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魔術学院3年目
106 星暦551年 青の月 23日 拘束
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「6人なら丁度いい。一人2人ずつ拘束しなさい」
シャルロと一緒に魔術院の人間と警備兵2人をつれて現れた学院長が俺たちに言い渡した。
「魔術の現実的な使い方のいい練習になるだろう?お前たちが全員を同じタイミングで拘束すれば捕らわれている女性たちに害が及ぶ心配もない」
荒事対応の為にその警備兵が来ているんじゃなかったの?
まあ、魔術の実践的な練習というのは悪くないから従ったけどさ。
「じゃあ、シャルロが外の2人、俺が下にいる2人、アレクが上の2人ということでいこうか。どこにいるか、分かるか?」
道の反対側に停めた馬車の中から家の中にいる人間の場所を確定して拘束の術をかけるのはそれなりに難しい。
だから場所が大雑把にしか分からなくても範囲を広くして術を行使すればいい外はシャルロ、動かない休息中の2人をアレク、そして定期的に動き回って家の中を見張っている1階の2人を俺が担当するのが一番効率的だろう。
短期間の拘束の術だったら直径2メタ程度の実行範囲を作り上げるのはそれ程難しくない。
だが、言い方を変えると直径2メタ以内の場所にターゲットの2人がいてくれなければ困る。
と言うことで1階の二人がお互いに近づくのを俺が確認したら一斉に拘束術をかけることで合意した。
しばし待っていたら、喉が渇いたのか一人が台所に向かった。まだ食事の時間じゃないから飲み物でも取りに行ったのかな?
海寄りのリビングをうろうろしていた男が台所に近づいた。どうやら自分にも飲み物が欲しくなったのか。
だとしたらグラスを渡す瞬間が一番いいのだが・・・。
「よし、いまだ!」
グラスが台所にいた人間からオネダリに来た人間の手に渡った瞬間に術を放つ。
「「「拘束!」」」
一瞬の間に3つの拘束フィールドが具現化し、男たちの身動きを止めた。
シャルロの拘束フィールドは長さ10メタはありそうな庭を完全に押さえていた。
おいおい。
どんだけ~?
気をつけないと、シャルロったら警備兵とか軍隊にスカウトされちゃうぞ?
「よし、行くぞ。警備兵の諸君はとりあえず拘束された男たちを縛って見張っておいてくれるかな?
下で閉じ込められている女性たちを解放し、奉公契約の違法転売が行われていたかを確認する間に逃げられては困るからね」
学院長が指示を出す。
そっか。
奉公契約の違法転売(つまり人身売買)が証明できるまではこの警備兵たちにあまり大きなことをさせられないのか。
ま、4人の女性と1人の美少年が閉じ込められて泣いて解放を喜んでいるのをみたら、どう考えてもまともな奉公契約じゃあないことは誰の目にも明らかだったけど。
「いない・・・」
地下から解放された被害者たちを見てサーシャが絶望のうめき声を上げた。
ちっ。
サーシャの姉は既に売れらた後なのか。
それとも殺されたのか。
もしかしたら別の場所に運び出されたのかもしれない。
どこかの素人にでも売られていればいいんだが・・・。
違法組織の一部が検挙されたとなると、芋蔓式に捕まることを恐れてプロなら証拠隠滅に動きだす。
「ウィル」
学院長が奥の部屋から呼んだ。
「開けられるか?」
部屋の壁に掛けてあったらしき絵画が下に降ろされ、金庫が姿を現していた。
なるほど、書類はそっちなのかな。
・・・人身売買なんて言う危険な商売の書類を隠すにしてはちょっと凡庸な隠し場所だが。
とりあえず、その金庫を開け、中に入っていた書類を学院長に渡した。
「見事なモノだな」
「単純な構造でしたから」
謙遜などではなく、本当にズブ素人以外なら確実に開けられるような単純な構造の金庫だった。
殆ど気休めの域を出ていない。
しかも『ここに重要品あり』と周囲にアピールしているようなものなんだから、却って無い方が良いぐらいだ。
学院長が資料を調べている間に俺は部屋を心眼で輪切りにしながら視て回った。
だが・・・何もない。
おかしいなぁ。
どんな素人のおバカちゃんでもこんな単純な金庫は使わないと思うのだが。こんなモノ、今では買う人もいないから当然製造も停止されており、入手するのの方が難しいぐらいだ。
書斎には何もなかった。
ふむ。
下と上、どちらに隠しているかなぁ。
◆◆◆
結局、もう一個の金庫は掃除道具置き場にあった。
掃除をしないんかね、この建物の主は?
家政婦とかを雇っているとしたらそんな人間が四六時中出入りする上そちらの金庫の中に奉公契約転売の証拠が残すというのは危険この上ない。
・・・しっかし、ダンガン家の3男が集めた仲間に関する『保険』の情報は凄かった。
この人身売買リングはこれで終わりだな。
良いことだ。
良いこと・・・なんだが、肝心のサーシャの姉貴はどこに行ったんだ?!
シャルロと一緒に魔術院の人間と警備兵2人をつれて現れた学院長が俺たちに言い渡した。
「魔術の現実的な使い方のいい練習になるだろう?お前たちが全員を同じタイミングで拘束すれば捕らわれている女性たちに害が及ぶ心配もない」
荒事対応の為にその警備兵が来ているんじゃなかったの?
まあ、魔術の実践的な練習というのは悪くないから従ったけどさ。
「じゃあ、シャルロが外の2人、俺が下にいる2人、アレクが上の2人ということでいこうか。どこにいるか、分かるか?」
道の反対側に停めた馬車の中から家の中にいる人間の場所を確定して拘束の術をかけるのはそれなりに難しい。
だから場所が大雑把にしか分からなくても範囲を広くして術を行使すればいい外はシャルロ、動かない休息中の2人をアレク、そして定期的に動き回って家の中を見張っている1階の2人を俺が担当するのが一番効率的だろう。
短期間の拘束の術だったら直径2メタ程度の実行範囲を作り上げるのはそれ程難しくない。
だが、言い方を変えると直径2メタ以内の場所にターゲットの2人がいてくれなければ困る。
と言うことで1階の二人がお互いに近づくのを俺が確認したら一斉に拘束術をかけることで合意した。
しばし待っていたら、喉が渇いたのか一人が台所に向かった。まだ食事の時間じゃないから飲み物でも取りに行ったのかな?
海寄りのリビングをうろうろしていた男が台所に近づいた。どうやら自分にも飲み物が欲しくなったのか。
だとしたらグラスを渡す瞬間が一番いいのだが・・・。
「よし、いまだ!」
グラスが台所にいた人間からオネダリに来た人間の手に渡った瞬間に術を放つ。
「「「拘束!」」」
一瞬の間に3つの拘束フィールドが具現化し、男たちの身動きを止めた。
シャルロの拘束フィールドは長さ10メタはありそうな庭を完全に押さえていた。
おいおい。
どんだけ~?
気をつけないと、シャルロったら警備兵とか軍隊にスカウトされちゃうぞ?
「よし、行くぞ。警備兵の諸君はとりあえず拘束された男たちを縛って見張っておいてくれるかな?
下で閉じ込められている女性たちを解放し、奉公契約の違法転売が行われていたかを確認する間に逃げられては困るからね」
学院長が指示を出す。
そっか。
奉公契約の違法転売(つまり人身売買)が証明できるまではこの警備兵たちにあまり大きなことをさせられないのか。
ま、4人の女性と1人の美少年が閉じ込められて泣いて解放を喜んでいるのをみたら、どう考えてもまともな奉公契約じゃあないことは誰の目にも明らかだったけど。
「いない・・・」
地下から解放された被害者たちを見てサーシャが絶望のうめき声を上げた。
ちっ。
サーシャの姉は既に売れらた後なのか。
それとも殺されたのか。
もしかしたら別の場所に運び出されたのかもしれない。
どこかの素人にでも売られていればいいんだが・・・。
違法組織の一部が検挙されたとなると、芋蔓式に捕まることを恐れてプロなら証拠隠滅に動きだす。
「ウィル」
学院長が奥の部屋から呼んだ。
「開けられるか?」
部屋の壁に掛けてあったらしき絵画が下に降ろされ、金庫が姿を現していた。
なるほど、書類はそっちなのかな。
・・・人身売買なんて言う危険な商売の書類を隠すにしてはちょっと凡庸な隠し場所だが。
とりあえず、その金庫を開け、中に入っていた書類を学院長に渡した。
「見事なモノだな」
「単純な構造でしたから」
謙遜などではなく、本当にズブ素人以外なら確実に開けられるような単純な構造の金庫だった。
殆ど気休めの域を出ていない。
しかも『ここに重要品あり』と周囲にアピールしているようなものなんだから、却って無い方が良いぐらいだ。
学院長が資料を調べている間に俺は部屋を心眼で輪切りにしながら視て回った。
だが・・・何もない。
おかしいなぁ。
どんな素人のおバカちゃんでもこんな単純な金庫は使わないと思うのだが。こんなモノ、今では買う人もいないから当然製造も停止されており、入手するのの方が難しいぐらいだ。
書斎には何もなかった。
ふむ。
下と上、どちらに隠しているかなぁ。
◆◆◆
結局、もう一個の金庫は掃除道具置き場にあった。
掃除をしないんかね、この建物の主は?
家政婦とかを雇っているとしたらそんな人間が四六時中出入りする上そちらの金庫の中に奉公契約転売の証拠が残すというのは危険この上ない。
・・・しっかし、ダンガン家の3男が集めた仲間に関する『保険』の情報は凄かった。
この人身売買リングはこれで終わりだな。
良いことだ。
良いこと・・・なんだが、肝心のサーシャの姉貴はどこに行ったんだ?!
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