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卒業後
814 星暦557年 紫の月 12日 肩凝り対策(5)
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「温泉に浸かると肩凝りとかは良くなるが、忙しい時はそんなのに時間をかける暇もないからある意味役立たずだってさ」
色々聞いて回った結果を朝食後に皆で報告し合う。
ちなみに現実的な話として教師よりも事務職員の方が書類作業が圧倒的に多いせいで、教師側の肩凝りがそれほど酷くないのが魔術師であるお蔭か否かは不明なままだった。
魔術まで使って悪戯や喧嘩をしかねないガキンチョの世話をする為の人員として、教師たちは比較的若くて体を動かすのが苦手じゃない人間が多いし。
鍛錬も一応やっているし、そう言うのが嫌いな人間も問答無用に遠足やその他の演習に付き合う羽目になってそれなりに体を鈍らせない様に学院長から仕向けられているようだったので、自発的にやらない限り体を動かさない事務職員と状況が違っているのもあったし。
「あぁ、確かに。
忙しくなると時間をかけてストレッチとか鍛錬とかジョギングに行く暇もなくなるって言うのは商会や魔術院の職員も言っていたな」
アレクが頷きながら一言付け加える。
「父上や兄上は肩凝りもだけど全般的に社交シーズンだと夜会とかで夜更かしする上にお酒も沢山飲むし規則正しく食事も出来ないしで、今の時期ってあまり体調が良くないみたい。
寝不足とかが解消したら自然に肩凝りも治るのか、社交シーズンが終わってストレスがなくなるから良くなるのかは不明だねぇ」
シャルロが家族の方に聞いて回った結果を報告する。
なるほど。
貴族とか富裕層は社交シーズンだと不健康な夜型生活になるから元から今の時期は体調が良くないのか。
こないだ会った時のオレファーニ侯爵は肩凝りが酷かった様だったが、肩凝りが酷くなくても今の時期は体調は微妙なんだな。
そう考えると、貴族とかが社交シーズン以外にどの程度肩凝りに悩まされているのかも重要かも?
まあ、現実的な話として売りつける先を貴族ではなく商会とかの人間に焦点を合わせる方が良いかも知れないな。
「そう言えば、魔術院の方は質問を入れるのは合意して貰えたのか?」
手伝いが交換条件だったらいつやれば良いのかも知る必要があるし。
「ああ、ぎりぎり間に合った。
記録用魔道具を利用した印刷を活用するようになったから比較的間際に最終案を固めてアンケートを印刷するようになったって話で、明日が最終日だった。
幸い、アンディの上司が肩凝りに悩んでいるらしくてな。
自分にも結果を知らせて試作品を提供するならって間際の追加も承認してくれた」
アレクが笑いながら言った。
「お、じゃあ回答の集計手伝いはしなくても良いのか?」
流石アレク。
交渉が上手いな。
俺だったらさっさとこちらの条件を言っちまってそれ以上の事が求められそうだ。
「一応条件には入っていないが・・・手伝った方が早く結果が手に入るかも?」
アレクが首を少し傾げながら言った。
「そう言えば、魔術学院では教師陣の方が事務職員たちよりも肩凝りに悩まされていないようだったが、それは単に書類仕事が少ないからとか招集された時の為に日ごろから鍛錬するよう学院長から言われているからとかが原因なのか、魔術師だからなのかは不明だったな。
でも、アンディの上司が肩凝りに悩まされているってことは魔術師であっても肩凝りは普通にあるってことか?」
黒板に色々と書き込みながらアレクが肩を竦めた。
「長老クラスの老人だったらあちこちガタが来ているだろうし、自分で魔術を使う機会も少ないだろうからあまり参考にならないんじゃないか?
ある意味、あの年代の研究肌な魔術師がどうなっているかの違いに興味があるところだな。
同じ老人でも研究熱心な魔術師が肩凝りに悩まされていないとしたら、魔力の行使が肩凝り予防に効果があるのかも知れないし」
「確かに。
でもまあ、僕達だって忙しいと身体が凝るから、魔力使用はあまり関係ないかも?
それよりもお風呂に入るみたいな感じに体を温める魔道具が良いかもね」
シャルロが指摘した。
「なんか、事務職員とかは棒とかで凝った個所を押して揉み解すんだって。
自分の手で撫でて押す程度じゃあ解せない筋肉の強張りを何とか出来る術がないか、調べてみると良いかもな」
揉み解し用の魔術回路があるのか、知らないが。
それこそ粘土とかを捏ねるような魔具があったら使えるかも?
健康用だけじゃなく、産業用の魔術回路を調べると良いかも知れないな・・・。
【後書き】
貴族はあまり運動しない人が多いけど書類仕事もそれ程しな人が多いから、肩凝りは少なめかも?
でも書類仕事を全部部下に丸投げする人は横領とかされてるんでしょうねぇ・・・。
色々聞いて回った結果を朝食後に皆で報告し合う。
ちなみに現実的な話として教師よりも事務職員の方が書類作業が圧倒的に多いせいで、教師側の肩凝りがそれほど酷くないのが魔術師であるお蔭か否かは不明なままだった。
魔術まで使って悪戯や喧嘩をしかねないガキンチョの世話をする為の人員として、教師たちは比較的若くて体を動かすのが苦手じゃない人間が多いし。
鍛錬も一応やっているし、そう言うのが嫌いな人間も問答無用に遠足やその他の演習に付き合う羽目になってそれなりに体を鈍らせない様に学院長から仕向けられているようだったので、自発的にやらない限り体を動かさない事務職員と状況が違っているのもあったし。
「あぁ、確かに。
忙しくなると時間をかけてストレッチとか鍛錬とかジョギングに行く暇もなくなるって言うのは商会や魔術院の職員も言っていたな」
アレクが頷きながら一言付け加える。
「父上や兄上は肩凝りもだけど全般的に社交シーズンだと夜会とかで夜更かしする上にお酒も沢山飲むし規則正しく食事も出来ないしで、今の時期ってあまり体調が良くないみたい。
寝不足とかが解消したら自然に肩凝りも治るのか、社交シーズンが終わってストレスがなくなるから良くなるのかは不明だねぇ」
シャルロが家族の方に聞いて回った結果を報告する。
なるほど。
貴族とか富裕層は社交シーズンだと不健康な夜型生活になるから元から今の時期は体調が良くないのか。
こないだ会った時のオレファーニ侯爵は肩凝りが酷かった様だったが、肩凝りが酷くなくても今の時期は体調は微妙なんだな。
そう考えると、貴族とかが社交シーズン以外にどの程度肩凝りに悩まされているのかも重要かも?
まあ、現実的な話として売りつける先を貴族ではなく商会とかの人間に焦点を合わせる方が良いかも知れないな。
「そう言えば、魔術院の方は質問を入れるのは合意して貰えたのか?」
手伝いが交換条件だったらいつやれば良いのかも知る必要があるし。
「ああ、ぎりぎり間に合った。
記録用魔道具を利用した印刷を活用するようになったから比較的間際に最終案を固めてアンケートを印刷するようになったって話で、明日が最終日だった。
幸い、アンディの上司が肩凝りに悩んでいるらしくてな。
自分にも結果を知らせて試作品を提供するならって間際の追加も承認してくれた」
アレクが笑いながら言った。
「お、じゃあ回答の集計手伝いはしなくても良いのか?」
流石アレク。
交渉が上手いな。
俺だったらさっさとこちらの条件を言っちまってそれ以上の事が求められそうだ。
「一応条件には入っていないが・・・手伝った方が早く結果が手に入るかも?」
アレクが首を少し傾げながら言った。
「そう言えば、魔術学院では教師陣の方が事務職員たちよりも肩凝りに悩まされていないようだったが、それは単に書類仕事が少ないからとか招集された時の為に日ごろから鍛錬するよう学院長から言われているからとかが原因なのか、魔術師だからなのかは不明だったな。
でも、アンディの上司が肩凝りに悩まされているってことは魔術師であっても肩凝りは普通にあるってことか?」
黒板に色々と書き込みながらアレクが肩を竦めた。
「長老クラスの老人だったらあちこちガタが来ているだろうし、自分で魔術を使う機会も少ないだろうからあまり参考にならないんじゃないか?
ある意味、あの年代の研究肌な魔術師がどうなっているかの違いに興味があるところだな。
同じ老人でも研究熱心な魔術師が肩凝りに悩まされていないとしたら、魔力の行使が肩凝り予防に効果があるのかも知れないし」
「確かに。
でもまあ、僕達だって忙しいと身体が凝るから、魔力使用はあまり関係ないかも?
それよりもお風呂に入るみたいな感じに体を温める魔道具が良いかもね」
シャルロが指摘した。
「なんか、事務職員とかは棒とかで凝った個所を押して揉み解すんだって。
自分の手で撫でて押す程度じゃあ解せない筋肉の強張りを何とか出来る術がないか、調べてみると良いかもな」
揉み解し用の魔術回路があるのか、知らないが。
それこそ粘土とかを捏ねるような魔具があったら使えるかも?
健康用だけじゃなく、産業用の魔術回路を調べると良いかも知れないな・・・。
【後書き】
貴族はあまり運動しない人が多いけど書類仕事もそれ程しな人が多いから、肩凝りは少なめかも?
でも書類仕事を全部部下に丸投げする人は横領とかされてるんでしょうねぇ・・・。
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