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卒業後
594 星暦555年 黄の月13日 虫除け(14)
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「障害物回避型だと魔力消費量が大体3割減と言ったところかな?
もっと試さないと確実には言えないが、多分『障害物』の体積によって変わるんじゃないかと思う」
工房に戻ったシャルロと俺に、何やら紙の上で計算していたらしきアレクが報告してきた。
「ふうん。
じゃあ、殺虫《インセクトイド》の方は障害物回避型にしなくても良いか。
一応、そっちを重点的に使いすぎて魔力消費が跳ね上がっても虫除けのせいじゃないって分かるよう、魔力源の魔石は別にしておかないか?」
3割減とは思ったよりも微妙な効果だ。
殺虫《インセクトイド》の方は起動時間を倍にしても場所によっては効果が微妙になることを考えると、使う意味が無いな。
常時発動型の虫除け結界の魔力消費量が3割減になるならそれなりに大きいが。
「そうだね。
ちなみに確認だけど、虫除けも殺虫《インセクトイド》も同じ程度の削減量だったの?」
クッキー缶に手を伸ばしながらシャルロが尋ねる。
虫歯になるぞ~?
魔力を使えばエネルギーは消費するから太らないかも知れないが、虫歯に関しては関係ない。
確かに魔術師の方が病気になりにくいという傾向はあるので魔力がある程度の免疫力(?)増加効果をもたらしている可能性は高いが、四六時中甘いものを食べている影響を打ち消せるほどじゃあないと思うんだが。
もっともケレナもそこら辺は気にしているのか、最近パディン夫人が焼くクッキーはドリアーナのゼナとシャルロのところのデルブ夫人が一緒に開発したとかいう甘さ控えめなタイプが多い。
でも、甘さ控えめは太ることには対応策になるとしても、虫歯にどの程度効果があるのかは不明な気がするが・・・どうなんだろ?
それとも精霊の寵愛があれば、虫歯にもならないのだろうか?
精霊の加護持ちが不治の病になるという話はあまり聞かないから、ある程度は精霊が健康でいることに支援出来る可能性は高いが・・・虫歯も『健康』の一部なのだろうか?
まあ、虫歯になったら痛いんだから、痛くならないように出来る限りのことを蒼流がしている可能性は高いが。
常時口の中を浄化していたりしても不思議は無い。
「ああ。
虫除けと殺虫《インセクトイド》がほぼ同割合で魔力消費量が減ったことを考えると、障害物回避型にするとどれも似た様な感じで魔力消費量が削減されるんじゃないか?
削減量その物は実際の障害物の体積に依存するみたいだし、素材や形によって違いが出る可能性もあるが」
「ふうん?
だったら防寒機能付きの防御結界も障害物回避型にした方が良いかな?
あれこそ、魔力消費量が重要でしょ?」
クッキー缶をアレクに差し出しながらシャルロが提案する。
「あ~。
動き回って障害物の範囲がちょくちょく変わる状況だとどうなるか分からないな。
まあ、一応確認してみてある程度以上削減効果があるんだったら改善版として修正しても良いか」
アレクがクッキーを手に取りながら答える。
俺の方にも缶を差し向けてきたので、要らないと手を振りながらアレクの魔力消費量のメモを覗き込んだ。
「取り敢えず、設置型虫除け魔具の方を完成させちまおうぜ。
確かにもうすぐ寒くなってくるから防寒機能付き防御結界の売り上げがまた上がってくるかも知れないが、虫除けは殆ど終わりそうなんだ。
さっさと終わらせちまおうぜ」
というか、あまり遅くなって真冬になるとテスト用の虫がいなくなる可能性がある。
・・・それとも、百足やゴキブリのようなしぶといのは冬でも普通にいるのか?
いや、いるにしても寒さで弱った状態で虫除けや殺虫が出来るかを試すのは良くないだろう。
「そうだな。
取り敢えず、シャルロの家と・・・シェフィート商会の本店当たりでも使って実験してみようか。
大きな家で使っても問題が無い事を確認する必要がある」
アレクが頷いた。
「でもさあ、シャルロの家だったらこの村の家じゃなくて実家で試させてもらわないと虫自体がいなくて意味がなくないか?シェフィート商会にもゴキブリがそれ程いるとは思えないが」
「僕の実家だってゴキブリなんていないよ。
・・・百足はまだ殲滅を頼んでいないから、いるかも知れないけど」
シャルロが抗議の声を上げる。
確かに、シャルロがちょくちょく帰る実家だったらゴキブリは蒼流に頼んで排除済みだろうな。
「・・・ジェドに頼んでゴキブリと百足を持ち込んでもらって確かめることは出来るが・・・確かに母や兄嫁に嫌がられそうだな。
どこか、虫の駆除を頼まれている大き目の建物が無いか、ジェドに聞いてみるか」
俺の言葉に軽く首を傾げて考え込んでいたアレクが提案した。
「そうしてくれ。
じゃなきゃ、魔術学院で全体の虫駆除をやる代わりに実験させてもらえないか、学院長に聞いてみるか?」
広さ的にいったら魔術学院なら虫除けの魔具を使うような建物のサイズとして最大級になるだろう。
色々とつまみ食いとかもする子供が沢山集まる事から、虫だってそれなりにいるし。
集中的に殺虫《インセクトイド》の術を練習した直後とでもいうんじゃない限り、テスト対象としてはありな気がする。
「それいいね!
あそこだったら自然な状態で虫が色々といるから、テストにも最適でしょ!」
授業で殺虫《インセクトイド》の術をおしえた直後でも無い限り、確実にシェフィート商会の本店やオレファーニ侯爵家の王都にある屋敷よりは百足やゴキブリが多く徘徊しているだろう。
確認用に数体持ち込んでうっかり取り逃がしてもそれ程怒られないだろうし。
もっと試さないと確実には言えないが、多分『障害物』の体積によって変わるんじゃないかと思う」
工房に戻ったシャルロと俺に、何やら紙の上で計算していたらしきアレクが報告してきた。
「ふうん。
じゃあ、殺虫《インセクトイド》の方は障害物回避型にしなくても良いか。
一応、そっちを重点的に使いすぎて魔力消費が跳ね上がっても虫除けのせいじゃないって分かるよう、魔力源の魔石は別にしておかないか?」
3割減とは思ったよりも微妙な効果だ。
殺虫《インセクトイド》の方は起動時間を倍にしても場所によっては効果が微妙になることを考えると、使う意味が無いな。
常時発動型の虫除け結界の魔力消費量が3割減になるならそれなりに大きいが。
「そうだね。
ちなみに確認だけど、虫除けも殺虫《インセクトイド》も同じ程度の削減量だったの?」
クッキー缶に手を伸ばしながらシャルロが尋ねる。
虫歯になるぞ~?
魔力を使えばエネルギーは消費するから太らないかも知れないが、虫歯に関しては関係ない。
確かに魔術師の方が病気になりにくいという傾向はあるので魔力がある程度の免疫力(?)増加効果をもたらしている可能性は高いが、四六時中甘いものを食べている影響を打ち消せるほどじゃあないと思うんだが。
もっともケレナもそこら辺は気にしているのか、最近パディン夫人が焼くクッキーはドリアーナのゼナとシャルロのところのデルブ夫人が一緒に開発したとかいう甘さ控えめなタイプが多い。
でも、甘さ控えめは太ることには対応策になるとしても、虫歯にどの程度効果があるのかは不明な気がするが・・・どうなんだろ?
それとも精霊の寵愛があれば、虫歯にもならないのだろうか?
精霊の加護持ちが不治の病になるという話はあまり聞かないから、ある程度は精霊が健康でいることに支援出来る可能性は高いが・・・虫歯も『健康』の一部なのだろうか?
まあ、虫歯になったら痛いんだから、痛くならないように出来る限りのことを蒼流がしている可能性は高いが。
常時口の中を浄化していたりしても不思議は無い。
「ああ。
虫除けと殺虫《インセクトイド》がほぼ同割合で魔力消費量が減ったことを考えると、障害物回避型にするとどれも似た様な感じで魔力消費量が削減されるんじゃないか?
削減量その物は実際の障害物の体積に依存するみたいだし、素材や形によって違いが出る可能性もあるが」
「ふうん?
だったら防寒機能付きの防御結界も障害物回避型にした方が良いかな?
あれこそ、魔力消費量が重要でしょ?」
クッキー缶をアレクに差し出しながらシャルロが提案する。
「あ~。
動き回って障害物の範囲がちょくちょく変わる状況だとどうなるか分からないな。
まあ、一応確認してみてある程度以上削減効果があるんだったら改善版として修正しても良いか」
アレクがクッキーを手に取りながら答える。
俺の方にも缶を差し向けてきたので、要らないと手を振りながらアレクの魔力消費量のメモを覗き込んだ。
「取り敢えず、設置型虫除け魔具の方を完成させちまおうぜ。
確かにもうすぐ寒くなってくるから防寒機能付き防御結界の売り上げがまた上がってくるかも知れないが、虫除けは殆ど終わりそうなんだ。
さっさと終わらせちまおうぜ」
というか、あまり遅くなって真冬になるとテスト用の虫がいなくなる可能性がある。
・・・それとも、百足やゴキブリのようなしぶといのは冬でも普通にいるのか?
いや、いるにしても寒さで弱った状態で虫除けや殺虫が出来るかを試すのは良くないだろう。
「そうだな。
取り敢えず、シャルロの家と・・・シェフィート商会の本店当たりでも使って実験してみようか。
大きな家で使っても問題が無い事を確認する必要がある」
アレクが頷いた。
「でもさあ、シャルロの家だったらこの村の家じゃなくて実家で試させてもらわないと虫自体がいなくて意味がなくないか?シェフィート商会にもゴキブリがそれ程いるとは思えないが」
「僕の実家だってゴキブリなんていないよ。
・・・百足はまだ殲滅を頼んでいないから、いるかも知れないけど」
シャルロが抗議の声を上げる。
確かに、シャルロがちょくちょく帰る実家だったらゴキブリは蒼流に頼んで排除済みだろうな。
「・・・ジェドに頼んでゴキブリと百足を持ち込んでもらって確かめることは出来るが・・・確かに母や兄嫁に嫌がられそうだな。
どこか、虫の駆除を頼まれている大き目の建物が無いか、ジェドに聞いてみるか」
俺の言葉に軽く首を傾げて考え込んでいたアレクが提案した。
「そうしてくれ。
じゃなきゃ、魔術学院で全体の虫駆除をやる代わりに実験させてもらえないか、学院長に聞いてみるか?」
広さ的にいったら魔術学院なら虫除けの魔具を使うような建物のサイズとして最大級になるだろう。
色々とつまみ食いとかもする子供が沢山集まる事から、虫だってそれなりにいるし。
集中的に殺虫《インセクトイド》の術を練習した直後とでもいうんじゃない限り、テスト対象としてはありな気がする。
「それいいね!
あそこだったら自然な状態で虫が色々といるから、テストにも最適でしょ!」
授業で殺虫《インセクトイド》の術をおしえた直後でも無い限り、確実にシェフィート商会の本店やオレファーニ侯爵家の王都にある屋敷よりは百足やゴキブリが多く徘徊しているだろう。
確認用に数体持ち込んでうっかり取り逃がしてもそれ程怒られないだろうし。
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