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卒業後
237 星暦553年 紺の月 20日 魔道具の修理
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「できた~~~!!!」
シャルロが、突然叫び声を上げてリビングに駆け込んできた。
カラフォラ号の貨物に多くあった自鳴琴の魔道具の小さな部品を根気よく一つ一つ修理し、音を確認していたのだが、どうやら1つ自鳴琴の修理が完成したようだ。
ちなみに、アドリアーナ号はシャルロ(に頼まれた蒼流)が無事海上に持ち上げ、後部に開いていた穴をいつものように布で適当に塞いだ後に中の海水も抜いてダルム商会の船員達に任せてきた。
結局、貨物だけでなく船そのものまで回収出来たので、ダルム商会は一気に危機的状況から抜け出せたらしい。
大金を掛けて作った船だからね。
ちょろと後ろの穴を塞げばまた使えるなんて、想像以上にラッキーだったと言えよう。
・・・先に船が沈んだ事を考えなければ。
今後はあそこまで満載に中身を詰めず、どの位の嵐をどの程度の積載量で扱えるのかがはっきりするまでは、ベテラン一人と若い魔術師を二人では無く、ベテラン三人を乗せることにしたらしい。
破綻の危機から、一気にリスクを取った大型船が無事に帰ってきたと言っても良い形で抜け出せたんだ、これからは自分達の運を過信せずに気をつけてやっていくだろう。
お陰で後からフェルダン氏がケーキを持参して知らせに来た『ギリギリ払える金額』というのがもの凄く大きくなって、結局この仮定の数字もそれなりに減額することになった。
それでも普通の人間だったら営利目的で誘拐されるのが間違いないような金額だったが、なんと言っても精霊の加護持ちだからね。
侯爵の息子でもあるし。
特にシャルロに危険は訪れていないようだった。
何だかんだでフェルダン氏が頑張っている間、セビウス氏と俺たちはカラフォラ号の積荷を確認・照合してきた。
磁器の方は先日終わったので、セビウス氏が現在オークションの手配をしている所だ。
魔道具の方はある意味予想通り時間が掛っている。
いや、魔術回路で無い部分の修理が必要になったので、予想以上に時間が掛っていると言うべきか。
一応魔道具も積載品のリストと照合出来て、別に魔術院が首を突っ込む必要があるような物も見当たらなかったのでアンディは数日前に魔術院へ戻っている。
ニルキーニ氏は報酬分としてぶんどった魔道具を魔術学院の自分の研究室へ持ち込み、あちらで修理に取りかかっている。終わったら俺たちにも見せてくれることになっているが、憶えているかなぁ?
で、残りは俺たちの工房で修理していたのだが・・・。
魔術回路の方は10日ぐらいで台分と修理できたんだけどねぇ。
実は、カラフォラ号に積まれていた魔道具って自鳴琴が多かったのだ。
自鳴琴の魔道具というのは、魔術回路が機械的な自鳴琴構造を動かして音を鳴らし、別の魔術回路がその音響を美しく、大きくする仕組みになっている。
長年海水に浸かっていたために、当然ながら魔術回路だけでなく機械的な構造の方にも色々問題が起きていて、そちらも直さないことには魔道具として機能しないことが判明したのだ。
そんな、100年も前に流行っていたような音楽なんて俺は知らない。
第一、音楽なんて魔術学院では学ばなかったし。
当然のことながら、知らない音楽を奏でる構造なんぞ俺に直せるわけが無い。
アレクはもうちょっとマシだったので簡単な修理は出来たが・・・。
結局、シャルロが一番活躍する羽目になった。
「聞いて!!」
にこやかに笑いながらシャルロがやっと修理が終わった魔道具の内蓋を閉じ、スイッチを入れた。
~♪♪~~♪
一抱え程度しか無い魔道具の箱から流れてきているとは思えないほど深みが有り、透き通った音が部屋に流れる。
聞いたことが無い旋律だが、美しく思わず聞き惚れてしまうような音の奔流だった。
「良いね・・・」
「こんなに綺麗な音があれから出てくるなんて、びっくりだな」
最初に構造部分の修理を始めたときに、俺もある程度は手伝おうとした。
だから飛び出した針金みたいのが金属板に触れて音を出すのは知っている。単に、俺の音楽に関する知識とセンスでは、色々折れちゃったり曲がっちゃったりしている針や金属板をどう直すのが正解なのか分からなくてお手上げだっただけだ。
諦める前に色々触ったからあの構造から出る音って色々聞いたが、それなりに悪くない金属音だけど、こんな深みや透明感のある音じゃあなかった。
いやぁ、これは明らかに今回の発見物に対する報酬の分割はシャルロに多めに渡さなきゃだなぁ。
こんなに良い音楽を奏でる魔道具だったらかなりの値になるに違いない。
とは言え、まだまだ修理に時間が掛りそうだけど。
魔術回路の修理そのものはもうかなり進んだから、暫くシャルロとアレクの作業待ちだな。
だとしたら、何やら頼み事がしたいってアンディが言っていたから先にそっちを片づけておこうかな?
シャルロが、突然叫び声を上げてリビングに駆け込んできた。
カラフォラ号の貨物に多くあった自鳴琴の魔道具の小さな部品を根気よく一つ一つ修理し、音を確認していたのだが、どうやら1つ自鳴琴の修理が完成したようだ。
ちなみに、アドリアーナ号はシャルロ(に頼まれた蒼流)が無事海上に持ち上げ、後部に開いていた穴をいつものように布で適当に塞いだ後に中の海水も抜いてダルム商会の船員達に任せてきた。
結局、貨物だけでなく船そのものまで回収出来たので、ダルム商会は一気に危機的状況から抜け出せたらしい。
大金を掛けて作った船だからね。
ちょろと後ろの穴を塞げばまた使えるなんて、想像以上にラッキーだったと言えよう。
・・・先に船が沈んだ事を考えなければ。
今後はあそこまで満載に中身を詰めず、どの位の嵐をどの程度の積載量で扱えるのかがはっきりするまでは、ベテラン一人と若い魔術師を二人では無く、ベテラン三人を乗せることにしたらしい。
破綻の危機から、一気にリスクを取った大型船が無事に帰ってきたと言っても良い形で抜け出せたんだ、これからは自分達の運を過信せずに気をつけてやっていくだろう。
お陰で後からフェルダン氏がケーキを持参して知らせに来た『ギリギリ払える金額』というのがもの凄く大きくなって、結局この仮定の数字もそれなりに減額することになった。
それでも普通の人間だったら営利目的で誘拐されるのが間違いないような金額だったが、なんと言っても精霊の加護持ちだからね。
侯爵の息子でもあるし。
特にシャルロに危険は訪れていないようだった。
何だかんだでフェルダン氏が頑張っている間、セビウス氏と俺たちはカラフォラ号の積荷を確認・照合してきた。
磁器の方は先日終わったので、セビウス氏が現在オークションの手配をしている所だ。
魔道具の方はある意味予想通り時間が掛っている。
いや、魔術回路で無い部分の修理が必要になったので、予想以上に時間が掛っていると言うべきか。
一応魔道具も積載品のリストと照合出来て、別に魔術院が首を突っ込む必要があるような物も見当たらなかったのでアンディは数日前に魔術院へ戻っている。
ニルキーニ氏は報酬分としてぶんどった魔道具を魔術学院の自分の研究室へ持ち込み、あちらで修理に取りかかっている。終わったら俺たちにも見せてくれることになっているが、憶えているかなぁ?
で、残りは俺たちの工房で修理していたのだが・・・。
魔術回路の方は10日ぐらいで台分と修理できたんだけどねぇ。
実は、カラフォラ号に積まれていた魔道具って自鳴琴が多かったのだ。
自鳴琴の魔道具というのは、魔術回路が機械的な自鳴琴構造を動かして音を鳴らし、別の魔術回路がその音響を美しく、大きくする仕組みになっている。
長年海水に浸かっていたために、当然ながら魔術回路だけでなく機械的な構造の方にも色々問題が起きていて、そちらも直さないことには魔道具として機能しないことが判明したのだ。
そんな、100年も前に流行っていたような音楽なんて俺は知らない。
第一、音楽なんて魔術学院では学ばなかったし。
当然のことながら、知らない音楽を奏でる構造なんぞ俺に直せるわけが無い。
アレクはもうちょっとマシだったので簡単な修理は出来たが・・・。
結局、シャルロが一番活躍する羽目になった。
「聞いて!!」
にこやかに笑いながらシャルロがやっと修理が終わった魔道具の内蓋を閉じ、スイッチを入れた。
~♪♪~~♪
一抱え程度しか無い魔道具の箱から流れてきているとは思えないほど深みが有り、透き通った音が部屋に流れる。
聞いたことが無い旋律だが、美しく思わず聞き惚れてしまうような音の奔流だった。
「良いね・・・」
「こんなに綺麗な音があれから出てくるなんて、びっくりだな」
最初に構造部分の修理を始めたときに、俺もある程度は手伝おうとした。
だから飛び出した針金みたいのが金属板に触れて音を出すのは知っている。単に、俺の音楽に関する知識とセンスでは、色々折れちゃったり曲がっちゃったりしている針や金属板をどう直すのが正解なのか分からなくてお手上げだっただけだ。
諦める前に色々触ったからあの構造から出る音って色々聞いたが、それなりに悪くない金属音だけど、こんな深みや透明感のある音じゃあなかった。
いやぁ、これは明らかに今回の発見物に対する報酬の分割はシャルロに多めに渡さなきゃだなぁ。
こんなに良い音楽を奏でる魔道具だったらかなりの値になるに違いない。
とは言え、まだまだ修理に時間が掛りそうだけど。
魔術回路の修理そのものはもうかなり進んだから、暫くシャルロとアレクの作業待ちだな。
だとしたら、何やら頼み事がしたいってアンディが言っていたから先にそっちを片づけておこうかな?
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