんだ?
でもまあ、学院長を安心させるために固定化の術で地下設備の天井部分も強化するけどさ。
さて。
アスカが地中を進む時は彼の前の空間の土が消えて、その後ろに現れる感じになる。
何故かアスカが通っても土の固さは変わらず、畑を掘り返してしまうモグラとは根本的に違っているのだが、頼めば実際に土をどける形で穴を掘ることも可能だ。
どけた土がどこに行くのかは不明だが。
こういう工事だって普段は掘り起こした土の始末とかも大変なはずなのだが、アスカに頼むと何故か消えてしまうので便利だ。
・・・食べてるのかね??
アスカの基本的な栄養素は魔力だと聞いた気がするが。
オマケとして土も食べるのかな?
「着替え場と体を洗う場所を含めた浴室と、男女で二つずつ必要だよね。
女性の生徒や教師の方が数が少ないから、女性用は小さめで良いかな?」
チョークで線を引きながらシャルロが提案した。
そういえば、どこにするかとかどうやって学院長を説得するかを話し合うのに注意が向きすぎてて、考えてみたら実際の温泉浴場の詳細についてまだ話し合ってなかった。
が。
シャルロ、甘いぞ!
「いくら人数が少ないとは言え、少数派になることが分かっていながら魔術師になることを選んだような女性は、その権利を侵害されることに男よりもずっと強く反発するし、怖いぞ。
将来的には人数の比率が変わる可能性もあるし、どちらかが壊れたときに交代制で残った方を使うためにも、同じサイズにしておく方が良い」
裏社会だって、娼婦ギルドの下っ端娼婦を数に入れなければ圧倒的に男性社会だ。
それでもどのギルドでもある程度は女性がいて・・・それらの女性は怒らせたら他の男達よりも圧倒的に怖かった。
一般的な女性は家庭的で優しいかも知れない(本当かどうかは知らんが)。
でも、平均から外れることを恐れない女っていうのは自分や仲間の権利を守ることに関して獰猛になるんだぜ。
「確かにそうだね。
機具とかその他のデザインとかも二通り考えるのも面倒だし、同じのを二つ作ろう。
でも、今は取り敢えず一つだけ作って学院長に試して貰うのが良いんじゃないかな?」
アレクが穏やかにさらっと同意した。
・・・お前の所のお袋さんだって、お上品そうな顔をしているがあれも怒らせれば怖い人間だろうに。
もう少しシャルロに世の中というものを説明した方が良いんじゃないか?
貴族だって女の争いって中々熾烈で怖いんだけどねぇ。
まあ、館に忍び込んで皆が寝静まるのを待っている間に見ていた俺とは違って、普通に光の中で他の貴族と一緒に社交界にいたシャルロは気が付いていないのかな?
そんなことはさておき。
取り敢えず地面の整地だけは全部先にやってしまった。
アスカにちゃちゃっと頼んで土地を均して貰った後に、固定化の術を掛けるだけだったから簡単だ。
今まで頼んだことなかったから知らなかったんだけど、今回温泉場を作るに当たって協力を頼んだところ、土竜《ジャイアント・モール》であるアスカは土の幻獣なだけあって、地面の扱いに関しては実は無敵だった。
ちなみに今回の一連の作業に対するアスカへの対価は、地下にアスカ用の温泉浴場を作ること。
アスカも実は温泉が大好きだったことが判明した。
どうせ場所も分かっているだし、地下にある温かい水流に浸かっていれば良いじゃないかと思ったのだが、直接源泉に浸かるのは水流の勢いとかもあって、あまりリラックス出来ないらしい。
「ここら辺に地下施設への入り口でも作ろうか」
アレクが浴場予定地の横を指した。
「そうだな。
アスカ、そこに地下へ行く穴を角度を付けて掘ってくれるかな?
俺たちがそれを固めて階段にするから、途中で曲がって良いから勾配は緩い目にお願い。高さは俺の身長の1.5倍ぐらいで、深さは俺の身長の10倍ぐらいかな?
そのくらい深くすれば、空洞を作っても陥没したりしないよね?」
『うむ。
だが、どちらにせよ儂が作った空間ならば余程のことが無い限り、陥没はせぬぞ』
そうなんだ?
でもまあ、学院長を安心させるために固定化の術で地下設備の天井部分も強化するけどさ。
さて。
アスカが地中を進む時は彼の前の空間の土が消えて、その後ろに現れる感じになる。
何故かアスカが通っても土の固さは変わらず、畑を掘り返してしまうモグラとは根本的に違っているのだが、頼めば実際に土をどける形で穴を掘ることも可能だ。
どけた土がどこに行くのかは不明だが。
こういう工事だって普段は掘り起こした土の始末とかも大変なはずなのだが、アスカに頼むと何故か消えてしまうので便利だ。
・・・食べてるのかね??
アスカの基本的な栄養素は魔力だと聞いた気がするが。
オマケとして土も食べるのかな?
0
お気に入りに追加
503
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です
岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」
私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。
しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。
しかも私を年増呼ばわり。
はあ?
あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!
などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。
その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる