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卒業後
787 星暦557年 赤の月 21日 一斉調査(4)
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「これとこれに魔具が入っているな。
こっちは呪具っぽいから魔術師に直接頼んだ方が良いだろう。
あと・・・こっちは二重底だな」
札が来るのを待っている間に心眼《サイト》で確認した情報に基づいて札を貼っていき、倉庫を出る。
意外にも密輸するのは少数派なのか、その後昼食までの2軒の倉庫は中身が一様でなかった箱が幾つかあっただけだった。
今回の依頼は基本として日給が払われるのだが、密輸品を見つけたら追加報酬が出る。
ただし、ただ単に中身が一様でないとか箱が二重底になっているだけでは駄目で、実際に密輸品が中に入っていなければ追加報酬はない。
中身が一様でない木箱なんて言うのは商品の量が少なければ普通に出てくるので追加報酬が無いのは当然だが、二重底の木箱なんて怪しすぎだろうに。
例え今回は偶々中に何も入っていなかったとしても、前回か次回は何か密輸品が入っていると思うんだけどねぇ。
まあ、二重底の箱を使っているってバレたことで関税の確認作業が厳しくなるだろうと予想して暫くは密輸を止める可能性は高いから、余程のバカじゃない限り次回に密輸品が入っているってことは無いかな?
◆◆◆◆
「・・・もうそろそろ帰ろうと思っていたんだけどなぁ」
夕方になってきたので『これで最後にしよう』とヴェルナスと話しつつ入った倉庫で、思わず項垂れた。
なんと、地下通路がある。
しかもいかにも『隠しています』っぽく入り口の上には木箱が積んである。
「どうした?」
後ろから入ってきたヴェルナスが尋ねる。
「ちなみにさぁ、港の倉庫って地下通路とかで他の建物と繋ぐのって許されてるのか?」
考えようによっては、通関検査が終わった貨物を地下通路で店の方とかに運び込むのは港の出入り口での混雑を避けるためなんてこともあるかも知れない。だが・・・合法だったらその地下通路の入り口はもっと分かりやすい所にあるだろう。
しかも階段ではなく梯子。
どう考えてもこれって人間の密入国用じゃないのか??
まあ、考えてみたら俺たちが開発した魔具で木箱を短時間だけ浮かして上げ下げすることも可能だが。
もしかして、頻繁にそう言う事にも使われているのかなぁ?
密輸入のせいで国の税収が減ったら、結局普通に税金を払っている俺たちが更に毟り取られる羽目になる。
そう考えると密輸入なんぞ根絶やしにしたいところなのに、俺たちの魔具が密輸入の役に立っていたりしたらむかつくぞ。
「許されるわけないだろ。
通関検査が終わった証拠書類を貰っていることを倉庫地区から運び出す際に確認されるんだ。
地下通路なんぞあったら意味がない」
だよねぇ。
あ~、マジで誰かの恨みを買いそう。
つうか、人間を密入国させるんだったら王都なんぞ使わずに、どっかの人気が無い海岸でこっそり夜の停泊中に岸へ降ろせよ。
なんだって通関業務をする場所に紛れ込ませるんだ。
あほか。
八つ当たり気味に文句を頭の中で言いながら、地下通路への入り口があるところに行き、木箱を動かす。
羊毛でも入っているのか、軽い。
考えてみたら羊毛なんぞ輸入するとも思えない。心眼《サイト》で中を確認したところ、どうも高級な壺か何かが大量の緩衝材に包まれて入っていた。
なるほど。
緩衝材のお蔭で軽くてもおかしくない大きな箱が出来上がる訳か。
比較的安い羊毛を態々輸入するよりは怪しまれないな。
幾つかの箱をどけ、奥の仕掛け板の隅を踏んで持ち上げ、中にある取っ手を回して引いたら床板の一部が持ち上がった。
「・・・地下通路か」
俺の行動をじっと見ていたヴェルナスがぼそっと言った。
「おう。
今は下には誰もいないようだがな。兵士を連れて向こう側まで行くか?」
入港したのが昨日か今日ならば、密入国した人間が通路の向こうで休んでいる可能性はある。
船の中とは言え、密入国する人間が普通にかんぱんを歩き回っていたら船員に見られて足がつく可能性がある。入国手続きをせずに下船した人間がいるって事実を広めたく無かったら、木箱の中とは言わずともどこかの部屋に閉じこもっていたことは確実だろう。
身動きが取れない長期間の移動は疲れる。
陸地に付いたら、まずはしっかりと風呂に入り、次に体を伸ばせるベッドで気持ちよく寝るんじゃないかね?
それとも、これは密出国用なのかな?
考えてみたら別に現時点でアファル王国への入国ってそれ程難しくないよな?
王太子の結婚式前とかはかなり神経質に色々と制限していたみたいだが、今となってはかなり緩いんじゃないのか?
だから呪具もあっさり大量に持ち込まれたんだろうし。
こっそり誰が使うのかを調べるために更に数日待機しろなんて言われたら嫌だぞ・・・。
こっちは呪具っぽいから魔術師に直接頼んだ方が良いだろう。
あと・・・こっちは二重底だな」
札が来るのを待っている間に心眼《サイト》で確認した情報に基づいて札を貼っていき、倉庫を出る。
意外にも密輸するのは少数派なのか、その後昼食までの2軒の倉庫は中身が一様でなかった箱が幾つかあっただけだった。
今回の依頼は基本として日給が払われるのだが、密輸品を見つけたら追加報酬が出る。
ただし、ただ単に中身が一様でないとか箱が二重底になっているだけでは駄目で、実際に密輸品が中に入っていなければ追加報酬はない。
中身が一様でない木箱なんて言うのは商品の量が少なければ普通に出てくるので追加報酬が無いのは当然だが、二重底の木箱なんて怪しすぎだろうに。
例え今回は偶々中に何も入っていなかったとしても、前回か次回は何か密輸品が入っていると思うんだけどねぇ。
まあ、二重底の箱を使っているってバレたことで関税の確認作業が厳しくなるだろうと予想して暫くは密輸を止める可能性は高いから、余程のバカじゃない限り次回に密輸品が入っているってことは無いかな?
◆◆◆◆
「・・・もうそろそろ帰ろうと思っていたんだけどなぁ」
夕方になってきたので『これで最後にしよう』とヴェルナスと話しつつ入った倉庫で、思わず項垂れた。
なんと、地下通路がある。
しかもいかにも『隠しています』っぽく入り口の上には木箱が積んである。
「どうした?」
後ろから入ってきたヴェルナスが尋ねる。
「ちなみにさぁ、港の倉庫って地下通路とかで他の建物と繋ぐのって許されてるのか?」
考えようによっては、通関検査が終わった貨物を地下通路で店の方とかに運び込むのは港の出入り口での混雑を避けるためなんてこともあるかも知れない。だが・・・合法だったらその地下通路の入り口はもっと分かりやすい所にあるだろう。
しかも階段ではなく梯子。
どう考えてもこれって人間の密入国用じゃないのか??
まあ、考えてみたら俺たちが開発した魔具で木箱を短時間だけ浮かして上げ下げすることも可能だが。
もしかして、頻繁にそう言う事にも使われているのかなぁ?
密輸入のせいで国の税収が減ったら、結局普通に税金を払っている俺たちが更に毟り取られる羽目になる。
そう考えると密輸入なんぞ根絶やしにしたいところなのに、俺たちの魔具が密輸入の役に立っていたりしたらむかつくぞ。
「許されるわけないだろ。
通関検査が終わった証拠書類を貰っていることを倉庫地区から運び出す際に確認されるんだ。
地下通路なんぞあったら意味がない」
だよねぇ。
あ~、マジで誰かの恨みを買いそう。
つうか、人間を密入国させるんだったら王都なんぞ使わずに、どっかの人気が無い海岸でこっそり夜の停泊中に岸へ降ろせよ。
なんだって通関業務をする場所に紛れ込ませるんだ。
あほか。
八つ当たり気味に文句を頭の中で言いながら、地下通路への入り口があるところに行き、木箱を動かす。
羊毛でも入っているのか、軽い。
考えてみたら羊毛なんぞ輸入するとも思えない。心眼《サイト》で中を確認したところ、どうも高級な壺か何かが大量の緩衝材に包まれて入っていた。
なるほど。
緩衝材のお蔭で軽くてもおかしくない大きな箱が出来上がる訳か。
比較的安い羊毛を態々輸入するよりは怪しまれないな。
幾つかの箱をどけ、奥の仕掛け板の隅を踏んで持ち上げ、中にある取っ手を回して引いたら床板の一部が持ち上がった。
「・・・地下通路か」
俺の行動をじっと見ていたヴェルナスがぼそっと言った。
「おう。
今は下には誰もいないようだがな。兵士を連れて向こう側まで行くか?」
入港したのが昨日か今日ならば、密入国した人間が通路の向こうで休んでいる可能性はある。
船の中とは言え、密入国する人間が普通にかんぱんを歩き回っていたら船員に見られて足がつく可能性がある。入国手続きをせずに下船した人間がいるって事実を広めたく無かったら、木箱の中とは言わずともどこかの部屋に閉じこもっていたことは確実だろう。
身動きが取れない長期間の移動は疲れる。
陸地に付いたら、まずはしっかりと風呂に入り、次に体を伸ばせるベッドで気持ちよく寝るんじゃないかね?
それとも、これは密出国用なのかな?
考えてみたら別に現時点でアファル王国への入国ってそれ程難しくないよな?
王太子の結婚式前とかはかなり神経質に色々と制限していたみたいだが、今となってはかなり緩いんじゃないのか?
だから呪具もあっさり大量に持ち込まれたんだろうし。
こっそり誰が使うのかを調べるために更に数日待機しろなんて言われたら嫌だぞ・・・。
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