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卒業後
822 星暦557年 紫の月 18日 肩凝り対策(13)
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「なんか、痒い??」
痛みを感じさせる魔術回路は何通りかある。
主な物としては結界で立ち入りを禁じる物、拘束具で動きを禁じる物、あとは隷属系の魔具の従属を促すための物がよく知られている。
アファル王国では隷属系の魔具や魔術は違法なので魔術院でも入手できなかったが、国によっては他国では未だに現役らしい。
取り敢えず動きを禁じる拘束具についている魔術回路と立ち入り禁止結界用のとを比べてみたら、似たような部分があったのでそこを取り出して試作品を作ってみたら、触れている時に魔力を通すと痛い魔具が出来上がった。
どうやら痛みを感じさせるという機能の魔術回路は殆ど同じようだ。
で、今度はそれにごく微細な魔力を通して肌に当ててみたのだが・・・くすぐったい。
俺だけが特殊な反応なのかと思ってアレクとシャルロにも試させたが、どちらも痒いとの反応。
どうやら微細な痛みって痛くなる感覚以下だと痒いとか擽ったいと感じられるらしい。
「ちょこちょこ断続的に擽ったら肩の筋肉が動いて運動代わりになるかも?」
シャルロがちょっと首を傾げて提案する。
「・・・可能性はあるが、多分擽られて肩をすくめ続けるよりも、腕立て伏せでもして腕から首にかけての筋肉を動かす方が健康的だし精神衛生上も良いんじゃないか?」
まあ、擽られ続けるのを耐えられるならば書類に目を通しながら運動が出来るという利点はあるが・・・どう考えても仕事への集中力が下がって良くないだろう。
「少しずつ徐々に出力後上げてみて、もう少し肩こり解消に役立つような効果が得られるか、試してみよう」
アレクが肩を竦めて魔術回路を手に取り、自分の腕に巻き付けて魔力をもう少し多めにこめる。
「もう少し魔力を多めに込めると擽ったくは感じないが・・・なんか微妙にちりちりと痛い感じで居心地はあまり良くないな」
首を傾げながら言い、腕に巻き付けたのを肩の上に乗せて再度魔力を込め始めた。
心眼《サイト》で視てみると、ちょっと刺激を受けて血流が増えている・・・かも?
どうなっているのかもう少しはっきり視ようと集中していたら、アレクが魔力を込めるを止めて・・・血流が増えたように視えた。
「あれ、もう一度魔力を通してみて?」
「ああ」
俺の要請にアレクが魔力を通す。
ちょっと血流が増えたと思ったら減った感じだ。
何らかの形で血流に影響が出ているようだが、どうもずっと魔力を通して刺激を与え続けるよりも、刺激が流れ始めた時と止まった時とに影響が大きい気がする。
「どうも、ずっと魔力を流しっぱなしにするよりも断続的に流したり切ったりすると血流が良くなるっぽい・・・かも?
何か自動的に魔力を断続的に流す仕組みってあったっけ?」
流石に手動でカチカチとスイッチを入れたり切ったりしていたら直ぐにスイッチが壊れそうだし、手が疲れるだろう。
「・・・歯車みたいのを回して交互に魔術回路が繋がったり切れたりするような仕組みを作ったら良いんじゃない?」
先日魔具化出来ないかと暇つぶしに分解して元に戻せなくなり、ケレナに怒られた時計の残骸から歯車を取り出してシャルロが提案する。
確かに、歯車の様に出ている所と引っ込んでいる所が交互になる形を回るようにしたら、素材を選んで歯車を作れば交互に魔術回路を繋いだり切ったりっていう動きが出来そうだ。
時計の中にあったゼンマイをそのまま使えば歯車を一定時間動く様に出来るし。
考えてみたら、このゼンマイ機能を魔術回路で再現出来たら時計を魔具化できるかも?
嵩張った歯車が必要なのだったら魔具化する利点があまりないから、歯車の機能その物も魔術回路で再現できないと金を掛けて時計を魔具で造る意味はないが。
取り敢えずはどのくらい強い刺激をどの程度の頻度で流すと一番血流が増えるのか、血流を増やしたら肩凝りが本当に治るのか、それとも血流が減るのと肩凝りとは必ずしも連動した現象ではないのか、色々と調べてみよう。
でも。
まずは肩が凝っている被験者が必要だな。
アレクの親戚で休みの時にこっちに来たがる物好きがもっといないかな?
出来れば男の方が気軽に服を脱げって言えて楽なんだが。
【後書き】
高周波マッサージ機ってなんか肩を竦めたくなるんですよねぇ。
あれって本当に肩凝りに効くんですかね?
痛みを感じさせる魔術回路は何通りかある。
主な物としては結界で立ち入りを禁じる物、拘束具で動きを禁じる物、あとは隷属系の魔具の従属を促すための物がよく知られている。
アファル王国では隷属系の魔具や魔術は違法なので魔術院でも入手できなかったが、国によっては他国では未だに現役らしい。
取り敢えず動きを禁じる拘束具についている魔術回路と立ち入り禁止結界用のとを比べてみたら、似たような部分があったのでそこを取り出して試作品を作ってみたら、触れている時に魔力を通すと痛い魔具が出来上がった。
どうやら痛みを感じさせるという機能の魔術回路は殆ど同じようだ。
で、今度はそれにごく微細な魔力を通して肌に当ててみたのだが・・・くすぐったい。
俺だけが特殊な反応なのかと思ってアレクとシャルロにも試させたが、どちらも痒いとの反応。
どうやら微細な痛みって痛くなる感覚以下だと痒いとか擽ったいと感じられるらしい。
「ちょこちょこ断続的に擽ったら肩の筋肉が動いて運動代わりになるかも?」
シャルロがちょっと首を傾げて提案する。
「・・・可能性はあるが、多分擽られて肩をすくめ続けるよりも、腕立て伏せでもして腕から首にかけての筋肉を動かす方が健康的だし精神衛生上も良いんじゃないか?」
まあ、擽られ続けるのを耐えられるならば書類に目を通しながら運動が出来るという利点はあるが・・・どう考えても仕事への集中力が下がって良くないだろう。
「少しずつ徐々に出力後上げてみて、もう少し肩こり解消に役立つような効果が得られるか、試してみよう」
アレクが肩を竦めて魔術回路を手に取り、自分の腕に巻き付けて魔力をもう少し多めにこめる。
「もう少し魔力を多めに込めると擽ったくは感じないが・・・なんか微妙にちりちりと痛い感じで居心地はあまり良くないな」
首を傾げながら言い、腕に巻き付けたのを肩の上に乗せて再度魔力を込め始めた。
心眼《サイト》で視てみると、ちょっと刺激を受けて血流が増えている・・・かも?
どうなっているのかもう少しはっきり視ようと集中していたら、アレクが魔力を込めるを止めて・・・血流が増えたように視えた。
「あれ、もう一度魔力を通してみて?」
「ああ」
俺の要請にアレクが魔力を通す。
ちょっと血流が増えたと思ったら減った感じだ。
何らかの形で血流に影響が出ているようだが、どうもずっと魔力を通して刺激を与え続けるよりも、刺激が流れ始めた時と止まった時とに影響が大きい気がする。
「どうも、ずっと魔力を流しっぱなしにするよりも断続的に流したり切ったりすると血流が良くなるっぽい・・・かも?
何か自動的に魔力を断続的に流す仕組みってあったっけ?」
流石に手動でカチカチとスイッチを入れたり切ったりしていたら直ぐにスイッチが壊れそうだし、手が疲れるだろう。
「・・・歯車みたいのを回して交互に魔術回路が繋がったり切れたりするような仕組みを作ったら良いんじゃない?」
先日魔具化出来ないかと暇つぶしに分解して元に戻せなくなり、ケレナに怒られた時計の残骸から歯車を取り出してシャルロが提案する。
確かに、歯車の様に出ている所と引っ込んでいる所が交互になる形を回るようにしたら、素材を選んで歯車を作れば交互に魔術回路を繋いだり切ったりっていう動きが出来そうだ。
時計の中にあったゼンマイをそのまま使えば歯車を一定時間動く様に出来るし。
考えてみたら、このゼンマイ機能を魔術回路で再現出来たら時計を魔具化できるかも?
嵩張った歯車が必要なのだったら魔具化する利点があまりないから、歯車の機能その物も魔術回路で再現できないと金を掛けて時計を魔具で造る意味はないが。
取り敢えずはどのくらい強い刺激をどの程度の頻度で流すと一番血流が増えるのか、血流を増やしたら肩凝りが本当に治るのか、それとも血流が減るのと肩凝りとは必ずしも連動した現象ではないのか、色々と調べてみよう。
でも。
まずは肩が凝っている被験者が必要だな。
アレクの親戚で休みの時にこっちに来たがる物好きがもっといないかな?
出来れば男の方が気軽に服を脱げって言えて楽なんだが。
【後書き】
高周波マッサージ機ってなんか肩を竦めたくなるんですよねぇ。
あれって本当に肩凝りに効くんですかね?
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