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卒業後
691 星暦556年 緑の月 21日 久しぶりに船探し(3)
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「まずはパディン夫人に20日間の船での遠出に付き合うのが吝かじゃないかを聞いて、嫌じゃないんだったら旦那さんが一緒に来れるか、もしくは旦那さんを20日間も放置できるかを確認してもらってその間にケレナに話を聞きに行く?」
俺たちは何を見つけたいかとかについて夢一杯に盛り上がった後、現実的な手配の話を始めた。
「だな。
パディン夫人がダメそうだったら家政婦ギルドの方に連絡を取る必要があるし、南西の航路で沈没した船の記録も確認しておきたい」
アレクがシャルロの言葉に頷く。
「ケレナの友達とやらの方も急に遊びに行っていいのか聞いた方が良いんじゃないか?
まあ、それはケレナがやるだろうけど」
俺も一応シェイラにいつだったら遊びに行っても時間がありそうか、確認しておく方が良いし。
シェイラも興味があるなら数日休みを取って一緒に沈没船探しをしたって良いだろう。
「そうだね。
じゃあ、まずパディン夫人に聞きに行こう!」
シャルロが立ち上がり、台所の方へ向かった。
「20日間も遠出ですか?
しかも私と夫も同行??」
俺とアレクが台所に着いた時には、パディン夫人が目を丸くしていた。
「ちょっと最近根を詰めていたので、少し気分転換に沈没船探しを兼ねて南西の方へ屋敷船で遊びに行こうと思ってね。
日中は港の傍に停留してパディン夫人と旦那さんには南西地方を散策してもらって良いんだが、雇う予定のメイドの監督と食事をお願いできればと思ってね。
ああ、昼食分のお弁当もお願いしたいな」
アレクが付け加える。
「はぁ。
20日もですか?」
パディン夫人が微妙そうな顔をした。
貴族だったらそのくらい長期で避暑地とかに行くこともあるんじゃないか?
俺たちがそこまで遠出しないから(新規航路を探しに行った時は別として)、ちょっと驚いているようだ。
「まあ、『沈没船が見つからなかったら最大20日で切り上げる』という予定かな。
探し始めた翌日に見つかったりしたら続けるけど、10日目以降ぐらいに見つかったら王都への沈没船の持ち込みとかその他の手配の関係でちょっと早い目に切り上げて帰ってくる可能性もあるかも」
普通の引き揚げ屋だったらここで『沈没船を探そう』と思い立って一発で見つかる可能性なんて限りなく低いと思うが、俺たちはかなり反則的に運が良いのかやり方が良いのか、今までは毎回見つかっているからなぁ。
それこそ完全に何も見つからなかったらシャルロ甘々な蒼流が、適当に大きな沈没船を見つけて夜中にさり気なく持って来る可能性すらあると思うし。
高位精霊がどのくらい『さり気なく』沈没船を探索予定場所に置けるか、知らないが。
「まあ、まだケレナの都合も聞いてないんで話が流れる可能性もあるんだけど、取り敢えずパディン夫人がどう思うかを聞いて、興味があるなら旦那さんの都合とかを確認して貰えないかと思ってね」
シャルロが追加する。
考えてみたら、色々焼き菓子を含めた食料の買い出しとか、南西航路で沈没した船の記録とか、南西地域で美味しい店の情報とか、調べることは色々ある。
出発までにどのくらい日数が掛かるか微妙だな。
とは言え、パディン夫人はそれなりに興味を感じたのか、表情は悪くない。
「南西ですか。
ファーグの街とかの傍にもいきますか?」
ファーグの街は南西のケレナの友達のなんちゃら伯爵領の領都のはず。
それなりに大きくて交易とかも盛んな場所だから行ってみたら面白いんじゃないかな?
シェイラと散策に行っても良いかも知れない。
ピンポイントでパディン夫人が聞いてきたのはちょっと驚きだけど。
何か縁があるのかな?
「うん、そこにケレナの友達がいるらしいからそこに日中は停泊している可能性が高くなると思うけど、他の地域にも行けるよ?」
シャルロが頷く。
「ファーグの街に娘が嫁いでいるんです。
もう何年も会っていないので、この機会に行くのも良いかも知れません」
スカートをそっと撫でながらパディン夫人が言った。
へぇぇ。
国内とは言え、一般人にはちょっと遠い所にいるんだね。
魔術師だったら転移門で直ぐだが、家政婦と植木職人の収入では転移門の費用はそうそう何度も払えないだろう。
かと言って馬車での移動ではかなりの日数が掛かる。
そう考えると、魔術師と富裕層以外って家族が遠方に引っ越しちゃったら生きている間に再会できるかって微妙そうだな。
まあ、パディン夫人だったら頼まれたら行きの転移門の魔力補充ぐらいは俺たちがやってもいいけどさ。
「そうなんだ。
だったら是非同行してくれると嬉しい。
パディン氏が同行できるか、もしくは彼がこちらに残っても大丈夫か、確認しておいてもらえるか?」
アレクがパディン夫人に頼む。
無料で娘さんに会いに行けるとなったら、旦那を残してでも来てくれるかも?
まあ、旦那も一緒に来れたら一番良いんだろうけど。
それこそ、休みの間の替えが必要なら、シャルロのとこの使用人の誰かに手伝ってもらえないかな?
まあ、まずはケレナがこの遠出に前向きかどうかが最重要事項だけど。
【後書き】
これでケレナが南西地域の友人と仲違いしていたりしたらかなり気不味かったりw
俺たちは何を見つけたいかとかについて夢一杯に盛り上がった後、現実的な手配の話を始めた。
「だな。
パディン夫人がダメそうだったら家政婦ギルドの方に連絡を取る必要があるし、南西の航路で沈没した船の記録も確認しておきたい」
アレクがシャルロの言葉に頷く。
「ケレナの友達とやらの方も急に遊びに行っていいのか聞いた方が良いんじゃないか?
まあ、それはケレナがやるだろうけど」
俺も一応シェイラにいつだったら遊びに行っても時間がありそうか、確認しておく方が良いし。
シェイラも興味があるなら数日休みを取って一緒に沈没船探しをしたって良いだろう。
「そうだね。
じゃあ、まずパディン夫人に聞きに行こう!」
シャルロが立ち上がり、台所の方へ向かった。
「20日間も遠出ですか?
しかも私と夫も同行??」
俺とアレクが台所に着いた時には、パディン夫人が目を丸くしていた。
「ちょっと最近根を詰めていたので、少し気分転換に沈没船探しを兼ねて南西の方へ屋敷船で遊びに行こうと思ってね。
日中は港の傍に停留してパディン夫人と旦那さんには南西地方を散策してもらって良いんだが、雇う予定のメイドの監督と食事をお願いできればと思ってね。
ああ、昼食分のお弁当もお願いしたいな」
アレクが付け加える。
「はぁ。
20日もですか?」
パディン夫人が微妙そうな顔をした。
貴族だったらそのくらい長期で避暑地とかに行くこともあるんじゃないか?
俺たちがそこまで遠出しないから(新規航路を探しに行った時は別として)、ちょっと驚いているようだ。
「まあ、『沈没船が見つからなかったら最大20日で切り上げる』という予定かな。
探し始めた翌日に見つかったりしたら続けるけど、10日目以降ぐらいに見つかったら王都への沈没船の持ち込みとかその他の手配の関係でちょっと早い目に切り上げて帰ってくる可能性もあるかも」
普通の引き揚げ屋だったらここで『沈没船を探そう』と思い立って一発で見つかる可能性なんて限りなく低いと思うが、俺たちはかなり反則的に運が良いのかやり方が良いのか、今までは毎回見つかっているからなぁ。
それこそ完全に何も見つからなかったらシャルロ甘々な蒼流が、適当に大きな沈没船を見つけて夜中にさり気なく持って来る可能性すらあると思うし。
高位精霊がどのくらい『さり気なく』沈没船を探索予定場所に置けるか、知らないが。
「まあ、まだケレナの都合も聞いてないんで話が流れる可能性もあるんだけど、取り敢えずパディン夫人がどう思うかを聞いて、興味があるなら旦那さんの都合とかを確認して貰えないかと思ってね」
シャルロが追加する。
考えてみたら、色々焼き菓子を含めた食料の買い出しとか、南西航路で沈没した船の記録とか、南西地域で美味しい店の情報とか、調べることは色々ある。
出発までにどのくらい日数が掛かるか微妙だな。
とは言え、パディン夫人はそれなりに興味を感じたのか、表情は悪くない。
「南西ですか。
ファーグの街とかの傍にもいきますか?」
ファーグの街は南西のケレナの友達のなんちゃら伯爵領の領都のはず。
それなりに大きくて交易とかも盛んな場所だから行ってみたら面白いんじゃないかな?
シェイラと散策に行っても良いかも知れない。
ピンポイントでパディン夫人が聞いてきたのはちょっと驚きだけど。
何か縁があるのかな?
「うん、そこにケレナの友達がいるらしいからそこに日中は停泊している可能性が高くなると思うけど、他の地域にも行けるよ?」
シャルロが頷く。
「ファーグの街に娘が嫁いでいるんです。
もう何年も会っていないので、この機会に行くのも良いかも知れません」
スカートをそっと撫でながらパディン夫人が言った。
へぇぇ。
国内とは言え、一般人にはちょっと遠い所にいるんだね。
魔術師だったら転移門で直ぐだが、家政婦と植木職人の収入では転移門の費用はそうそう何度も払えないだろう。
かと言って馬車での移動ではかなりの日数が掛かる。
そう考えると、魔術師と富裕層以外って家族が遠方に引っ越しちゃったら生きている間に再会できるかって微妙そうだな。
まあ、パディン夫人だったら頼まれたら行きの転移門の魔力補充ぐらいは俺たちがやってもいいけどさ。
「そうなんだ。
だったら是非同行してくれると嬉しい。
パディン氏が同行できるか、もしくは彼がこちらに残っても大丈夫か、確認しておいてもらえるか?」
アレクがパディン夫人に頼む。
無料で娘さんに会いに行けるとなったら、旦那を残してでも来てくれるかも?
まあ、旦那も一緒に来れたら一番良いんだろうけど。
それこそ、休みの間の替えが必要なら、シャルロのとこの使用人の誰かに手伝ってもらえないかな?
まあ、まずはケレナがこの遠出に前向きかどうかが最重要事項だけど。
【後書き】
これでケレナが南西地域の友人と仲違いしていたりしたらかなり気不味かったりw
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