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卒業後
706 星暦556年 緑の月 30日 久しぶりに船探し(18)
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書斎の後、台所っぽいところをちらっと見せて離れの寝室、そしてその下の地下室へシェイラとツァレスを案内した。
「おお~。
確かにこちらの方が多いね。
ネコババ説濃厚だな!」
ツァレスが神殿長の隠し地下室(多分)せかせかと歩き回りながら興奮した様子で言った。
シェイラはちょこちょこ砂を落として棚にある物を確認しながらもう少しゆっくり見て回っている。
「さて。
何分換金価値が高そうな遺物が多い上に、海底という難しい場所にあるので、我々としてはここにある物を数日かけて自分達で屋敷船に持ち込み、王都でさっと調べてオークションに掛けるつもりなのですが・・・この神殿は何なのか、分かりましたか?」
アレクがパンパンと手を叩いてツァレスの注意を引いて尋ねた。
「う~ん。
多分、500年程前のファセダール王朝時代にあった海神神殿だと思う。
確か神殿内の内部闘争が激しくなった時期に、ファーグ沖の神殿が沈んで神の警告だ!!ということで神官たちの態度が一新されたって話を読んだ気がするし」
ツァレスがあっさり答えた。
500年前ねぇ。
微妙に考古学としては新しいか?
今までの遺跡はフォレスタ文明もオーパスタ神殿も、一回その民族が死に絶えて(多分)完全に現代での発掘は推測作業だからなぁ。
ファセダール王朝だったらそれなりに資料は残って良そうだかから考古学というより歴史の世界か?
「へぇぇ、堕落した神官たちをピシッと正した伝説の神殿なんだ~」
シャルロがおっとり言った。
まあ、態度を正したところで海神様が再び神官の祈りに耳を傾けるようになったかは不明だが。
「今までは沈没船を直接王都まで持って行っていたんだけど、流石に島を動かすのは難しいから、箱詰めして持って行くことになるから、大量に箱と緩衝材用の木屑でも入手しないとだな」
部屋を見回しながら俺が付け足す。
「出来ればこのままの状態でもう少し調べさせてもらいたいんだが・・・」
ツァレスが目の前の棚に埋まっている何かを刷毛で丁寧に掘り出しながら強請る。
交渉中も手を止めないのが考古学者だよねぇ。
とは言え、おっちゃんに強請られてもねぇ。
シェイラは流石に金銭的価値の大きすぎることから諦めたのか、何も言わずに真剣に何やら奥にあった遺物を調べている。
「どの程度の間空気が大丈夫かも不明ですからね~。
僕とウィルだって休みが終わったら王都に帰らなきゃいけないし。
遠隔でここの水をあけておいてってお願いして、うっかり精霊が飽きちゃったりしたら発掘作業をしている人たちは確実に助からないですよね?
それともこの深さならなんとか泳いで海面まで上がれるのかな?」
ちょっと首を傾げながらシャルロが言った。
「海面まで上がっても陸地まで泳げなけけりゃヤバいだろ。
このサイズの空間に一気に水が流れ込んだら海面でも大きな渦とかが発生するだろうから、小型の船程度だったら巻き込まれて沈没する可能性も高いぜ。
海中で作業できる魔具みたいのがあるんだったらまだマシかもだが・・・歴史学会にそんな魔具を揃えて動かす資金は無いだろ?」
特に掘り返す必要も無かった地下にあり、住民が撤去する際に重要なものは持ち去ったらしきオーパスタ神殿の遺跡をそのまま歴史学会に明け渡すと、露骨に換金価値がある宝が残っている神殿では扱いが違うし・・・俺たちがそれに時間を拘束される謂れはない。
「まあ、地階にあった粉々の破片が欲しいというのだったらまずはあれを箱詰めにして船に運び込むので1日か2日は掛かりそうだから、その間は思う存分にここなり神殿なりを調べていて良いですよ。
その後は随時残りの物を梱包している間に調べる程度ですかね。王都に運び込んだ後もオークションの手配が終わるまでは好きに調べて貰っていて良いのでそこら辺は兄と話し合ってください」
アレクが親切そうに提案した。
とは言え、実質何も妥協してないけどね。
しかも色々調べたらその報告書を出させてオークションでの追加情報にしそう。
「売り出しに歴史的情報を付け足して価格を吊り上げるのに協力したら、オークションでの売り上げの1割ぐらい、協力した学者の方にも頂けるのかしら?」
壺っぽい物を調べていたと思っていたシェイラが口を挟んでいた。
ちゃんと聞いていたようだ。
確かにね~。
上手くオークションで価格を吊り上げられたら、1割でも発掘で使う魔具や魔石の購入費用に役立ちそうだよな。
ある意味、考古学者たちにとっては500年なんてちょっと新しめな遺物に固執するよりも、得た収入でもっと古くて何が残っているのか分からないような遺跡に時間と金を掛ける方が楽しいのかも。
500年でも十分楽しそうだけど。
「このままの状態でオークション開催者から提出された査定額と、歴史的情報を付け加えて売るのとでどの程度金額が変わるかを確認して、差額の3割でどうですかね?
価値が全然変わらない様だったら総額の1割というのは多すぎる」
アレクが代案を返す。
「良いわ!」
にやりと笑いながらシェイラが言った。
おや。
もっと交渉すると思ったのだが。
アレクを見たら、『あらら・・・』という顔をしていた。
まあ、そのままよりも売上額があがるし、何か情報があったら面白いかもだし、良いとしようぜ~。
【後書き】
シェイラさん強しw
「おお~。
確かにこちらの方が多いね。
ネコババ説濃厚だな!」
ツァレスが神殿長の隠し地下室(多分)せかせかと歩き回りながら興奮した様子で言った。
シェイラはちょこちょこ砂を落として棚にある物を確認しながらもう少しゆっくり見て回っている。
「さて。
何分換金価値が高そうな遺物が多い上に、海底という難しい場所にあるので、我々としてはここにある物を数日かけて自分達で屋敷船に持ち込み、王都でさっと調べてオークションに掛けるつもりなのですが・・・この神殿は何なのか、分かりましたか?」
アレクがパンパンと手を叩いてツァレスの注意を引いて尋ねた。
「う~ん。
多分、500年程前のファセダール王朝時代にあった海神神殿だと思う。
確か神殿内の内部闘争が激しくなった時期に、ファーグ沖の神殿が沈んで神の警告だ!!ということで神官たちの態度が一新されたって話を読んだ気がするし」
ツァレスがあっさり答えた。
500年前ねぇ。
微妙に考古学としては新しいか?
今までの遺跡はフォレスタ文明もオーパスタ神殿も、一回その民族が死に絶えて(多分)完全に現代での発掘は推測作業だからなぁ。
ファセダール王朝だったらそれなりに資料は残って良そうだかから考古学というより歴史の世界か?
「へぇぇ、堕落した神官たちをピシッと正した伝説の神殿なんだ~」
シャルロがおっとり言った。
まあ、態度を正したところで海神様が再び神官の祈りに耳を傾けるようになったかは不明だが。
「今までは沈没船を直接王都まで持って行っていたんだけど、流石に島を動かすのは難しいから、箱詰めして持って行くことになるから、大量に箱と緩衝材用の木屑でも入手しないとだな」
部屋を見回しながら俺が付け足す。
「出来ればこのままの状態でもう少し調べさせてもらいたいんだが・・・」
ツァレスが目の前の棚に埋まっている何かを刷毛で丁寧に掘り出しながら強請る。
交渉中も手を止めないのが考古学者だよねぇ。
とは言え、おっちゃんに強請られてもねぇ。
シェイラは流石に金銭的価値の大きすぎることから諦めたのか、何も言わずに真剣に何やら奥にあった遺物を調べている。
「どの程度の間空気が大丈夫かも不明ですからね~。
僕とウィルだって休みが終わったら王都に帰らなきゃいけないし。
遠隔でここの水をあけておいてってお願いして、うっかり精霊が飽きちゃったりしたら発掘作業をしている人たちは確実に助からないですよね?
それともこの深さならなんとか泳いで海面まで上がれるのかな?」
ちょっと首を傾げながらシャルロが言った。
「海面まで上がっても陸地まで泳げなけけりゃヤバいだろ。
このサイズの空間に一気に水が流れ込んだら海面でも大きな渦とかが発生するだろうから、小型の船程度だったら巻き込まれて沈没する可能性も高いぜ。
海中で作業できる魔具みたいのがあるんだったらまだマシかもだが・・・歴史学会にそんな魔具を揃えて動かす資金は無いだろ?」
特に掘り返す必要も無かった地下にあり、住民が撤去する際に重要なものは持ち去ったらしきオーパスタ神殿の遺跡をそのまま歴史学会に明け渡すと、露骨に換金価値がある宝が残っている神殿では扱いが違うし・・・俺たちがそれに時間を拘束される謂れはない。
「まあ、地階にあった粉々の破片が欲しいというのだったらまずはあれを箱詰めにして船に運び込むので1日か2日は掛かりそうだから、その間は思う存分にここなり神殿なりを調べていて良いですよ。
その後は随時残りの物を梱包している間に調べる程度ですかね。王都に運び込んだ後もオークションの手配が終わるまでは好きに調べて貰っていて良いのでそこら辺は兄と話し合ってください」
アレクが親切そうに提案した。
とは言え、実質何も妥協してないけどね。
しかも色々調べたらその報告書を出させてオークションでの追加情報にしそう。
「売り出しに歴史的情報を付け足して価格を吊り上げるのに協力したら、オークションでの売り上げの1割ぐらい、協力した学者の方にも頂けるのかしら?」
壺っぽい物を調べていたと思っていたシェイラが口を挟んでいた。
ちゃんと聞いていたようだ。
確かにね~。
上手くオークションで価格を吊り上げられたら、1割でも発掘で使う魔具や魔石の購入費用に役立ちそうだよな。
ある意味、考古学者たちにとっては500年なんてちょっと新しめな遺物に固執するよりも、得た収入でもっと古くて何が残っているのか分からないような遺跡に時間と金を掛ける方が楽しいのかも。
500年でも十分楽しそうだけど。
「このままの状態でオークション開催者から提出された査定額と、歴史的情報を付け加えて売るのとでどの程度金額が変わるかを確認して、差額の3割でどうですかね?
価値が全然変わらない様だったら総額の1割というのは多すぎる」
アレクが代案を返す。
「良いわ!」
にやりと笑いながらシェイラが言った。
おや。
もっと交渉すると思ったのだが。
アレクを見たら、『あらら・・・』という顔をしていた。
まあ、そのままよりも売上額があがるし、何か情報があったら面白いかもだし、良いとしようぜ~。
【後書き】
シェイラさん強しw
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