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卒業後
847 星暦557年 紺の月 22日 久しぶりの訪問(7)
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「仕組み橋・・・じゃないが、支えを外したら上が落ちるような形にしたら燃やさなくても賊どもが上陸しにくいし、船が接岸できなくて丁度良いんじゃないか?
・・・確かに燃える方が船へのダメージはあるが」
海賊が勝手に接岸して襲撃してくるのを防ぐための対応策を話し合っていて、接岸部分の足場について建材費の話をしていたらアレクが燃やさないで単に上が落ちる構造にしてはどうかと提案してきた。
確かに、支えを外して上が落ちる形にしたら歩いて渡れなくなるから上陸妨害の用は足すし、後で海の中に落ちた板を引き上げれば再利用だって可能だろう。
何だったら嵐が来ている時なんかは外して倉庫の中に仕舞っておけば破損も減るかもだし。
考えてみたら、嵐の時には小舟接続型桟橋も撤去してしまった方がいいから、それ用の倉庫が必要かもな。
「う~ん、普段は荒っぽく使っても落ちないぐらいしっかり固定出来ているのに、もしもの時に直ぐに取れるような仕組みなんぞ、出来るかね?」
ジャレットが疑わし気に尋ねる。
確かにねぇ。
常に波で揺れているのだ。
ぎちぎちに固定しておかないと気が付いたら緩んでいそうだし、ぎちぎちに固定していたらもしもの時に即時で外せる可能性は低そうな気もする。
「継続的に予算があるなら、魔石を使った結界で下から支える形にするのもありかも?
船が着岸していない時は大人一人が載る程度しか支えられない強度にしておいて、接岸許可のある船の入港時に絶対しなければいけない手続きの一つとして保護結界の展開も含んでそれで上の板を固定する形にしたら、平時は足場をしっかり出来るし、結界を展開していない襲撃時は直ぐに重さで板が落ちる筈じゃない?」
シャルロが提案した。
確かに、保護結界で板を支えるのだったら魔石を外せば直ぐに解除できるな。
「なんだったら、侵入禁止結界に魔石を転用できるようなタイプの魔具にしたら、もしもの時に接岸しても上陸できない形に出来そうじゃないか?」
単にお上品に1隻ずつ接岸するのと違って複数の船が殴り込みをかけてくる可能性もあるから、保護結界よりも長くする必要があるとしたらどのくらいの長さに展開するのかで魔石の継続時間が大分と変わるだろうが。
「結界ってどの程度の強度があるんだ?」
ジャレットが興味を持った様子で聞いてくる。
「侵入禁止の方が電撃効果とかを付ければそれなりの強度にできる。まあ、魔石の費用も効果に比例して上がっていくが。
・・・平時の接岸時に支える方に関しては、元々海面と言うある程度支える表面がある上に展開するだけだから成人男性を数人程度だったら支えるのはそれ程難しくないが・・・考えてみたら積荷を降ろす際の負荷は難しいかも知れないな。」
アレクが難しい顔をして答えた。
確かに。
積荷はどんだけになるか分かったもんじゃ無いからなぁ。
「いや、積み荷は近いうちに回転式の起重機を設置する予定だから、それとタイミングを合わせれば何とかなる。
人間だけだから、10人程度がたむろしても落ちない程度の強度があればいいんだが」
船乗りってデブは居ないが筋肉もりもりで別の意味で重そうなのは時折いるからなぁ。
客船で金持ちデブが来る可能性もゼロではない。
とは言え、考えてみたらデブすぎたら船の通路とか扉に引っかかるから、極端なデブは国から出ないか。
「ちょっとその魔石を使った結界の見積もりを出してもらえるか?
爆破して燃やすタイプの足場の値段の見積もりと比べてどのぐらい違うか、確認してみたい」
ジャレットが言った。
「「アレク、任せた!」」
俺とシャルロの声が重なる。
「おい・・・。
仕組みとかの考察には協力してくれよ。
ちなみに、爆破タイプは襲撃が無ければ追加費用は殆ど掛からないと思うが、魔石タイプは襲撃があろうがなかろうが、港で接岸する船があるたびに魔石が消費されるから日常的な費用はこちらの方が高いと思うぞ?」
アレクがジャレットに警告する。
そうなんだよなぁ。
設置費用はまだしも、継続的な費用って問題がないとケチりたくなるもんだろうから、不満が出そうだ。
【後書き】
ラニングコストが高いのは致命的かな?
・・・確かに燃える方が船へのダメージはあるが」
海賊が勝手に接岸して襲撃してくるのを防ぐための対応策を話し合っていて、接岸部分の足場について建材費の話をしていたらアレクが燃やさないで単に上が落ちる構造にしてはどうかと提案してきた。
確かに、支えを外して上が落ちる形にしたら歩いて渡れなくなるから上陸妨害の用は足すし、後で海の中に落ちた板を引き上げれば再利用だって可能だろう。
何だったら嵐が来ている時なんかは外して倉庫の中に仕舞っておけば破損も減るかもだし。
考えてみたら、嵐の時には小舟接続型桟橋も撤去してしまった方がいいから、それ用の倉庫が必要かもな。
「う~ん、普段は荒っぽく使っても落ちないぐらいしっかり固定出来ているのに、もしもの時に直ぐに取れるような仕組みなんぞ、出来るかね?」
ジャレットが疑わし気に尋ねる。
確かにねぇ。
常に波で揺れているのだ。
ぎちぎちに固定しておかないと気が付いたら緩んでいそうだし、ぎちぎちに固定していたらもしもの時に即時で外せる可能性は低そうな気もする。
「継続的に予算があるなら、魔石を使った結界で下から支える形にするのもありかも?
船が着岸していない時は大人一人が載る程度しか支えられない強度にしておいて、接岸許可のある船の入港時に絶対しなければいけない手続きの一つとして保護結界の展開も含んでそれで上の板を固定する形にしたら、平時は足場をしっかり出来るし、結界を展開していない襲撃時は直ぐに重さで板が落ちる筈じゃない?」
シャルロが提案した。
確かに、保護結界で板を支えるのだったら魔石を外せば直ぐに解除できるな。
「なんだったら、侵入禁止結界に魔石を転用できるようなタイプの魔具にしたら、もしもの時に接岸しても上陸できない形に出来そうじゃないか?」
単にお上品に1隻ずつ接岸するのと違って複数の船が殴り込みをかけてくる可能性もあるから、保護結界よりも長くする必要があるとしたらどのくらいの長さに展開するのかで魔石の継続時間が大分と変わるだろうが。
「結界ってどの程度の強度があるんだ?」
ジャレットが興味を持った様子で聞いてくる。
「侵入禁止の方が電撃効果とかを付ければそれなりの強度にできる。まあ、魔石の費用も効果に比例して上がっていくが。
・・・平時の接岸時に支える方に関しては、元々海面と言うある程度支える表面がある上に展開するだけだから成人男性を数人程度だったら支えるのはそれ程難しくないが・・・考えてみたら積荷を降ろす際の負荷は難しいかも知れないな。」
アレクが難しい顔をして答えた。
確かに。
積荷はどんだけになるか分かったもんじゃ無いからなぁ。
「いや、積み荷は近いうちに回転式の起重機を設置する予定だから、それとタイミングを合わせれば何とかなる。
人間だけだから、10人程度がたむろしても落ちない程度の強度があればいいんだが」
船乗りってデブは居ないが筋肉もりもりで別の意味で重そうなのは時折いるからなぁ。
客船で金持ちデブが来る可能性もゼロではない。
とは言え、考えてみたらデブすぎたら船の通路とか扉に引っかかるから、極端なデブは国から出ないか。
「ちょっとその魔石を使った結界の見積もりを出してもらえるか?
爆破して燃やすタイプの足場の値段の見積もりと比べてどのぐらい違うか、確認してみたい」
ジャレットが言った。
「「アレク、任せた!」」
俺とシャルロの声が重なる。
「おい・・・。
仕組みとかの考察には協力してくれよ。
ちなみに、爆破タイプは襲撃が無ければ追加費用は殆ど掛からないと思うが、魔石タイプは襲撃があろうがなかろうが、港で接岸する船があるたびに魔石が消費されるから日常的な費用はこちらの方が高いと思うぞ?」
アレクがジャレットに警告する。
そうなんだよなぁ。
設置費用はまだしも、継続的な費用って問題がないとケチりたくなるもんだろうから、不満が出そうだ。
【後書き】
ラニングコストが高いのは致命的かな?
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