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卒業後
240 星暦553年 紺の月 27日 幽霊屋敷?(3)
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「伯父は30代になって魔術師としてそれなりに認められるようになった頃にあの屋敷を買ったんです。
伯母と一緒に色々家具をそろえたりして楽しかったと言っていました。
ただ、伯母は数年後に出産時に子供と共に亡くなってしまって。
それ以来、伯父は一人であの屋敷に住んでいました。
年をとってきて、足腰が弱っても住み込みで誰かを入れることを頑として拒否して。
代わりに弱っていても歩けるような補助用の魔道具を作っていましたね。
流石に掃除や洗濯は通いの手伝いにやらせていましたが」
もう少し詳しくあの家のことについて知りたいとあそこを相続した親族のところに行ったら、色々と話してくれた。
そうか、甥だったのね。
既に白髪がそれなりにあって、アレクの親父さんと同じぐらいの年代か・・・もっと年上かもしれない。
「私やウチの子供たちも若いころに色々可愛がって貰ったからね。
それなりに頻繁に顔を出していたのだが・・・。
伯父の弟子だった魔術師の方々も良く訪れていたようだった。
伯父は我々の顔を見るのは嬉しそうだったが、あまり長居するのは嫌がられたね。
だからあまり家の中のことは詳しくないのだが。
あの頃は別に幽霊がいるなんて感じられなかったし、伯父もそんな話は全然していなかった。
だが、伯父が亡くなって、もうそろそろあの家をどうするかを決めなければならないということで家の中にある物とかを確認しようと思って行ったら・・・何か気配がするんだよ。
ちょっと気持ちが悪かったので息子に行ってもらったら、何を馬鹿なことをと笑っていた息子もちょっと変な顔をしていたし。
だから神殿に話をして神官に来てもらって確認をお願いしたのだが、あの屋敷には悪霊のような気配は全くないと断言されてね」
机の上にあったお茶を手に取って一口飲みながらメルタル師の甥がため息をついた。
「だから安心して、もう一度行ったのだがやはり何かちらちら視界の端で動くものがあるような気がするし、時々声が聞こえる気がするんだ」
「部屋の温度が下がったような感じとか、追い立てられたり脅かされるような嫌な感覚とか、しましたか?」
幽霊が出てくるとたいてい体感温度が下がる感じがする。
悪霊がいたら、もっと本能的な嫌悪感や恐怖感を感じる。
かえって、何かが見えるとか、声が聞こえるとかいうのより先に、そういった『なんとも説明のつかない嫌な感じ』というのが先に感じられるものだ。
「いや。特にそういった感覚はなかったが・・・。
それでも、何か視界の端で動いている感じというのは怖いよ」
当惑したような顔で依頼人が答えた。
ふむ。
「どういった状況でそういった感覚に気が付きましたか?
自分は同僚と行ってきたのですが特に何も感じられなかったのですが、何時ぐらいとか、何か特定な行動をした時とか、ありますか?」
アンディが更に質問を重ねる。
「どうも、一人でいる時に起きる気がしたね。
一人でいるとやはりちょっと神経質になるからそのせいかとも思うんだが・・・気のせいにしては息子や、不動産屋も何か感じたようなのだよ」
ふむ。
相手が一人でないと出てこない幽霊ね。
ちょっと不思議だな。
しかもメルタル師が一人であそこに暮らすことに執着していたというし。
もしかして、奥さんの幽霊なのかね?
でも、悪霊になっていないただの幽霊がそこまで長く存在できるとは考えづらいし、相手が一人じゃないと出てこない幽霊っていうのはあまり聞かないけど。
まだ悪霊の方が相手を痛めつけるために一人でいるところを狙うことがある。
でもそれだったら神官が気が付いただろう。
「分かりました、では我々も一人で入って様子を見てみます」
アンディが答え、俺たちは依頼主の家を出た。
しっかし。
一等地で大きな敷地っていうのは珍しいからな。
この幽霊騒動が解決したらあの家は潰されて、敷地全部を使ったもっと大きな館に建て替えられるんだろうな。
なんかあの居心地のいい屋敷が無くなるのはちょっと寂しい感じがする。
とは言え、いくら最近それなりに良い事が続いているとは言っても都心の一等地の2軒分の敷地を買えるほどの金は持ってないから俺が代わりに買う訳にはいかないから、しょうがないけど。
「じゃあ、取り敢えず俺が一人でまず入って中を歩き回ってみるよ」
伯母と一緒に色々家具をそろえたりして楽しかったと言っていました。
ただ、伯母は数年後に出産時に子供と共に亡くなってしまって。
それ以来、伯父は一人であの屋敷に住んでいました。
年をとってきて、足腰が弱っても住み込みで誰かを入れることを頑として拒否して。
代わりに弱っていても歩けるような補助用の魔道具を作っていましたね。
流石に掃除や洗濯は通いの手伝いにやらせていましたが」
もう少し詳しくあの家のことについて知りたいとあそこを相続した親族のところに行ったら、色々と話してくれた。
そうか、甥だったのね。
既に白髪がそれなりにあって、アレクの親父さんと同じぐらいの年代か・・・もっと年上かもしれない。
「私やウチの子供たちも若いころに色々可愛がって貰ったからね。
それなりに頻繁に顔を出していたのだが・・・。
伯父の弟子だった魔術師の方々も良く訪れていたようだった。
伯父は我々の顔を見るのは嬉しそうだったが、あまり長居するのは嫌がられたね。
だからあまり家の中のことは詳しくないのだが。
あの頃は別に幽霊がいるなんて感じられなかったし、伯父もそんな話は全然していなかった。
だが、伯父が亡くなって、もうそろそろあの家をどうするかを決めなければならないということで家の中にある物とかを確認しようと思って行ったら・・・何か気配がするんだよ。
ちょっと気持ちが悪かったので息子に行ってもらったら、何を馬鹿なことをと笑っていた息子もちょっと変な顔をしていたし。
だから神殿に話をして神官に来てもらって確認をお願いしたのだが、あの屋敷には悪霊のような気配は全くないと断言されてね」
机の上にあったお茶を手に取って一口飲みながらメルタル師の甥がため息をついた。
「だから安心して、もう一度行ったのだがやはり何かちらちら視界の端で動くものがあるような気がするし、時々声が聞こえる気がするんだ」
「部屋の温度が下がったような感じとか、追い立てられたり脅かされるような嫌な感覚とか、しましたか?」
幽霊が出てくるとたいてい体感温度が下がる感じがする。
悪霊がいたら、もっと本能的な嫌悪感や恐怖感を感じる。
かえって、何かが見えるとか、声が聞こえるとかいうのより先に、そういった『なんとも説明のつかない嫌な感じ』というのが先に感じられるものだ。
「いや。特にそういった感覚はなかったが・・・。
それでも、何か視界の端で動いている感じというのは怖いよ」
当惑したような顔で依頼人が答えた。
ふむ。
「どういった状況でそういった感覚に気が付きましたか?
自分は同僚と行ってきたのですが特に何も感じられなかったのですが、何時ぐらいとか、何か特定な行動をした時とか、ありますか?」
アンディが更に質問を重ねる。
「どうも、一人でいる時に起きる気がしたね。
一人でいるとやはりちょっと神経質になるからそのせいかとも思うんだが・・・気のせいにしては息子や、不動産屋も何か感じたようなのだよ」
ふむ。
相手が一人でないと出てこない幽霊ね。
ちょっと不思議だな。
しかもメルタル師が一人であそこに暮らすことに執着していたというし。
もしかして、奥さんの幽霊なのかね?
でも、悪霊になっていないただの幽霊がそこまで長く存在できるとは考えづらいし、相手が一人じゃないと出てこない幽霊っていうのはあまり聞かないけど。
まだ悪霊の方が相手を痛めつけるために一人でいるところを狙うことがある。
でもそれだったら神官が気が付いただろう。
「分かりました、では我々も一人で入って様子を見てみます」
アンディが答え、俺たちは依頼主の家を出た。
しっかし。
一等地で大きな敷地っていうのは珍しいからな。
この幽霊騒動が解決したらあの家は潰されて、敷地全部を使ったもっと大きな館に建て替えられるんだろうな。
なんかあの居心地のいい屋敷が無くなるのはちょっと寂しい感じがする。
とは言え、いくら最近それなりに良い事が続いているとは言っても都心の一等地の2軒分の敷地を買えるほどの金は持ってないから俺が代わりに買う訳にはいかないから、しょうがないけど。
「じゃあ、取り敢えず俺が一人でまず入って中を歩き回ってみるよ」
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