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卒業後
770 星暦557年 藤の月 20日 ちょっと方向が違う方が良い?(11)
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「へぇぇ、これが清浄化魔具?」
取り敢えず、走り回って汗と埃まみれになるのは準備が出来てからで良いだろうという事で、昨日は残った時間で新型試作品と旧型試作品を只管造りまくり、番号を振ってオレファーニ侯爵家の王都別邸に置いて来て比較評価を頼んだ。
俺たちが汗をかく実験は明日から頑張る予定。
最近ちょっと運動不足だった気もしないでもないので、否が応でも汚れる様にダレン・ガイフォードにちょっと護身術の稽古をつけてくれるよう頼んである。
なんでもダレン先輩の母親が俺たちが開発している美顔器(名称をどうするかはまだ話し合い中なのだが、貴族女性の間ではその名称が広まっているらしい)の噂を聞き、先輩として先行販売で買えないか聞いて来いと突かれたらしく、非常に嫌な顔をしながら連絡してきたので丁度いいから交換条件で頼むことにしたのだ。
ただ単に走り回るのは億劫だしすぐに止めてしまいそうだが、目的をもってやるとなればもう少し長続きするだろう。
多分。
一応、3日程続ける約束なので十分汚れた状態からの洗浄能力を確認できる。
貴族女性の『汚れ』ってある意味化粧と、それを落とすために使うオイルの残滓らしいんで汗と土埃じゃあ汚れの種類が違うかもしれないが。
シェイラには新種の方の試作品を持ってきた。
流石に比較できるためだけに2つも持って来るのは面倒だったし、シェイラがそこまで美顔に興味があるか微妙だったからね。
「ああ。
服とか髪の汚れも範囲内に入れておけばある程度落ちるから、薄い服なら着たまま使ってみると良いかも?
洗濯代わりに使うなら脱いで椅子の背にでもかけて広げる形で使う方が良いみたいだけど」
考えてみたら、普通に水でバシャバシャ洗うのとどの程度違いがあるかは調べていない。
貴族とかの服って絹製が多いから水でバシャバシャなんて洗わないから、最初から比較対象として入っていなかったんだよなぁ。
でも、一般向け商品を売り出す前には調べた方が良いかも。
まあ、そこら辺はアレクのお袋さんががっつり調べるだろう。
流石に普通に水と石鹸と洗濯板で洗える麻や木綿の服の洗濯用に使うには魔石が勿体ないとは思うが。
「遺跡から見つかった発掘物の洗浄に使えるかしら?」
シェイラが興味深げに魔具を手に取って覗き込む。
「発掘物って水洗いするのか?
ある意味、水に溶ける汚れを落とす魔具だから、ガチガチに固まった土埃とかは落ちないと思うし、下手をしたら水溶性なインクとかで書かれた文様とか文字も消えるぜ?」
鍋とか食器とかが発掘されたんだったら良いだろうが、通常水で濡らさない物だったら迂闊に洗おうとしない方が良い気もする。
衣類はどうなんだろうなぁ?
色落ちが更に酷くなるかもしれないし、反対に汚れが落ちて過去の状態に近づくかもしれない。
まあ、水洗いする気になるような発掘物の洗浄には良いかも知れない。
「あ~。
文様が落ちるかもってことねぇ。
ちなみに、カビとかって落ちるのかしら?
時々、カビが酷すぎて下の模様が読めないような発掘物もあるのよね」
シェイラが尋ねる。
「・・・さぁ?
カビって水で落ちるんか?
殺菌用の術を掛けてからブラッシで擦る方が良いかも知れないが・・・もしかしたら精油とかを多めに使ってやってみたら油に溶けるかも?」
なんかカビが水に溶けるイメージが無いから、化粧落としみたいに油でとかしたら落ちるかも?とも思って言ってみたが、別にカビが油に溶けやすいとも限らないか。
つうか、カビが溶けるような素材って下の文様を描いたインクも溶かすんじゃないかね?
「・・・なるほど。
殺菌用の術を掛けたらカビが死んで落ちやすくなるかも?
ちょっと今度、ベルダ師にでも頼んで実験してみようかしら」
シェイラが呟いた。
あのリタイヤした老魔術師の爺さん、今でも遺跡発掘に協力しているのか。
最近はシェイラに会うのも街でのことが多かったから、爺さんを見かけなかったから忘れてた。
カビ落とし用の魔具なんていうのもあったら良いかも?
とは言え、魔具を買うだけ金があったらカビが生えた物なんぞ捨てて新しいのを買い替える気もするが。
魔具って需要と経済力が合ってないことが多いんだよなぁ。
遊びとかお洒落とかの為の魔具よりも、より生活に密着した物を開発する方が喜ばれそうなもんだが、それが実際に売れるかって言うとそうでもないらしい。
世の中難しいぜ。
取り敢えず、走り回って汗と埃まみれになるのは準備が出来てからで良いだろうという事で、昨日は残った時間で新型試作品と旧型試作品を只管造りまくり、番号を振ってオレファーニ侯爵家の王都別邸に置いて来て比較評価を頼んだ。
俺たちが汗をかく実験は明日から頑張る予定。
最近ちょっと運動不足だった気もしないでもないので、否が応でも汚れる様にダレン・ガイフォードにちょっと護身術の稽古をつけてくれるよう頼んである。
なんでもダレン先輩の母親が俺たちが開発している美顔器(名称をどうするかはまだ話し合い中なのだが、貴族女性の間ではその名称が広まっているらしい)の噂を聞き、先輩として先行販売で買えないか聞いて来いと突かれたらしく、非常に嫌な顔をしながら連絡してきたので丁度いいから交換条件で頼むことにしたのだ。
ただ単に走り回るのは億劫だしすぐに止めてしまいそうだが、目的をもってやるとなればもう少し長続きするだろう。
多分。
一応、3日程続ける約束なので十分汚れた状態からの洗浄能力を確認できる。
貴族女性の『汚れ』ってある意味化粧と、それを落とすために使うオイルの残滓らしいんで汗と土埃じゃあ汚れの種類が違うかもしれないが。
シェイラには新種の方の試作品を持ってきた。
流石に比較できるためだけに2つも持って来るのは面倒だったし、シェイラがそこまで美顔に興味があるか微妙だったからね。
「ああ。
服とか髪の汚れも範囲内に入れておけばある程度落ちるから、薄い服なら着たまま使ってみると良いかも?
洗濯代わりに使うなら脱いで椅子の背にでもかけて広げる形で使う方が良いみたいだけど」
考えてみたら、普通に水でバシャバシャ洗うのとどの程度違いがあるかは調べていない。
貴族とかの服って絹製が多いから水でバシャバシャなんて洗わないから、最初から比較対象として入っていなかったんだよなぁ。
でも、一般向け商品を売り出す前には調べた方が良いかも。
まあ、そこら辺はアレクのお袋さんががっつり調べるだろう。
流石に普通に水と石鹸と洗濯板で洗える麻や木綿の服の洗濯用に使うには魔石が勿体ないとは思うが。
「遺跡から見つかった発掘物の洗浄に使えるかしら?」
シェイラが興味深げに魔具を手に取って覗き込む。
「発掘物って水洗いするのか?
ある意味、水に溶ける汚れを落とす魔具だから、ガチガチに固まった土埃とかは落ちないと思うし、下手をしたら水溶性なインクとかで書かれた文様とか文字も消えるぜ?」
鍋とか食器とかが発掘されたんだったら良いだろうが、通常水で濡らさない物だったら迂闊に洗おうとしない方が良い気もする。
衣類はどうなんだろうなぁ?
色落ちが更に酷くなるかもしれないし、反対に汚れが落ちて過去の状態に近づくかもしれない。
まあ、水洗いする気になるような発掘物の洗浄には良いかも知れない。
「あ~。
文様が落ちるかもってことねぇ。
ちなみに、カビとかって落ちるのかしら?
時々、カビが酷すぎて下の模様が読めないような発掘物もあるのよね」
シェイラが尋ねる。
「・・・さぁ?
カビって水で落ちるんか?
殺菌用の術を掛けてからブラッシで擦る方が良いかも知れないが・・・もしかしたら精油とかを多めに使ってやってみたら油に溶けるかも?」
なんかカビが水に溶けるイメージが無いから、化粧落としみたいに油でとかしたら落ちるかも?とも思って言ってみたが、別にカビが油に溶けやすいとも限らないか。
つうか、カビが溶けるような素材って下の文様を描いたインクも溶かすんじゃないかね?
「・・・なるほど。
殺菌用の術を掛けたらカビが死んで落ちやすくなるかも?
ちょっと今度、ベルダ師にでも頼んで実験してみようかしら」
シェイラが呟いた。
あのリタイヤした老魔術師の爺さん、今でも遺跡発掘に協力しているのか。
最近はシェイラに会うのも街でのことが多かったから、爺さんを見かけなかったから忘れてた。
カビ落とし用の魔具なんていうのもあったら良いかも?
とは言え、魔具を買うだけ金があったらカビが生えた物なんぞ捨てて新しいのを買い替える気もするが。
魔具って需要と経済力が合ってないことが多いんだよなぁ。
遊びとかお洒落とかの為の魔具よりも、より生活に密着した物を開発する方が喜ばれそうなもんだが、それが実際に売れるかって言うとそうでもないらしい。
世の中難しいぜ。
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