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卒業後
214 星歴553年 紫の月1日 手伝い再び(4)
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「起動しているな」
「・・・しているね」
「・・・・・・だけど何をしているか分からん・・・」
俺たちはやっと完成した魔術回路を眺めながら佇んでいた。
そう。
魔術回路は完成した。
試行錯誤の果てに、やっと魔術が滑らかに流れて魔力が使われるのが見えるようになった。
が。
換気しているのか、空気洗浄をしているのか、それとも何か別のことをしているのか。
見ただけではわからないのだ!
今まで作った魔道具って物理的な現象が起きるとか音が聞こえるとかいった効果が感じられるものだったからちゃんと機能しているか判断するのは難しくなかった。
それがここにきて、問題に直面。
換気なんて、見てもわからん!
「煙突をふさいでから暖炉の火をつけて煙が換気されるか試してみる?」
シャルロが提案した。
「2部屋使って比較評価しないと違いが分からないが・・・。
そんなことしたら、部屋が煤だらけになって大変なことになるんじゃないか?」
まあ、清早か蒼流に丸洗いしてもらえば壁などは綺麗になるだろうが、ソファなどは水で洗うのはまずいだろう。
「台所で丸焼きでもしているところの傍において様子を見るとか?」
アレクが首を捻りながら言う。
匂いや台所の煙ってあまりはっきりと数値化して観察できないからなぁ。
「燻製づくりの小屋を借りてみたら?」
ケレナがソファから声をかけてきた。
ガヤガヤ騒いでいる俺たちを放置してソファで本を読んでいたのだが、何を言っているのかは聞こえていたらしい。
「燻製小屋?どこにあるの、それ?」
ケレナに近づいてその背中によりかかりながらシャルロが訊ねた。
「台所で料理長に聞いたら?確かレディ・トレンティスが鳥の燻製がお好きだから色々工夫していると聞いたことがあるわよ」
なるほど。
こういう大きい屋敷だと自家製の燻製を作るのか。
燻製小屋だったらきっと小さ目だろうからテストもしやすいだろう。
「よし!おばあ様に一言話してから、料理長のところだ!」
◆◆◆
「煙で一杯だな」
「煙いね」
「煙の匂いがしみ込んでいて、違いが分かりそうにないな・・・」
俺たちは燻製小屋を覗き込んでいた。
小さく、窓もない作りなので開いた扉からのみ光が入る。
扉を開けていたら煙が扉から出てしまうが、閉めたら暗すぎて何も見えない。
暫く火を焚いて匂いに対する効果を確かめようにも、今までの燻製の匂いが染みついていて現時点で何も焚いていないのも関わらず非常に煙く、ちょっとやそっと何かを燃やしたところで違いは判らないだろう。
「う~ん、このくらいのサイズの小屋で、少なくとも片側にガラスの窓があって煙の濃度を外から確認できる物が必要だね」
アレクがため息をつきながら小屋の入り口から一歩離れ、背伸びをした。
「しょうがないな、王都に帰ってから実験用の小屋を作るか。
それまではこっちで他の魔術回路も機能するよう頑張り続けよう。
動きさえすれば多分機能しているだろうから、機能のテストは後回しだな」
流石に人様の燻製小屋に勝手に手を加える訳にはいかないし、ガラス窓を付けて日光が入るようにするのは多分薫製を作る際にあまり良くないだろう。
ま、どうせ実験というのはそれなりに時間がかかるしな。
あと数日しかこちらにはいないのだから、無理に機能実験をするのではなく、より多くの魔術回路を復元するよう頑張ろう。
「・・・しているね」
「・・・・・・だけど何をしているか分からん・・・」
俺たちはやっと完成した魔術回路を眺めながら佇んでいた。
そう。
魔術回路は完成した。
試行錯誤の果てに、やっと魔術が滑らかに流れて魔力が使われるのが見えるようになった。
が。
換気しているのか、空気洗浄をしているのか、それとも何か別のことをしているのか。
見ただけではわからないのだ!
今まで作った魔道具って物理的な現象が起きるとか音が聞こえるとかいった効果が感じられるものだったからちゃんと機能しているか判断するのは難しくなかった。
それがここにきて、問題に直面。
換気なんて、見てもわからん!
「煙突をふさいでから暖炉の火をつけて煙が換気されるか試してみる?」
シャルロが提案した。
「2部屋使って比較評価しないと違いが分からないが・・・。
そんなことしたら、部屋が煤だらけになって大変なことになるんじゃないか?」
まあ、清早か蒼流に丸洗いしてもらえば壁などは綺麗になるだろうが、ソファなどは水で洗うのはまずいだろう。
「台所で丸焼きでもしているところの傍において様子を見るとか?」
アレクが首を捻りながら言う。
匂いや台所の煙ってあまりはっきりと数値化して観察できないからなぁ。
「燻製づくりの小屋を借りてみたら?」
ケレナがソファから声をかけてきた。
ガヤガヤ騒いでいる俺たちを放置してソファで本を読んでいたのだが、何を言っているのかは聞こえていたらしい。
「燻製小屋?どこにあるの、それ?」
ケレナに近づいてその背中によりかかりながらシャルロが訊ねた。
「台所で料理長に聞いたら?確かレディ・トレンティスが鳥の燻製がお好きだから色々工夫していると聞いたことがあるわよ」
なるほど。
こういう大きい屋敷だと自家製の燻製を作るのか。
燻製小屋だったらきっと小さ目だろうからテストもしやすいだろう。
「よし!おばあ様に一言話してから、料理長のところだ!」
◆◆◆
「煙で一杯だな」
「煙いね」
「煙の匂いがしみ込んでいて、違いが分かりそうにないな・・・」
俺たちは燻製小屋を覗き込んでいた。
小さく、窓もない作りなので開いた扉からのみ光が入る。
扉を開けていたら煙が扉から出てしまうが、閉めたら暗すぎて何も見えない。
暫く火を焚いて匂いに対する効果を確かめようにも、今までの燻製の匂いが染みついていて現時点で何も焚いていないのも関わらず非常に煙く、ちょっとやそっと何かを燃やしたところで違いは判らないだろう。
「う~ん、このくらいのサイズの小屋で、少なくとも片側にガラスの窓があって煙の濃度を外から確認できる物が必要だね」
アレクがため息をつきながら小屋の入り口から一歩離れ、背伸びをした。
「しょうがないな、王都に帰ってから実験用の小屋を作るか。
それまではこっちで他の魔術回路も機能するよう頑張り続けよう。
動きさえすれば多分機能しているだろうから、機能のテストは後回しだな」
流石に人様の燻製小屋に勝手に手を加える訳にはいかないし、ガラス窓を付けて日光が入るようにするのは多分薫製を作る際にあまり良くないだろう。
ま、どうせ実験というのはそれなりに時間がかかるしな。
あと数日しかこちらにはいないのだから、無理に機能実験をするのではなく、より多くの魔術回路を復元するよう頑張ろう。
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