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卒業後
658 星暦556年 青の月 18日 空滑機改(3)
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「どちにせよ、富裕層を緊急時に乗せることを考えたら問答無用で寝転がって乗れという訳にもいかないだろう。
大きくして人数を乗せられる様にしたら、全員が下を見ることが出来る形にするのも難しいし。
馬車の移動中だとしたらそれなりに彼らにとっては簡素な服を着ているだろうが、それでも寝転がることは想定していない筈だ」
アレクが指摘する。
なるほど。
つうか、富裕層だったら転移門を使えば良いのに。
まあ、商家系だったら移動ついでに商談をなんて考えているのかな?
貴族はやはりケチっているのだろうか?
服や装飾品諸々を持っての移動だとしたらどちらにせよ護衛付きで馬車は出さなければならないから、だったら自分達も乗った方が安上がりだと考えるのかも知れない。
「ちなみにちょっと質問なんだけど、シャルロの家族なんかは領都と王都を移動する際に転移門を使うんか、それとも馬車?」
折角貴族が傍にいるんだ。
どういう理由で貴族が長期移動に馬車を使うのか、聞いてみよう。
「馬車が多いかな?
自分の領地の中の視察も兼ねているし、他の領地の様子を見ることで新しい試みが目に入ったり、反対に治安が悪化している様子が見えたり、自分の目で見ないと分からないことは色々あるからね~。
体力のない高齢者や病人は転移門を使うけど。
妊娠したらあまり転移門は使わない方が良いっていうから誰かが身ごもったらどこで産むかをしっかり考えた上でゆったり日数を掛けて馬車で動くね。
しょっちゅう移動する父上とか兄上は転移門を使うことも多いみたいだけど」
シャルロが説明してくれた。
なるほど。
言うなれば、貴族の商売は『統治』だ。
しっかり問題なき統治するには自分の領地の状態を良く知る必要があるし、近隣の状態も知っておく方が良いのだろう。
その為にも馬車移動する事で実際に自分の目で見る、と。
遠くに領地を持っている貴族なんて大変そうだなぁ・・・。
しかも以前のシャルロの叔父か誰かみたいに、信頼して任せた筈の代官に騙されていると発覚に時間が掛かるんだから、人を使うのは難しい。
うん。やはり俺たちは開発だけして製造に手を出さず、小規模でやっていくのが正解だな!
それはさておき。
「つまり、空滑機《グライダー》改は運べる人数を増やして居心地を良くしても、結局は緊急時以外はあまり使われないという事か」
空からじゃあ雨が足りなくて草が枯れてるとか、木を伐採しすぎて山で地滑りが起きていると言った程度のことしか見えない。
そう言う情報を見たいなら今のうつ伏せに寝転がる空滑機《グライダー》の方が椅子に座れる(多分)新型より良いだろうし。
「そうだな。
まあ、成人男性3人分程度貨物を運べるとなったら商家の方で使う可能性はあるが・・・費用を考えると用途は限られるだろう」
アレクが頷く。
「まあ、非常時には役に立つだろうし、子供を連れて早く移動できる手段がもう一つ出来るっていうことだから、いいんじゃない?
転移門酔いする人もいるし」
シャルロが肩を竦めた。
確かに。
空を飛ぶのは面白いが、うつ伏せに寝転がったまま碌に身動きを取れない状態は嫌だと思う人間でも、普通に座って空の旅を楽しめるなら試してみたいと思うのがいるかも知れないし。
貸し出しサービスにも新型を加えておけば、試してみて俺たちが思いつかないような使用用途を思いつく人が出てくるかもしれない。
「さて、それはさておき。
これだけ積載量を増やすとしたら、どう考えても羽根の部分を大きくする必要はあるな」
アレクが黒板に書き込む。
「上空にさえ上がればそれなりに浮力には余裕があるし、ある程度羽根を大きくしたら滑空は出来るだろうから、あとは上昇する時用の浮遊《レヴィア》や重量軽減の術の出力を上げないとだね。
まずは上昇気流が無くてもこの重量を乗せて滑空出来るだけの羽根のサイズを確認しよう」
シャルロが提案する。
確かに。
ある意味、地表から飛び上がる時には羽根は邪魔と言えなくもないからそこも考える必要があるが、空滑機の目的は空の上を移動することだ。
移動手段である滑空が出来る形をまず確認して、それをどうやって上空に上げるかを次に考えよう。
とは言え。
滑空する為に一番効率のいい機体の形は何かも考えないとだな。
【後書き】
どのくらい横に広げる形にするか、試作機を大量に作る羽目になりそうw
大きくして人数を乗せられる様にしたら、全員が下を見ることが出来る形にするのも難しいし。
馬車の移動中だとしたらそれなりに彼らにとっては簡素な服を着ているだろうが、それでも寝転がることは想定していない筈だ」
アレクが指摘する。
なるほど。
つうか、富裕層だったら転移門を使えば良いのに。
まあ、商家系だったら移動ついでに商談をなんて考えているのかな?
貴族はやはりケチっているのだろうか?
服や装飾品諸々を持っての移動だとしたらどちらにせよ護衛付きで馬車は出さなければならないから、だったら自分達も乗った方が安上がりだと考えるのかも知れない。
「ちなみにちょっと質問なんだけど、シャルロの家族なんかは領都と王都を移動する際に転移門を使うんか、それとも馬車?」
折角貴族が傍にいるんだ。
どういう理由で貴族が長期移動に馬車を使うのか、聞いてみよう。
「馬車が多いかな?
自分の領地の中の視察も兼ねているし、他の領地の様子を見ることで新しい試みが目に入ったり、反対に治安が悪化している様子が見えたり、自分の目で見ないと分からないことは色々あるからね~。
体力のない高齢者や病人は転移門を使うけど。
妊娠したらあまり転移門は使わない方が良いっていうから誰かが身ごもったらどこで産むかをしっかり考えた上でゆったり日数を掛けて馬車で動くね。
しょっちゅう移動する父上とか兄上は転移門を使うことも多いみたいだけど」
シャルロが説明してくれた。
なるほど。
言うなれば、貴族の商売は『統治』だ。
しっかり問題なき統治するには自分の領地の状態を良く知る必要があるし、近隣の状態も知っておく方が良いのだろう。
その為にも馬車移動する事で実際に自分の目で見る、と。
遠くに領地を持っている貴族なんて大変そうだなぁ・・・。
しかも以前のシャルロの叔父か誰かみたいに、信頼して任せた筈の代官に騙されていると発覚に時間が掛かるんだから、人を使うのは難しい。
うん。やはり俺たちは開発だけして製造に手を出さず、小規模でやっていくのが正解だな!
それはさておき。
「つまり、空滑機《グライダー》改は運べる人数を増やして居心地を良くしても、結局は緊急時以外はあまり使われないという事か」
空からじゃあ雨が足りなくて草が枯れてるとか、木を伐採しすぎて山で地滑りが起きていると言った程度のことしか見えない。
そう言う情報を見たいなら今のうつ伏せに寝転がる空滑機《グライダー》の方が椅子に座れる(多分)新型より良いだろうし。
「そうだな。
まあ、成人男性3人分程度貨物を運べるとなったら商家の方で使う可能性はあるが・・・費用を考えると用途は限られるだろう」
アレクが頷く。
「まあ、非常時には役に立つだろうし、子供を連れて早く移動できる手段がもう一つ出来るっていうことだから、いいんじゃない?
転移門酔いする人もいるし」
シャルロが肩を竦めた。
確かに。
空を飛ぶのは面白いが、うつ伏せに寝転がったまま碌に身動きを取れない状態は嫌だと思う人間でも、普通に座って空の旅を楽しめるなら試してみたいと思うのがいるかも知れないし。
貸し出しサービスにも新型を加えておけば、試してみて俺たちが思いつかないような使用用途を思いつく人が出てくるかもしれない。
「さて、それはさておき。
これだけ積載量を増やすとしたら、どう考えても羽根の部分を大きくする必要はあるな」
アレクが黒板に書き込む。
「上空にさえ上がればそれなりに浮力には余裕があるし、ある程度羽根を大きくしたら滑空は出来るだろうから、あとは上昇する時用の浮遊《レヴィア》や重量軽減の術の出力を上げないとだね。
まずは上昇気流が無くてもこの重量を乗せて滑空出来るだけの羽根のサイズを確認しよう」
シャルロが提案する。
確かに。
ある意味、地表から飛び上がる時には羽根は邪魔と言えなくもないからそこも考える必要があるが、空滑機の目的は空の上を移動することだ。
移動手段である滑空が出来る形をまず確認して、それをどうやって上空に上げるかを次に考えよう。
とは言え。
滑空する為に一番効率のいい機体の形は何かも考えないとだな。
【後書き】
どのくらい横に広げる形にするか、試作機を大量に作る羽目になりそうw
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