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卒業後
562 星暦555年 青の月 30日 台所用魔道具(5)
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「あ、この角度が良いわ!!」
ケレナが声をあげる。
「了解~」
シャルロが魔道具を弄って画像を調整してボタンを押した。
結婚式の当日に、式典とパレードの後に俺たちは記録用魔道具と魔石を回収して家に戻ってワインを片手にそれらを鑑賞したのだが、翌日の朝には早速反省会を開きたがった軍部に魔石を(俺ごと)取られてしまったので、実際に出版する為の画像の確定はまだ出来ていなかった。
我々が魔石を保持できるのは王太子夫婦が新婚旅行から帰ってくるまでという話になっているので、少なくとも5日は必要だと主張してやっと昨晩になって軍から魔石を回収できたのだが・・・。
女性陣が『良い!』という角度が沢山ありすぎて、一冊の本には纏まらないんじゃないだろうか。
それほど興味がないと思っていたシェイラも態々また王都に戻ってきたし。
まあ、少なくとも今回は細かい画像の出力をシャルロがやってくれているので俺はのんびり眺めているだけで良いんだけどさ。
幾ら軍部とのやり取りが妙に俺に集中しているからって、4日間丸ごとあちらに貸し出されて朝から晩までこき使われてきたのだ。
こっちの作業はシャルロとアレクに任せても文句は言わせない。
「そう言えば、父上と親しい公爵家がドリアーナの料理人たちを祝賀会の料理の為に雇ったから、デルブ夫人も手伝いに行ったじゃない?
撹拌機《ブレダー》の試作品をドリアーナの副料理長に試してもらうことが出来たんだって」
画像の出力を待っていたシャルロが、ふと報告した。
お?!
そう言えば、どっかの知り合いの家での祝賀会でうまくいったらドリアーナの人間に試作品を見せられるかもという話は聞いていたが、副料理長に見せられたとは凄いじゃないか。
「で、どうだって?」
「殺人的に忙しい祝賀会の準備の最中だったからね~。
取り敢えず、野菜とかの細切れや焼き菓子のベースを混ぜるのに便利だねという話になったけど、ドリアーナで使いたいと思うほどの品質かは確認できなかったってさ。
でも、元々ドリアーナは少数精鋭な食事処だからね。
大きなパーティとかの料理を請け負った際に、下準備を効率良くできたら外部の人間の助けを頼まないで済むから助かるかもって言っていたらしい。
だから今度、試作品を試してそれなりに使えそうだと思ったらそれの改良も一緒にやろうって提案したんだって」
シャルロがにんまりと笑った
おお~~~~!!!!
「じゃあ、試作品の改良とかで店の台所に押しかけて賄い食を食べられそう??!!」
思わず身を乗り出して聞いてしまった。
アレクも熱心に答えを待っていたから、身を乗り出したのは俺だけじゃなかったけど。
「料理長に相談してからって話だけど・・・賄い食さえ食べさせてもらえれば試作品の最終版は少なくとも一つはただであげて良いし、『ドリアーナ』の名前を売り文句にしたりしないって約束したから上手くいく可能性はそこそこあるんじゃない?
王太子の結婚式関連の祝賀会が沢山あったせいであの店もここ数日はいつも以上に滅茶苦茶に忙しかったらしいから、数日中に返事をくれるはずなんだ」
シャルロが嬉しそうに答えた。
「デルブ夫人に加えて俺達3人とも押し掛けて大丈夫なのか?
交代で一人ずつなんてことになると喧嘩が起きそうだが」
ふと、気になって訊ねた。
なんと言っても直近でドリアーナに行ったのは俺なのだ。
だから交代で行くなんてことになったら最後にされそうだ。
「幾ら少数精鋭って言ったって接客係も含めれば常に20人以上はドリアーナで働いているんだろうから、もう数人増えたってかまわないでしょ。
何だったら固定化の術とか適当な術の補強をついでにやってあげたら喜んでおまけでデザートもつけてくれるかもよ?」
シャルロが肩を竦めながら答えた。
つうかさ、お前さんの場合はデザートの方が大切なんじゃないの?
どう考えても撹拌機《ブレダー》の使用方法はスープとかの下準備用としてのよりも焼き菓子づくり用のに時間をかけてるのを知ってるぞ。
まあ、俺だって甘いものが嫌いな訳じゃあない。
ちょっと術をかけるだけでおまけが出るんだったら大歓迎だ。
ケレナが声をあげる。
「了解~」
シャルロが魔道具を弄って画像を調整してボタンを押した。
結婚式の当日に、式典とパレードの後に俺たちは記録用魔道具と魔石を回収して家に戻ってワインを片手にそれらを鑑賞したのだが、翌日の朝には早速反省会を開きたがった軍部に魔石を(俺ごと)取られてしまったので、実際に出版する為の画像の確定はまだ出来ていなかった。
我々が魔石を保持できるのは王太子夫婦が新婚旅行から帰ってくるまでという話になっているので、少なくとも5日は必要だと主張してやっと昨晩になって軍から魔石を回収できたのだが・・・。
女性陣が『良い!』という角度が沢山ありすぎて、一冊の本には纏まらないんじゃないだろうか。
それほど興味がないと思っていたシェイラも態々また王都に戻ってきたし。
まあ、少なくとも今回は細かい画像の出力をシャルロがやってくれているので俺はのんびり眺めているだけで良いんだけどさ。
幾ら軍部とのやり取りが妙に俺に集中しているからって、4日間丸ごとあちらに貸し出されて朝から晩までこき使われてきたのだ。
こっちの作業はシャルロとアレクに任せても文句は言わせない。
「そう言えば、父上と親しい公爵家がドリアーナの料理人たちを祝賀会の料理の為に雇ったから、デルブ夫人も手伝いに行ったじゃない?
撹拌機《ブレダー》の試作品をドリアーナの副料理長に試してもらうことが出来たんだって」
画像の出力を待っていたシャルロが、ふと報告した。
お?!
そう言えば、どっかの知り合いの家での祝賀会でうまくいったらドリアーナの人間に試作品を見せられるかもという話は聞いていたが、副料理長に見せられたとは凄いじゃないか。
「で、どうだって?」
「殺人的に忙しい祝賀会の準備の最中だったからね~。
取り敢えず、野菜とかの細切れや焼き菓子のベースを混ぜるのに便利だねという話になったけど、ドリアーナで使いたいと思うほどの品質かは確認できなかったってさ。
でも、元々ドリアーナは少数精鋭な食事処だからね。
大きなパーティとかの料理を請け負った際に、下準備を効率良くできたら外部の人間の助けを頼まないで済むから助かるかもって言っていたらしい。
だから今度、試作品を試してそれなりに使えそうだと思ったらそれの改良も一緒にやろうって提案したんだって」
シャルロがにんまりと笑った
おお~~~~!!!!
「じゃあ、試作品の改良とかで店の台所に押しかけて賄い食を食べられそう??!!」
思わず身を乗り出して聞いてしまった。
アレクも熱心に答えを待っていたから、身を乗り出したのは俺だけじゃなかったけど。
「料理長に相談してからって話だけど・・・賄い食さえ食べさせてもらえれば試作品の最終版は少なくとも一つはただであげて良いし、『ドリアーナ』の名前を売り文句にしたりしないって約束したから上手くいく可能性はそこそこあるんじゃない?
王太子の結婚式関連の祝賀会が沢山あったせいであの店もここ数日はいつも以上に滅茶苦茶に忙しかったらしいから、数日中に返事をくれるはずなんだ」
シャルロが嬉しそうに答えた。
「デルブ夫人に加えて俺達3人とも押し掛けて大丈夫なのか?
交代で一人ずつなんてことになると喧嘩が起きそうだが」
ふと、気になって訊ねた。
なんと言っても直近でドリアーナに行ったのは俺なのだ。
だから交代で行くなんてことになったら最後にされそうだ。
「幾ら少数精鋭って言ったって接客係も含めれば常に20人以上はドリアーナで働いているんだろうから、もう数人増えたってかまわないでしょ。
何だったら固定化の術とか適当な術の補強をついでにやってあげたら喜んでおまけでデザートもつけてくれるかもよ?」
シャルロが肩を竦めながら答えた。
つうかさ、お前さんの場合はデザートの方が大切なんじゃないの?
どう考えても撹拌機《ブレダー》の使用方法はスープとかの下準備用としてのよりも焼き菓子づくり用のに時間をかけてるのを知ってるぞ。
まあ、俺だって甘いものが嫌いな訳じゃあない。
ちょっと術をかけるだけでおまけが出るんだったら大歓迎だ。
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