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卒業後
839 星暦557年 紺の月 11日 肩凝り対策(30)
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「火傷しやすい人っているのかな?」
ほぼ1日試作品を放そうとしなかったシェイラとノンビリ休息日を過ごし、帰って来た俺は翌朝の工房での話し合いで聞いてみた。
連続使用しまくってもシェイラは特に低温火傷にならなかったが、これって誰でもそうなのだろうか?
鍛冶なんかをやっていると手の皮膚が厚くなって火傷しにくくなるし、俺みたいに精霊と仲がいいと火精霊から直接加護を貰っていなくても火傷とかはしにくくなるっぽい。
実は俺の手の平って魔剣鍛冶師のスタルノやタランよりずっと薄いのに、俺の方が熱い金属に触っても火傷せずにいられるんだよねぇ。
下手をしたら、俺が大切に思っているシェイラも火傷しにくくなっている可能性もある。だからあまり俺やシャルロは火傷に関するテストでは信頼できないし、俺たちの仲間であるアレクも微妙なんだよなぁ。
「うん?」
シャルロがクッキーに手を伸ばしながら首を傾げる。
朝食を食べてから来たはずなのに、朝のお茶の際にクッキーを食べる此奴はなんだってもっとぷくぷくに太っていないのだろうか。
食べた食事の栄養分がどこに消えているのか、マジで知りたい気がする。
それはともかく。
「昨日、試作品をシェイラに持って行ったら殆ど1日中再延長ボタンを押して使っていたんだよ。
元々、事務所で共有する形が多いだろうと思ったからせいぜい3回程度しか再延長しないと思っていただろ?
もっと再延長しまくっても低温火傷しないかテストした方がいいと思うんだが、火傷しやすい人としにくい人がいるのかな?と思ってね」
首を傾げる二人に説明する。
「あ~。
確かに兄上の所に持って行った試作品は義姉上に奪い取られて返ってきてないって言っていたから、誰かが独占する可能性はそれなりにあるか~。
多分女性の方が皮膚が薄そうじゃない?
薄い皮膚の方が火傷しそうだから、実家の方の侍女とかアレクの方の女性従業員とか、魔術学院の女性事務職員に確認してもらおうよ」
シャルロが提案した。
「女性でも、アイロンがけとか暖炉とか台所関連の作業をしている人間はそれなりに熱い物に触れるのに慣れてないか?」
シャルロの提案に疑問を呈する。
最近は知らんが、俺が現役時代は見ていたら侍女はまだしもメイドなんかの仕事は貴族邸でもそれなりにハードだったぞ?
流石に鍛冶師の様に炉の前で金属を叩きまくるって言うのはないが、熱湯を運んだり熱いアイロンで服の皺とりをしたりしていた。
「上級侍女だったらアイロンがけなどはしないだろうが・・・事務職員系の方が熱にあまり関係しない作業が多いかな?
まあ、シャルロの方も継続使用の影響を頼む際にアイロンや熱湯等の熱い物に触れる作業をしない人間にお願いしたいって言っておいてくれ」
アレクが言った。
事務職員だって自分の服のアイロンがけぐらいはすると思うが、その程度だったら手の皮は厚くならないかな?
「あと、長時間独占できる可能性があるなら4ミル単位じゃなくってちょっと緩めな設定で1刻程度つけっぱなしに出来るようにして昼寝にでも活用できるようにするのも良いんじゃないかな?」
まあ、あれは寝転がるならちゃんと胸の下あたりにクッションを入れないと首が痛くなるが。
そこら辺は言わなくても使用者はちゃんと分かるよな?
「ある意味、緩めにしないでそのままで1刻程度使って低温火傷やその他の不調が起きないかを確認すると良いかも?
長時間だから緩くって言うのは、実際に不調が起きるって言うんじゃない限り納得しない女性が多いと思うぞ」
アレクが指摘した。
納得しないか?
あまり長い時間刺激を与え続けるのって、良くなさそうな気がするんだが。
まあ、実際に不調が起きないか調べて、起きるなら長時間設定は緩めにして連続使用も長時間は危険だって注意喚起をしておき、問題が無いようだったら好きなように使わせれば良いか。
「そこは任せるよ。
あと、暖かい手袋をつけたまま作業が出来るように、指ぬき手袋の甲に緑熱《ジェイパル》石を入れたのを造ってほしいってシェイラが言っていたけど、一般にも需要があるかな?」
外で作業する人間も手を温めたいだろうが、指ぬき手袋である必要がどの程度あるかは微妙に不明だ。
「ふむ。
ちょっとシェフィート商会の外回りの作業をする人間に聞いてみるよ。
確かにあったら良いかも知れない」
俺は自分用とシェイラ用をさっさと自分で作るつもりだけど、商業ベースで造られたら安く色んな種類が手に入りやすくなるからな。
願わくは、シェフィート商会が大々的に売り出してくれると期待しよう。
ほぼ1日試作品を放そうとしなかったシェイラとノンビリ休息日を過ごし、帰って来た俺は翌朝の工房での話し合いで聞いてみた。
連続使用しまくってもシェイラは特に低温火傷にならなかったが、これって誰でもそうなのだろうか?
鍛冶なんかをやっていると手の皮膚が厚くなって火傷しにくくなるし、俺みたいに精霊と仲がいいと火精霊から直接加護を貰っていなくても火傷とかはしにくくなるっぽい。
実は俺の手の平って魔剣鍛冶師のスタルノやタランよりずっと薄いのに、俺の方が熱い金属に触っても火傷せずにいられるんだよねぇ。
下手をしたら、俺が大切に思っているシェイラも火傷しにくくなっている可能性もある。だからあまり俺やシャルロは火傷に関するテストでは信頼できないし、俺たちの仲間であるアレクも微妙なんだよなぁ。
「うん?」
シャルロがクッキーに手を伸ばしながら首を傾げる。
朝食を食べてから来たはずなのに、朝のお茶の際にクッキーを食べる此奴はなんだってもっとぷくぷくに太っていないのだろうか。
食べた食事の栄養分がどこに消えているのか、マジで知りたい気がする。
それはともかく。
「昨日、試作品をシェイラに持って行ったら殆ど1日中再延長ボタンを押して使っていたんだよ。
元々、事務所で共有する形が多いだろうと思ったからせいぜい3回程度しか再延長しないと思っていただろ?
もっと再延長しまくっても低温火傷しないかテストした方がいいと思うんだが、火傷しやすい人としにくい人がいるのかな?と思ってね」
首を傾げる二人に説明する。
「あ~。
確かに兄上の所に持って行った試作品は義姉上に奪い取られて返ってきてないって言っていたから、誰かが独占する可能性はそれなりにあるか~。
多分女性の方が皮膚が薄そうじゃない?
薄い皮膚の方が火傷しそうだから、実家の方の侍女とかアレクの方の女性従業員とか、魔術学院の女性事務職員に確認してもらおうよ」
シャルロが提案した。
「女性でも、アイロンがけとか暖炉とか台所関連の作業をしている人間はそれなりに熱い物に触れるのに慣れてないか?」
シャルロの提案に疑問を呈する。
最近は知らんが、俺が現役時代は見ていたら侍女はまだしもメイドなんかの仕事は貴族邸でもそれなりにハードだったぞ?
流石に鍛冶師の様に炉の前で金属を叩きまくるって言うのはないが、熱湯を運んだり熱いアイロンで服の皺とりをしたりしていた。
「上級侍女だったらアイロンがけなどはしないだろうが・・・事務職員系の方が熱にあまり関係しない作業が多いかな?
まあ、シャルロの方も継続使用の影響を頼む際にアイロンや熱湯等の熱い物に触れる作業をしない人間にお願いしたいって言っておいてくれ」
アレクが言った。
事務職員だって自分の服のアイロンがけぐらいはすると思うが、その程度だったら手の皮は厚くならないかな?
「あと、長時間独占できる可能性があるなら4ミル単位じゃなくってちょっと緩めな設定で1刻程度つけっぱなしに出来るようにして昼寝にでも活用できるようにするのも良いんじゃないかな?」
まあ、あれは寝転がるならちゃんと胸の下あたりにクッションを入れないと首が痛くなるが。
そこら辺は言わなくても使用者はちゃんと分かるよな?
「ある意味、緩めにしないでそのままで1刻程度使って低温火傷やその他の不調が起きないかを確認すると良いかも?
長時間だから緩くって言うのは、実際に不調が起きるって言うんじゃない限り納得しない女性が多いと思うぞ」
アレクが指摘した。
納得しないか?
あまり長い時間刺激を与え続けるのって、良くなさそうな気がするんだが。
まあ、実際に不調が起きないか調べて、起きるなら長時間設定は緩めにして連続使用も長時間は危険だって注意喚起をしておき、問題が無いようだったら好きなように使わせれば良いか。
「そこは任せるよ。
あと、暖かい手袋をつけたまま作業が出来るように、指ぬき手袋の甲に緑熱《ジェイパル》石を入れたのを造ってほしいってシェイラが言っていたけど、一般にも需要があるかな?」
外で作業する人間も手を温めたいだろうが、指ぬき手袋である必要がどの程度あるかは微妙に不明だ。
「ふむ。
ちょっとシェフィート商会の外回りの作業をする人間に聞いてみるよ。
確かにあったら良いかも知れない」
俺は自分用とシェイラ用をさっさと自分で作るつもりだけど、商業ベースで造られたら安く色んな種類が手に入りやすくなるからな。
願わくは、シェフィート商会が大々的に売り出してくれると期待しよう。
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