506 / 1,038
卒業後
505 星暦555年 藤の月 10日 俺はオマケです。(4)
しおりを挟む
ウィルの視点に戻りました
------------------------------------------------------------------
「散歩に行きましょ!」
仕事では無いとは言え、一応ボランティアで手伝いをしているし、なんと言ってもシェイラと一緒に出勤(?)しているので平日はそこそこ朝早く起こされていたので休息日の今日はがっつり寝坊しようと思っていたら、シェイラに起こされた。
「え~?
まだ朝じゃん・・・」
昔のような極端な夜型人間では無くなったが、それでも朝に弱いことに変わりは無い。
特に夜更かししていた訳では無いし、疲れが溜まっていた訳でもないのだが・・・『寝坊』とか『二度寝』というのは肉体的な疲れとは別世界の快楽なのだ。
「何を言っているの、折角の休息日なのよ!
寝坊なんかしたら1日が無駄になっちゃうじゃない。
今日は良い天気だから、遺跡の周りを散歩しましょう!」
朝型人間なシェイラは休息日になると更に早起きしたくなるらしい。
・・・付き合う相手を間違えたかなぁ?
◆◆◆◆
「で?
何だって遺跡の周りを歩くんだ?
運動不足で気分転換に体を動かしたいなら、街の中なり街の周りを散歩すればそれで良いんじゃないか?」
朝食を食べながらシェイラに尋ねる。
買い物に付き合うというのもあまり有り難くない時間の過ごし方だが、何も無い遺跡周辺を歩き回るよりはまだマシだろう。
「あの遺跡は籠城中の要塞都市という訳では無いのだから、周りにも都市の人々の生活に関係する施設とかがあったはずだと思うの。
今は何も残っていないにしても、その頃何らかの形で使ったであろう小川とか道があるかも知れないでしょ?
洞窟みたいな都市の中だけで無く、周りを見てみたいと思わない??」
シェイラのワクワク感が凄い。
・・・シェイラって実は屋外派なのか?
王都生まれの王都育ちだから、なんとはなしに室内派だと思っていた。
「あぁ~・・・まぁなぁ。
シェイラって、もしかして洞窟の中にあるオーバスタ神殿の遺跡ってあまり好きじゃないの?」
シェイラが肩を竦めた。
「フォラスタ文明は私の好みにこれ以上無いぐらい一致しているの。
ヴァルージャの遺跡があの時期に見つかったのは本当に良かったわ~」
確かにね。
新しい遺跡なんてそうしょっちゅう見つかるものではないだろう。
発掘チームの人間の入れ替えはそれなりにあるだろうが、スポンサーにコネが無いと発掘チームに潜り込むのが難しいって話だからなぁ。
「見つからなかったらどうするつもりだったんだ?」
それこそ、見つからなかったらゼルガの代わりにガルバの後釜になっていたのかね?
・・・だとしても、ここにボランティアで来た際に俺達は出会えただろうけど。
「他のフォラスタ文明の遺跡の発掘隊に何とかして潜り込むか、どうしても無理そうだったら他の遺跡の発掘隊に入っていたわね。
流石に何十年も費やすことかもしれない発掘隊だから、このオーバスタ神殿だけは選択肢として無かったけど」
お茶を注ぎながらシェイラが答えた。
既に俺を起こしに来る前に朝食は食べ終わっていたようだが、俺を待つ間にお茶を飲むことにしたらしい。
「え、何十年も同じ遺跡で働くの???」
マジ?
ちょっとそれって飽きないか??
「何を言っているの。
小さな屋敷とか村が残っていたというだけならまだしも、『遺跡』と認識されるようなのは小さくてもそれなりの村サイズぐらいはあるのよ?
そこの情報を発掘して、分析して、理論を構築してそれが発掘して見つかった情報と一致するかを検証するのには一生どころか何世代もかかったとしても不思議では無いぐらいよ。
だからこそ、オーバスタ神殿みたいに穴蔵の中に1日中潜り込んでいなければならない遺跡はちょっと私には辛すぎるのよねぇ~」
カップに息を吹きかけてお茶を冷ましながらシェイラが答えた。
何世代も???!!!
ほぇぇぇぇ。
考古学者って気が長すぎる!!
しっかし・・・そうかぁ。
つまり、シェイラはずっとヴァルージャに居ると言うことになりそうだな。
・・・そのうち王都の歴史学会で働く気ってないのかなぁ?
------------------------------------------------------------------
散歩までたどり着けませんでした・・・
------------------------------------------------------------------
「散歩に行きましょ!」
仕事では無いとは言え、一応ボランティアで手伝いをしているし、なんと言ってもシェイラと一緒に出勤(?)しているので平日はそこそこ朝早く起こされていたので休息日の今日はがっつり寝坊しようと思っていたら、シェイラに起こされた。
「え~?
まだ朝じゃん・・・」
昔のような極端な夜型人間では無くなったが、それでも朝に弱いことに変わりは無い。
特に夜更かししていた訳では無いし、疲れが溜まっていた訳でもないのだが・・・『寝坊』とか『二度寝』というのは肉体的な疲れとは別世界の快楽なのだ。
「何を言っているの、折角の休息日なのよ!
寝坊なんかしたら1日が無駄になっちゃうじゃない。
今日は良い天気だから、遺跡の周りを散歩しましょう!」
朝型人間なシェイラは休息日になると更に早起きしたくなるらしい。
・・・付き合う相手を間違えたかなぁ?
◆◆◆◆
「で?
何だって遺跡の周りを歩くんだ?
運動不足で気分転換に体を動かしたいなら、街の中なり街の周りを散歩すればそれで良いんじゃないか?」
朝食を食べながらシェイラに尋ねる。
買い物に付き合うというのもあまり有り難くない時間の過ごし方だが、何も無い遺跡周辺を歩き回るよりはまだマシだろう。
「あの遺跡は籠城中の要塞都市という訳では無いのだから、周りにも都市の人々の生活に関係する施設とかがあったはずだと思うの。
今は何も残っていないにしても、その頃何らかの形で使ったであろう小川とか道があるかも知れないでしょ?
洞窟みたいな都市の中だけで無く、周りを見てみたいと思わない??」
シェイラのワクワク感が凄い。
・・・シェイラって実は屋外派なのか?
王都生まれの王都育ちだから、なんとはなしに室内派だと思っていた。
「あぁ~・・・まぁなぁ。
シェイラって、もしかして洞窟の中にあるオーバスタ神殿の遺跡ってあまり好きじゃないの?」
シェイラが肩を竦めた。
「フォラスタ文明は私の好みにこれ以上無いぐらい一致しているの。
ヴァルージャの遺跡があの時期に見つかったのは本当に良かったわ~」
確かにね。
新しい遺跡なんてそうしょっちゅう見つかるものではないだろう。
発掘チームの人間の入れ替えはそれなりにあるだろうが、スポンサーにコネが無いと発掘チームに潜り込むのが難しいって話だからなぁ。
「見つからなかったらどうするつもりだったんだ?」
それこそ、見つからなかったらゼルガの代わりにガルバの後釜になっていたのかね?
・・・だとしても、ここにボランティアで来た際に俺達は出会えただろうけど。
「他のフォラスタ文明の遺跡の発掘隊に何とかして潜り込むか、どうしても無理そうだったら他の遺跡の発掘隊に入っていたわね。
流石に何十年も費やすことかもしれない発掘隊だから、このオーバスタ神殿だけは選択肢として無かったけど」
お茶を注ぎながらシェイラが答えた。
既に俺を起こしに来る前に朝食は食べ終わっていたようだが、俺を待つ間にお茶を飲むことにしたらしい。
「え、何十年も同じ遺跡で働くの???」
マジ?
ちょっとそれって飽きないか??
「何を言っているの。
小さな屋敷とか村が残っていたというだけならまだしも、『遺跡』と認識されるようなのは小さくてもそれなりの村サイズぐらいはあるのよ?
そこの情報を発掘して、分析して、理論を構築してそれが発掘して見つかった情報と一致するかを検証するのには一生どころか何世代もかかったとしても不思議では無いぐらいよ。
だからこそ、オーバスタ神殿みたいに穴蔵の中に1日中潜り込んでいなければならない遺跡はちょっと私には辛すぎるのよねぇ~」
カップに息を吹きかけてお茶を冷ましながらシェイラが答えた。
何世代も???!!!
ほぇぇぇぇ。
考古学者って気が長すぎる!!
しっかし・・・そうかぁ。
つまり、シェイラはずっとヴァルージャに居ると言うことになりそうだな。
・・・そのうち王都の歴史学会で働く気ってないのかなぁ?
------------------------------------------------------------------
散歩までたどり着けませんでした・・・
0
お気に入りに追加
503
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です
岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」
私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。
しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。
しかも私を年増呼ばわり。
はあ?
あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!
などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。
その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる