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卒業後
827 星暦557年 紫の月 25日 肩凝り対策(18)
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『水に溶かしたらどろっとする素材?
足す水の量にもよるが、大抵の物質は水に混ぜるとある程度はどろっとするぞ?
どういう状況でどろっとさせてどう使いたいのだ?』
ちょっとした気分転換にアスカをブラッシングしながら素材に関して尋ねる。
アスカって土竜《ジャイアント・モール》の特性なせいか、土を潜っても全然泥や土ら埃は着かないのだが、ブラッシングするとそれなりに毛が抜けるんだよなぁ。
だから時折ブラッシングしている。
代りに宝石とか珍しい岩石とかを貰えるんでちょっと作業と報酬が吊り合っていない気がしないでもないが、アスカが気にしていないので俺も気にしないことにしている。
拳サイズの宝石の原石だろうとアスカ的には犬が散歩の最中に道端で拾った枝をくれるのとあまり違いはないという話なので、人間的な経済的価値を当てはめて遠慮しても意味がないらしい。
「ちょっとこう、マッサージをする魔具を造ろうと思っているんだ。肝心のマッサージをする部分を魔術回路で動かすのは良いとしてもそれを棒でやると痛いし、クッションでやると柔らかすぎるしってことで人間の指みたいな触感と強度の素材が何か無いかなぁと思って」
ブラッシングが終え、今度はぐりぐりとアスカの首の周りを指で揉みながら答える。
まあ、アスカに肩凝りなんぞ関係ないとは思うが、温泉が好きなんだからもしかしたら凝り解すっていう感覚も好きなのかも知れないしね。
『ふむ。
熱くなっても構わんか?
魔力を通すと発熱して柔らかくなる素材がある。
人間の指と同じ程度になるかどうかは魔力の量によるが』
アスカがもぞもぞと俺の指の下で動きながら応じる。
なにそれ。魔力を通すと暖かくなって柔らかくなるって・・・良くね??
というか、なんだったらベッドのマットレスにも良いかも?
まあ、どの程度魔力が必要かにもよるが・・・冬場の馬車とかに使うクッションなんかにも使えそうだ。
まあ、魔力の消費量と発熱量の度合いによるが。
熱すぎて火傷するのは困るし、魔力を食いすぎるのも困る。
でも、それこそ発熱用の魔術回路に使う魔力とほぼ同じ程度だったら代わりに使っても良いかも知れない。
魔術学院では冬になると足先が冷えると文句を言っていた人間も多かったから、大きめなスリッパか靴下形にして足を温めるカバーを作っても良いかもだし。
もっとも、足先から狙い通りに魔力を流せるかは要研究かもだが。
とは言え。
聞いたことも無いから入手が大変かもだな。
『人間の鉱山で宝石を取る際に、一緒に掘り出しては周囲に捨てている素材だから・・・ここからだったら北の方の山沿いにあったな』
おお?!
少なくとも土竜《ジャイアント・モール》じゃないと掘り出せないような地中深くではないらしい。
「この袋一杯分ぐらい、サンプルをくれないか?
あと、どこなのかの場所も知りたいんだが・・・」
珍しい宝石や素材っていうのは貰うだけなら構わないし、シェフィート商会とか鉱石ギルドとかに見せて教えて貰える素材なら継続的入手の手配も可能なのだが、知られていない素材の入手場所をアスカに尋ねるのは中々面倒なのだ。
何分、人間社会で付けられる名称なんぞ全く気にしていないから。
流石に俺が住んでいる王都周辺とか、シャルロの妖精王《アルフォンス》の妖精の森の辺とかだと俺たちの認識と合った名称(それでも『王都の西側』程度だが)を教えてくれるが、それ以外の場所だと近くの大きな河の名前すら認識を合わせるのに一苦労するのだ。
山脈の場所はそれなりに人間の意識と一致するので、山脈の地形を俺が地面に描いてそれのどこら辺って尋ねるのが一番真面な感じかな。
だが、鉱山の傍ならば山脈沿いってことで場所を特定できるかも?
まあ、まずはサンプルを貰って使い勝手が良いかを確認した後、良さげならシェフィート商会の誰かが知らないかと見せて、知っているなら入手がどの程度容易かを確認しなきゃだが。
『うむ。
後で持って来よう。
だがその前に、そこのところをもう少し強く揉んでも良いぞ?』
おや。
土竜《ジャイアント・モール》でもマッサージは気持ちがいいらしい。
まあ、程よい強さのマッサージって凝っていなくても気持ちは良いよな。
【後書き】
久しぶりなファンタジー素材w
足す水の量にもよるが、大抵の物質は水に混ぜるとある程度はどろっとするぞ?
どういう状況でどろっとさせてどう使いたいのだ?』
ちょっとした気分転換にアスカをブラッシングしながら素材に関して尋ねる。
アスカって土竜《ジャイアント・モール》の特性なせいか、土を潜っても全然泥や土ら埃は着かないのだが、ブラッシングするとそれなりに毛が抜けるんだよなぁ。
だから時折ブラッシングしている。
代りに宝石とか珍しい岩石とかを貰えるんでちょっと作業と報酬が吊り合っていない気がしないでもないが、アスカが気にしていないので俺も気にしないことにしている。
拳サイズの宝石の原石だろうとアスカ的には犬が散歩の最中に道端で拾った枝をくれるのとあまり違いはないという話なので、人間的な経済的価値を当てはめて遠慮しても意味がないらしい。
「ちょっとこう、マッサージをする魔具を造ろうと思っているんだ。肝心のマッサージをする部分を魔術回路で動かすのは良いとしてもそれを棒でやると痛いし、クッションでやると柔らかすぎるしってことで人間の指みたいな触感と強度の素材が何か無いかなぁと思って」
ブラッシングが終え、今度はぐりぐりとアスカの首の周りを指で揉みながら答える。
まあ、アスカに肩凝りなんぞ関係ないとは思うが、温泉が好きなんだからもしかしたら凝り解すっていう感覚も好きなのかも知れないしね。
『ふむ。
熱くなっても構わんか?
魔力を通すと発熱して柔らかくなる素材がある。
人間の指と同じ程度になるかどうかは魔力の量によるが』
アスカがもぞもぞと俺の指の下で動きながら応じる。
なにそれ。魔力を通すと暖かくなって柔らかくなるって・・・良くね??
というか、なんだったらベッドのマットレスにも良いかも?
まあ、どの程度魔力が必要かにもよるが・・・冬場の馬車とかに使うクッションなんかにも使えそうだ。
まあ、魔力の消費量と発熱量の度合いによるが。
熱すぎて火傷するのは困るし、魔力を食いすぎるのも困る。
でも、それこそ発熱用の魔術回路に使う魔力とほぼ同じ程度だったら代わりに使っても良いかも知れない。
魔術学院では冬になると足先が冷えると文句を言っていた人間も多かったから、大きめなスリッパか靴下形にして足を温めるカバーを作っても良いかもだし。
もっとも、足先から狙い通りに魔力を流せるかは要研究かもだが。
とは言え。
聞いたことも無いから入手が大変かもだな。
『人間の鉱山で宝石を取る際に、一緒に掘り出しては周囲に捨てている素材だから・・・ここからだったら北の方の山沿いにあったな』
おお?!
少なくとも土竜《ジャイアント・モール》じゃないと掘り出せないような地中深くではないらしい。
「この袋一杯分ぐらい、サンプルをくれないか?
あと、どこなのかの場所も知りたいんだが・・・」
珍しい宝石や素材っていうのは貰うだけなら構わないし、シェフィート商会とか鉱石ギルドとかに見せて教えて貰える素材なら継続的入手の手配も可能なのだが、知られていない素材の入手場所をアスカに尋ねるのは中々面倒なのだ。
何分、人間社会で付けられる名称なんぞ全く気にしていないから。
流石に俺が住んでいる王都周辺とか、シャルロの妖精王《アルフォンス》の妖精の森の辺とかだと俺たちの認識と合った名称(それでも『王都の西側』程度だが)を教えてくれるが、それ以外の場所だと近くの大きな河の名前すら認識を合わせるのに一苦労するのだ。
山脈の場所はそれなりに人間の意識と一致するので、山脈の地形を俺が地面に描いてそれのどこら辺って尋ねるのが一番真面な感じかな。
だが、鉱山の傍ならば山脈沿いってことで場所を特定できるかも?
まあ、まずはサンプルを貰って使い勝手が良いかを確認した後、良さげならシェフィート商会の誰かが知らないかと見せて、知っているなら入手がどの程度容易かを確認しなきゃだが。
『うむ。
後で持って来よう。
だがその前に、そこのところをもう少し強く揉んでも良いぞ?』
おや。
土竜《ジャイアント・モール》でもマッサージは気持ちがいいらしい。
まあ、程よい強さのマッサージって凝っていなくても気持ちは良いよな。
【後書き】
久しぶりなファンタジー素材w
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