759 / 1,119
卒業後
758 星暦556年 桃の月 29日 年末の予定(16)
しおりを挟む
『随分と変なものを運ぶのね』
年末のパーティ前に俺がお土産兼サンプルとして持って帰って来た各種お香や薬になるかも知れない香辛料及び精油をアレクがラフェーンの背に積もうとしたところ、珍しく無口なユニコーンがコメントしてきた。
「匂いがキツイか?」
アレクが尋ねる。
注意除けの魔具を使うことでユニコーンを街中で乗っても極端に凝視されなくなったアレクだが、香辛料を大量に運ぶのにはユニコーンは適していないかもと心配になったらしい。
とは言え、馬だって匂いには敏感だと思うから、口で説得できる使い魔に運んでもらう方が良いんじゃないかね?
『いや、匂いと言うよりも・・・一部は害のある物だから、アレクやアレクの親しい人間が使うつもりなのならやめた方が良いよ?』
ラフェーンが応じた。
「・・・そう言えば、ラフェーンって薬草とかに詳しかったな。
お香とか香辛料も実は薬草の一種扱いだったり?」
ちょっと頭を抱えながらアレクに尋ねる。
もしかして、シャルロ経由で態々ウォレン爺に調べるよう手配させたのって完全に無駄??!!
『ええ。
基本的に薬と毒になる物は通じてるわ』
俺の言葉にラフェーンへ尋ねる様に目をやったアレクにあっさりユニコーンが頷いて応じた。
・・・そうなのかぁ。
俺たちって折角幻獣に使い魔になって貰っても、移動手段とか土木工事とかの手伝い以外で殆ど頼ってない。
実はこれってとっても勿体ない事していた??
まあ、俺の場合は最近は鍛冶仕事も殆どやっていないし、金属や鉱物関連のこともやってないからあんまり損はしていない筈。
でも、今回の香辛料関係はかなりアホだったかもなぁ。
「・・・まあ、国に自力で調べさせておくのも必要だろう。
後で答え合わせする際に危険な物が抜けていたら指摘すれば良いだろうし」
ため息をついて荷物を降ろしながらアレクが言った。
「全部広げるから、食べたら危険な物、香として匂いを嗅ぐだけでもダメな物、肌にマッサージのような感じに塗り込むのもダメな物等々、人間・・・やペットに悪影響がある物を全部教えてくれ」
工房の作業机に広げるつもりなのか、家の方へ戻りながらアレクがラフェーンにお願いした。
一応工房だったらラフェーンやアスカでも入れるよう、庭からの入り口は大きめにしてあるんだよね。
何故か幻獣の足には泥が付かないから外から入っても大丈夫だし。
あれって本当に便利だよなぁ。
物理的に何かを蹴飛ばしたり運んだりできるのに、埃や泥を運び込まないのってなんでなんだろう?
靴やマントにその機能を模倣出来たら凄く便利だと思うが・・・まあ、靴に魔術回路を組み込むのは非現実的かな。
魔術回路で模倣できる現象な気もしないし。
「ちなみに、ついでにデザートに入れたら美味しくなる甘いのとか香りがよくなる香辛料って分かったりしないかな?」
色々とデルブ夫人たちが試しているようだが、既に答えが分かっているなら情報を得ておいてそれを活用する方に注力すればいい。
『ユニコーンは基本魔力と、気が向いたら草や果物を食べる存在。
人間の食事を美味しいと感じないから、健康への効果は分かっても食べた時の感覚は共有出来ないから参考にはならないわね』
あっさりラフェーンに断られてしまった。
なるほど。
新鮮な雑草が美味しいと感じる存在に、ケーキを美味しくする方法を聞いてもしょうがないな。
まだシャルロのアルフォンスやその配下の方がマシかも知れないが・・・妖精の世界とは生えている植物とかも違いそうだ。
考えてみたら、人間って魔力が多く含まれる食材を美味しいとか美味しくないとか感じるんだろうか?
妖精は魔力が濃厚な食材の方が美味しく感じるようなことを誰かが言っていた気がするが。
とは言え、魔力を使う魔術師ならまだしも普通の一般人が変に魔力の濃厚な食材を食べると変な病気になる可能性もありそうだな。
「ちなみに、魔力を込めたら変な効果が出る香とか素材ってあったりするのか?」
妖精界の素材だったら魔力の濃度によって効果や味に変化が出そうだが、普通の香辛料とかにもそう言うので変な反応を示す物ってあったりするんだろうか?
『人為的に込められる程度の魔力で香の効果に変化が出ることは余りないけど・・・毒や薬によっては魔力を込めると効果が上がる物はあるわね』
あっさりラフェーンが答えた。
マジか!!
【後書き】
一応と思って聞いたらあると言う答えにちょっと頭を抱えたいウィル君w
またもや活躍の場が増えそう?
年末のパーティ前に俺がお土産兼サンプルとして持って帰って来た各種お香や薬になるかも知れない香辛料及び精油をアレクがラフェーンの背に積もうとしたところ、珍しく無口なユニコーンがコメントしてきた。
「匂いがキツイか?」
アレクが尋ねる。
注意除けの魔具を使うことでユニコーンを街中で乗っても極端に凝視されなくなったアレクだが、香辛料を大量に運ぶのにはユニコーンは適していないかもと心配になったらしい。
とは言え、馬だって匂いには敏感だと思うから、口で説得できる使い魔に運んでもらう方が良いんじゃないかね?
『いや、匂いと言うよりも・・・一部は害のある物だから、アレクやアレクの親しい人間が使うつもりなのならやめた方が良いよ?』
ラフェーンが応じた。
「・・・そう言えば、ラフェーンって薬草とかに詳しかったな。
お香とか香辛料も実は薬草の一種扱いだったり?」
ちょっと頭を抱えながらアレクに尋ねる。
もしかして、シャルロ経由で態々ウォレン爺に調べるよう手配させたのって完全に無駄??!!
『ええ。
基本的に薬と毒になる物は通じてるわ』
俺の言葉にラフェーンへ尋ねる様に目をやったアレクにあっさりユニコーンが頷いて応じた。
・・・そうなのかぁ。
俺たちって折角幻獣に使い魔になって貰っても、移動手段とか土木工事とかの手伝い以外で殆ど頼ってない。
実はこれってとっても勿体ない事していた??
まあ、俺の場合は最近は鍛冶仕事も殆どやっていないし、金属や鉱物関連のこともやってないからあんまり損はしていない筈。
でも、今回の香辛料関係はかなりアホだったかもなぁ。
「・・・まあ、国に自力で調べさせておくのも必要だろう。
後で答え合わせする際に危険な物が抜けていたら指摘すれば良いだろうし」
ため息をついて荷物を降ろしながらアレクが言った。
「全部広げるから、食べたら危険な物、香として匂いを嗅ぐだけでもダメな物、肌にマッサージのような感じに塗り込むのもダメな物等々、人間・・・やペットに悪影響がある物を全部教えてくれ」
工房の作業机に広げるつもりなのか、家の方へ戻りながらアレクがラフェーンにお願いした。
一応工房だったらラフェーンやアスカでも入れるよう、庭からの入り口は大きめにしてあるんだよね。
何故か幻獣の足には泥が付かないから外から入っても大丈夫だし。
あれって本当に便利だよなぁ。
物理的に何かを蹴飛ばしたり運んだりできるのに、埃や泥を運び込まないのってなんでなんだろう?
靴やマントにその機能を模倣出来たら凄く便利だと思うが・・・まあ、靴に魔術回路を組み込むのは非現実的かな。
魔術回路で模倣できる現象な気もしないし。
「ちなみに、ついでにデザートに入れたら美味しくなる甘いのとか香りがよくなる香辛料って分かったりしないかな?」
色々とデルブ夫人たちが試しているようだが、既に答えが分かっているなら情報を得ておいてそれを活用する方に注力すればいい。
『ユニコーンは基本魔力と、気が向いたら草や果物を食べる存在。
人間の食事を美味しいと感じないから、健康への効果は分かっても食べた時の感覚は共有出来ないから参考にはならないわね』
あっさりラフェーンに断られてしまった。
なるほど。
新鮮な雑草が美味しいと感じる存在に、ケーキを美味しくする方法を聞いてもしょうがないな。
まだシャルロのアルフォンスやその配下の方がマシかも知れないが・・・妖精の世界とは生えている植物とかも違いそうだ。
考えてみたら、人間って魔力が多く含まれる食材を美味しいとか美味しくないとか感じるんだろうか?
妖精は魔力が濃厚な食材の方が美味しく感じるようなことを誰かが言っていた気がするが。
とは言え、魔力を使う魔術師ならまだしも普通の一般人が変に魔力の濃厚な食材を食べると変な病気になる可能性もありそうだな。
「ちなみに、魔力を込めたら変な効果が出る香とか素材ってあったりするのか?」
妖精界の素材だったら魔力の濃度によって効果や味に変化が出そうだが、普通の香辛料とかにもそう言うので変な反応を示す物ってあったりするんだろうか?
『人為的に込められる程度の魔力で香の効果に変化が出ることは余りないけど・・・毒や薬によっては魔力を込めると効果が上がる物はあるわね』
あっさりラフェーンが答えた。
マジか!!
【後書き】
一応と思って聞いたらあると言う答えにちょっと頭を抱えたいウィル君w
またもや活躍の場が増えそう?
2
お気に入りに追加
503
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。

異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜
キノア9g
ファンタジー
※本作はフィクションです。
「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」
20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。
一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。
毎日19時更新予定。
予約ミスしてたの気づきました💦再開します。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる