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卒業後
511 星暦555年 藤の月 10日 俺はオマケです。(10)
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「ウィル、手伝ってくれるかい?
転記《デュプラ》の術はやったことがあったよね?」
道具を鞄から出しながらアルマが声を掛けてきた。
「了解~」
ハラファと何やら部屋の家具について熱心に議論し始めたシェイラを残して、奥の机に向かう。
「ウィルが既に固定化の術を掛けてくれているから、1枚ずつ転記《デュプラ》してからめくっていこう。
転記《デュプラ》した紙はこちらに置いてくれ」
アルマが最初のページに転記《デュプラ》の術を掛けながら指示した。
交互に1ページずつ転記《デュプラ》の術を掛けていく感じで作業に取りかかったのだが・・・やがて俺が術を掛けている間に転記《デュプラ》した紙の解読を始めていたアルマの手が止り、俺だけが転記《デュプラ》の術をかけている感じになった。
おい~。
そりゃあ、俺はこの書類読めないけどさぁ。
解読に取りかかっちゃうんだったらせめて何が書いてあるか教えてくれよ。
「なんでここが封鎖されていたか、分かりました?」
完全に動きが止ったアルマに声を掛ける。
宿屋(もしくは兵の休憩所)の日常に関する記載もそれはそれで興味深いと思うが、なんと言ってもこれだけの人数の白骨死体と共に封鎖されていたのだ。
どういう状況なのか知りたいし、日誌(だよね?)に説明されている可能性は高いだろう。
まあ、説明が最後ではなく最初の方に書かれている可能性もあるが。
これだけ熱心に読んでいるだから、何か重要なことが書いてあるんだよね??
声を掛けても反応が無かったので、そっと肘でアルマの脇腹を突いてみた。
ふう。
アルマがため息のような大きな息を吐いた。
興奮のあまり、息を留めていたのかね?
「・・・ああ。
どうやら伝染病がこの宿場で発生したようだな。
その時点で泊っていた客と従業員が足止めされ、完治した人間は出て行ったようだが殆どは亡くなったようだ。
この人物は宿場の主人で、最初は料理を作ったり外で人の往来を止めていた兵とのやり取りとかをしていて発病していなかったのだが、皆が病に倒れて看護が出来る人間が居なくなって看護をするようになったらやはり発病したと書いてある。結局治らないことが判明したから死体の処理も兼ねて見張っていた兵に頼んでこの洞窟その物を封鎖して貰ったようだ」
食い入るように読んでいたアルマが答えた。
・・・?
何でその宿場の主人は治らないことが分かったんだ?
完治して出て行った人間がいたならこの主人だって完治する可能性はあっただろうに。
面倒を見る人間がいなくてこの主人が他の病人の世話をしていたのだったら、まだ自分で動き回れたということだろう?
だとしたらまだそれなりに体力があったんだと思うが。
「外の人間とやり取りできるほど体力があったのに諦めるなんて変な感じだけど・・・外の兵に何か圧力を掛けられたんですかね?
それとも看護出来る人間がいなくなって飢え死にしそうだった?」
不本意な状況で助かる可能性があったのに埋められたんだったら何か嫌がらせを仕組んでいる可能性だってあるかもしれない。
まあ、入り口を崩落させて塞ぐのだ。
例え掘り返す人間が出てくるとしても封鎖をした人間の時代では無い可能性は高いだろうが。
「う~ん・・・どうも病状に段階があるタイプの疾患なのかな?
現代でも、最終段階まで悪化する前に薬なり自分の体力なりで病気に打ち勝てれば回復出来るが、最終段階まで行ったら絶対に助からないと見なされるタイプの病気があるからね。
どうもこれは痣?が出てきたら助からないと見なされていたようだね」
アルマがちょっと首を傾げながら答えた。
ふ~ん。
・・・痣が出てきたら助からない病気なんて聞いたことが無いぞ。
もしかして、古代に絶えた現代には無い伝染病だったりしたら、ヤバいんじゃないのか?
「今まで医療関係の資料というのは殆ど見つかっていないから、これは非常に興味深い研究が出来そうだ。
ウィルは本当に素晴らしい発見をする才能があるようだね!!」
突然アルマが俺の手を握って嬉しげにぶんぶんと振り回し始めた。
・・・元々の遺跡を発見したのはシャルロ(と蒼流)だし、ここはシェイラの思いつきで見つかっただけだから、俺の『才能』とは関係ないと思うぞ。
でもまあ、興味深い発見があって、良かった。
これで変な伝染病が再発したりしなければ、言うことは無いんだけど。
大丈夫だよね??
------------------------------------------------------------------
一応、埋葬所を発掘する際に使う殺菌の術みたいのもあるので、大丈夫なはずです。
アルマやハラファが興奮しすぎて殺菌作業が終わる前に死体とかに触りすぎなければw
転記《デュプラ》の術はやったことがあったよね?」
道具を鞄から出しながらアルマが声を掛けてきた。
「了解~」
ハラファと何やら部屋の家具について熱心に議論し始めたシェイラを残して、奥の机に向かう。
「ウィルが既に固定化の術を掛けてくれているから、1枚ずつ転記《デュプラ》してからめくっていこう。
転記《デュプラ》した紙はこちらに置いてくれ」
アルマが最初のページに転記《デュプラ》の術を掛けながら指示した。
交互に1ページずつ転記《デュプラ》の術を掛けていく感じで作業に取りかかったのだが・・・やがて俺が術を掛けている間に転記《デュプラ》した紙の解読を始めていたアルマの手が止り、俺だけが転記《デュプラ》の術をかけている感じになった。
おい~。
そりゃあ、俺はこの書類読めないけどさぁ。
解読に取りかかっちゃうんだったらせめて何が書いてあるか教えてくれよ。
「なんでここが封鎖されていたか、分かりました?」
完全に動きが止ったアルマに声を掛ける。
宿屋(もしくは兵の休憩所)の日常に関する記載もそれはそれで興味深いと思うが、なんと言ってもこれだけの人数の白骨死体と共に封鎖されていたのだ。
どういう状況なのか知りたいし、日誌(だよね?)に説明されている可能性は高いだろう。
まあ、説明が最後ではなく最初の方に書かれている可能性もあるが。
これだけ熱心に読んでいるだから、何か重要なことが書いてあるんだよね??
声を掛けても反応が無かったので、そっと肘でアルマの脇腹を突いてみた。
ふう。
アルマがため息のような大きな息を吐いた。
興奮のあまり、息を留めていたのかね?
「・・・ああ。
どうやら伝染病がこの宿場で発生したようだな。
その時点で泊っていた客と従業員が足止めされ、完治した人間は出て行ったようだが殆どは亡くなったようだ。
この人物は宿場の主人で、最初は料理を作ったり外で人の往来を止めていた兵とのやり取りとかをしていて発病していなかったのだが、皆が病に倒れて看護が出来る人間が居なくなって看護をするようになったらやはり発病したと書いてある。結局治らないことが判明したから死体の処理も兼ねて見張っていた兵に頼んでこの洞窟その物を封鎖して貰ったようだ」
食い入るように読んでいたアルマが答えた。
・・・?
何でその宿場の主人は治らないことが分かったんだ?
完治して出て行った人間がいたならこの主人だって完治する可能性はあっただろうに。
面倒を見る人間がいなくてこの主人が他の病人の世話をしていたのだったら、まだ自分で動き回れたということだろう?
だとしたらまだそれなりに体力があったんだと思うが。
「外の人間とやり取りできるほど体力があったのに諦めるなんて変な感じだけど・・・外の兵に何か圧力を掛けられたんですかね?
それとも看護出来る人間がいなくなって飢え死にしそうだった?」
不本意な状況で助かる可能性があったのに埋められたんだったら何か嫌がらせを仕組んでいる可能性だってあるかもしれない。
まあ、入り口を崩落させて塞ぐのだ。
例え掘り返す人間が出てくるとしても封鎖をした人間の時代では無い可能性は高いだろうが。
「う~ん・・・どうも病状に段階があるタイプの疾患なのかな?
現代でも、最終段階まで悪化する前に薬なり自分の体力なりで病気に打ち勝てれば回復出来るが、最終段階まで行ったら絶対に助からないと見なされるタイプの病気があるからね。
どうもこれは痣?が出てきたら助からないと見なされていたようだね」
アルマがちょっと首を傾げながら答えた。
ふ~ん。
・・・痣が出てきたら助からない病気なんて聞いたことが無いぞ。
もしかして、古代に絶えた現代には無い伝染病だったりしたら、ヤバいんじゃないのか?
「今まで医療関係の資料というのは殆ど見つかっていないから、これは非常に興味深い研究が出来そうだ。
ウィルは本当に素晴らしい発見をする才能があるようだね!!」
突然アルマが俺の手を握って嬉しげにぶんぶんと振り回し始めた。
・・・元々の遺跡を発見したのはシャルロ(と蒼流)だし、ここはシェイラの思いつきで見つかっただけだから、俺の『才能』とは関係ないと思うぞ。
でもまあ、興味深い発見があって、良かった。
これで変な伝染病が再発したりしなければ、言うことは無いんだけど。
大丈夫だよね??
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一応、埋葬所を発掘する際に使う殺菌の術みたいのもあるので、大丈夫なはずです。
アルマやハラファが興奮しすぎて殺菌作業が終わる前に死体とかに触りすぎなければw
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