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卒業後
889 星暦557年 萌葱の月 15日 久しぶりに遠出(10)
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ここの天井裏空間もレディ・トレンティスの屋敷の傍の遺跡と同じで空間をくり抜いている感じで、柱では無く削られずに残った部分があちらこちらにある感じだ。
ちょっとレディ・トレンティスのとこのよりも柱モドキ部分が太い感じかな?
広いからなのか、それとも土質が違うからなのか。
こちらの方が古代とは言え新しく作った場所なんだから技術も向上している筈だが、もしかしてそう言う技術を持っていた爺さんが死んでいたとかで技術が後退したなんてこともあるのかな?
だが考えてみたら、これだけ大きな街を地中に作れたのだ。
技術力が後退したと考えるよりは、土質の違いと考える方が正解な気がする。
取り敢えず柱モドキの一つに縄梯子の端を巻き付け、下に垂らしながらアルマに声をかける。
「残っていた発掘隊の人間が集まってきているっぽいけど、全員上がってきても大丈夫そうか?」
忙しなく動き回りながら熱心に残っている残骸やら床やら天井やらを調べているアルマに声をかける。
「あ~・・・・。
全員は不味いかな。
取り敢えず追加で上がってくるのは5人ということにしよう。
強度はそれなりにありそうだが、人数が増えすぎるとうっかり遺物を踏みつぶしたりしかねないし」
アルマが顔を上げずに言った。
「・・・これって最初に登ってきた5人とか言ったら、血で血を洗う争いになりそうな気がするのは俺の気のせいかな?」
思わずアレクの方を向いて尋ねる。
「まあ、血で血を洗うほどの戦闘力はないと思うが、皆で縄梯子につかみかかって引っ張るせいで縄梯子が切れる可能性はありそうだな。
適当にこっちで指名しちゃうか」
溜め息を吐きながらアレクが入り口っぽい穴の方に戻り、飛び降りた。
まだ浮遊《レヴィア》の術が切れていなかったのですうっと意図したとおりに降りたが、下で言い争っていた歴史バカ達はぎょっとしたのか一瞬沈黙した。
なるほど。
度肝を抜けば大きな声を出して注意を引かなくても静かにさせられるんだな。
「君と君、あとこちらの3人がまず上がってきてくれ。
残りは順番ということで交代の順番をくじ引きで決めたら仕事に戻ったらどうだ?
取り敢えず半刻ごとの交代ということで鐘でも鳴らすことにしよう。鐘を持って来ておいてくれたら鳴らすぞ?」
相談せずに、勝手にアレクが決めていたが意外とあっさりそれで誰も文句を言わずに残りの人員はくじ引きの準備を始めていた。
あまり誰が偉いとかって意識していないのか、『俺の方が偉いんだから俺が先だ!』って感じで主張する人間がいないみたいだな。
お蔭で余計に『話し合い』だと決着がつかないようだが、外部の人間が決めても反論しないようなので手っ取り早くて助かった。
ということで、下を観察するのは止めて周囲を見回す。
何やら壁際に棚の残骸らしきものがあり、床にも所々に木片が転がっている。
う~ん、やっぱり洗濯物干し場かね?
俺たちが上がってきた入り口は大きく、良く見たら傍にもう一つ小さ目な入り口っぽい穴が開いていた。
こっちの大きい方はそれこそ洗濯物なり何かを持ち上げる為の滑車でもあったのかも知れない。
子供の遊び場だとしたら幼児を引き上げる為の籠でもあったのかも知れないし。
洗濯物だろうが幼児だろうが籠で持ち上げられるのは変わらないが・・・何も残っていないのは残念だ。
穴の上に設置されていた道具だと、年月で脆くなってきた際に落ちて粉々に壊れてしまったのだろう。
・・・というか、ここの下って何か見つかったのかな?
この地中街が放置されてからここの滑車なりなんなりが壊れたと思うから、もしかしたら何かが残っていたかも知れない。
「アルマ、この下って何か壊れた魔具なり普通の滑車なり、何か残骸が落ちていたような記録ってないかな?」
丁度傍に寄っていて何やら床の木片を調べ始めていたアルマに尋ねる。
「う~ん、あちこちに色々と残骸はあったし、この高さから落ちて粉々になったような残骸だったら注意を引いたと思うが・・・そんな記録はなかったと思う。
陶磁器《セラミック》製だったら粉々になって残骸として認識されていなかったかも知れないし」
アルマがちょっと残念そうに言った。
そう言えば、ここって金属よりも陶磁器の方が作りやすかったのか、かなり硬度の高い道具が陶磁器で造られていたって以前来た時にハラファが言ってたっけ?
金属加工の技能がイマイチだった代りに陶磁器の方の技術が進んでいたって話だった。
金属の代わりになる陶磁器なんて凄いから、どうやってそんな硬度がある陶磁器を造れたのか調べるためにベルファウォードから予算を引き出せたって言っていたな。
何か見つかったんだろうか?
陶磁器で魔具を造れるならそれはそれで面白そうだが。
まだ再現出来ていないし、遺物も金属よりは厚くて嵩張ると言っていたし、技術を再現出来ても魔具に使うのは現実的ではないかな?
【後書き】
この遺跡は土関連の技術力が高く、鉄が近くで産出されなかったのもあってセラミックの方が研究されて活用していた文明だった模様。
ちょっとレディ・トレンティスのとこのよりも柱モドキ部分が太い感じかな?
広いからなのか、それとも土質が違うからなのか。
こちらの方が古代とは言え新しく作った場所なんだから技術も向上している筈だが、もしかしてそう言う技術を持っていた爺さんが死んでいたとかで技術が後退したなんてこともあるのかな?
だが考えてみたら、これだけ大きな街を地中に作れたのだ。
技術力が後退したと考えるよりは、土質の違いと考える方が正解な気がする。
取り敢えず柱モドキの一つに縄梯子の端を巻き付け、下に垂らしながらアルマに声をかける。
「残っていた発掘隊の人間が集まってきているっぽいけど、全員上がってきても大丈夫そうか?」
忙しなく動き回りながら熱心に残っている残骸やら床やら天井やらを調べているアルマに声をかける。
「あ~・・・・。
全員は不味いかな。
取り敢えず追加で上がってくるのは5人ということにしよう。
強度はそれなりにありそうだが、人数が増えすぎるとうっかり遺物を踏みつぶしたりしかねないし」
アルマが顔を上げずに言った。
「・・・これって最初に登ってきた5人とか言ったら、血で血を洗う争いになりそうな気がするのは俺の気のせいかな?」
思わずアレクの方を向いて尋ねる。
「まあ、血で血を洗うほどの戦闘力はないと思うが、皆で縄梯子につかみかかって引っ張るせいで縄梯子が切れる可能性はありそうだな。
適当にこっちで指名しちゃうか」
溜め息を吐きながらアレクが入り口っぽい穴の方に戻り、飛び降りた。
まだ浮遊《レヴィア》の術が切れていなかったのですうっと意図したとおりに降りたが、下で言い争っていた歴史バカ達はぎょっとしたのか一瞬沈黙した。
なるほど。
度肝を抜けば大きな声を出して注意を引かなくても静かにさせられるんだな。
「君と君、あとこちらの3人がまず上がってきてくれ。
残りは順番ということで交代の順番をくじ引きで決めたら仕事に戻ったらどうだ?
取り敢えず半刻ごとの交代ということで鐘でも鳴らすことにしよう。鐘を持って来ておいてくれたら鳴らすぞ?」
相談せずに、勝手にアレクが決めていたが意外とあっさりそれで誰も文句を言わずに残りの人員はくじ引きの準備を始めていた。
あまり誰が偉いとかって意識していないのか、『俺の方が偉いんだから俺が先だ!』って感じで主張する人間がいないみたいだな。
お蔭で余計に『話し合い』だと決着がつかないようだが、外部の人間が決めても反論しないようなので手っ取り早くて助かった。
ということで、下を観察するのは止めて周囲を見回す。
何やら壁際に棚の残骸らしきものがあり、床にも所々に木片が転がっている。
う~ん、やっぱり洗濯物干し場かね?
俺たちが上がってきた入り口は大きく、良く見たら傍にもう一つ小さ目な入り口っぽい穴が開いていた。
こっちの大きい方はそれこそ洗濯物なり何かを持ち上げる為の滑車でもあったのかも知れない。
子供の遊び場だとしたら幼児を引き上げる為の籠でもあったのかも知れないし。
洗濯物だろうが幼児だろうが籠で持ち上げられるのは変わらないが・・・何も残っていないのは残念だ。
穴の上に設置されていた道具だと、年月で脆くなってきた際に落ちて粉々に壊れてしまったのだろう。
・・・というか、ここの下って何か見つかったのかな?
この地中街が放置されてからここの滑車なりなんなりが壊れたと思うから、もしかしたら何かが残っていたかも知れない。
「アルマ、この下って何か壊れた魔具なり普通の滑車なり、何か残骸が落ちていたような記録ってないかな?」
丁度傍に寄っていて何やら床の木片を調べ始めていたアルマに尋ねる。
「う~ん、あちこちに色々と残骸はあったし、この高さから落ちて粉々になったような残骸だったら注意を引いたと思うが・・・そんな記録はなかったと思う。
陶磁器《セラミック》製だったら粉々になって残骸として認識されていなかったかも知れないし」
アルマがちょっと残念そうに言った。
そう言えば、ここって金属よりも陶磁器の方が作りやすかったのか、かなり硬度の高い道具が陶磁器で造られていたって以前来た時にハラファが言ってたっけ?
金属加工の技能がイマイチだった代りに陶磁器の方の技術が進んでいたって話だった。
金属の代わりになる陶磁器なんて凄いから、どうやってそんな硬度がある陶磁器を造れたのか調べるためにベルファウォードから予算を引き出せたって言っていたな。
何か見つかったんだろうか?
陶磁器で魔具を造れるならそれはそれで面白そうだが。
まだ再現出来ていないし、遺物も金属よりは厚くて嵩張ると言っていたし、技術を再現出来ても魔具に使うのは現実的ではないかな?
【後書き】
この遺跡は土関連の技術力が高く、鉄が近くで産出されなかったのもあってセラミックの方が研究されて活用していた文明だった模様。
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