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魔術学院2年目
071 星暦550年 桃の月 4日 台所用
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もうすぐ魔術学院での2年目も終わる。
ランプから始まり魔剣作りや構造魔術を学び、転移門の作り方すら理論としては学んだ。
ちなみに転移門は必要な魔力が莫大な上に失敗した際のリスクが高すぎる(失敗すると体の半分だけどっかに行ったりこの世界じゃない場所に行ったりする)為か、実技は無かった。
どうせなら作る場面を見せてもらいたかったんだけどなぁ。
まあ、中途半端に実用的な知識を教えて安易に一人で作ろうとされたりしたら困ると言うところなんだろうが。
ある意味、2学年目は将来的な生計を立てる為の手段を学ぶという意味では、一番堅実で実用的な教育なのかもしれない。
3学年目で学ぶのは召喚魔術に関連した知識だ。
どんな存在が召喚しうるか、召喚者が殺されない為の防衛手段、召喚した対象者と契約する場合の相手の拘束方法など。強力な存在を召喚出来るだけの才能があるならばこの上なく可能性を伸ばせる範囲の魔術だが、その方向の才能が無い(もしくは興味が無い)人間にとってはあまり実用性がない。
俺も・・・あまり来年の授業の内容には今年のモノ程興味を感じられない。自分より上位の存在を呼び出して卑怯な手段で向こうを無理やり拘束するのは嫌だし、かといって自分より弱い存在を呼び出して使い捨ての駒扱いするのも嫌だ。そんな技能を磨く為に努力するよりは、己の能力を伸ばすことに努力したいね。
まあ、誠意を持って頼んだら面白がって手伝ってくれる存在も多いらしいけど、俺にそこまで人徳(?)があるとも思えない。第一、そんな表面的な興味だけの助力なんて怖くて頼れない。まあ、蒼流の過保護ぶりを見たら上位の存在だって物凄く親身になってくれることもあるようだし、清早だって何でか知れないが相変わらず何かを頼めばすごく喜んで助けてくれる。
・・・不思議だよなぁ。
召喚術も実際に学んで実習をやってみたら思っているよりも面白くて実用性があるのかもしれないけど。
とりあえず俺の予定としては想定外に面白い結果にならない限り、卒業して正式に魔術師になれる程度にだけ精を出し、残りのエネルギーは魔具づくりや鍛冶の腕を上げることに費やしたい。
ま、来年の話はさておき。
年末試験前の最後の分野として、台所回りの魔具が今回の授業の対象だ。
魔術師ならば、食材に直接保存の術をかけて魔力が続く限り鮮度を保つことが出来る。冷やしたり温めたりすることも直接術をかけることで一応は可能。
だが、保存は一つ一つの食材に術をかけねばならず、温度調整に関しては鍋料理とでも言うのでない限り、火力の制御がかなり難しい。
しかも魔術師じゃない人間の方が世の中圧倒的に多いし。
そこで人気が出てくるのが台所用魔具だ。
箱の中に保存を発動させて中に入れた食材の鮮度を保つ保存庫、熱して料理をする火器、氷を作ったり食材を凍らせてその食感を楽しんだりする凍結庫など。
ちなみに料理は炭火を使って直接する家庭も多く、また凍結庫は贅沢品として扱われているので一番需要は高いのは保存庫だ。考えてみたら、魔剣を作って売るよりも保存庫を作って売る方が経済的には潤うかもしれない。
学院を卒業して寮を出るとなったら大家さんが食事を出してくれる家に下宿するのでない限り、食事はある程度自分で賄わなければならない。となったらこの3つは必需品だ。実習で実用に耐えうるものを作り、3年生の間に使ってみて不便なところを改善していこう。
さて。
楽しみだ。
ランプから始まり魔剣作りや構造魔術を学び、転移門の作り方すら理論としては学んだ。
ちなみに転移門は必要な魔力が莫大な上に失敗した際のリスクが高すぎる(失敗すると体の半分だけどっかに行ったりこの世界じゃない場所に行ったりする)為か、実技は無かった。
どうせなら作る場面を見せてもらいたかったんだけどなぁ。
まあ、中途半端に実用的な知識を教えて安易に一人で作ろうとされたりしたら困ると言うところなんだろうが。
ある意味、2学年目は将来的な生計を立てる為の手段を学ぶという意味では、一番堅実で実用的な教育なのかもしれない。
3学年目で学ぶのは召喚魔術に関連した知識だ。
どんな存在が召喚しうるか、召喚者が殺されない為の防衛手段、召喚した対象者と契約する場合の相手の拘束方法など。強力な存在を召喚出来るだけの才能があるならばこの上なく可能性を伸ばせる範囲の魔術だが、その方向の才能が無い(もしくは興味が無い)人間にとってはあまり実用性がない。
俺も・・・あまり来年の授業の内容には今年のモノ程興味を感じられない。自分より上位の存在を呼び出して卑怯な手段で向こうを無理やり拘束するのは嫌だし、かといって自分より弱い存在を呼び出して使い捨ての駒扱いするのも嫌だ。そんな技能を磨く為に努力するよりは、己の能力を伸ばすことに努力したいね。
まあ、誠意を持って頼んだら面白がって手伝ってくれる存在も多いらしいけど、俺にそこまで人徳(?)があるとも思えない。第一、そんな表面的な興味だけの助力なんて怖くて頼れない。まあ、蒼流の過保護ぶりを見たら上位の存在だって物凄く親身になってくれることもあるようだし、清早だって何でか知れないが相変わらず何かを頼めばすごく喜んで助けてくれる。
・・・不思議だよなぁ。
召喚術も実際に学んで実習をやってみたら思っているよりも面白くて実用性があるのかもしれないけど。
とりあえず俺の予定としては想定外に面白い結果にならない限り、卒業して正式に魔術師になれる程度にだけ精を出し、残りのエネルギーは魔具づくりや鍛冶の腕を上げることに費やしたい。
ま、来年の話はさておき。
年末試験前の最後の分野として、台所回りの魔具が今回の授業の対象だ。
魔術師ならば、食材に直接保存の術をかけて魔力が続く限り鮮度を保つことが出来る。冷やしたり温めたりすることも直接術をかけることで一応は可能。
だが、保存は一つ一つの食材に術をかけねばならず、温度調整に関しては鍋料理とでも言うのでない限り、火力の制御がかなり難しい。
しかも魔術師じゃない人間の方が世の中圧倒的に多いし。
そこで人気が出てくるのが台所用魔具だ。
箱の中に保存を発動させて中に入れた食材の鮮度を保つ保存庫、熱して料理をする火器、氷を作ったり食材を凍らせてその食感を楽しんだりする凍結庫など。
ちなみに料理は炭火を使って直接する家庭も多く、また凍結庫は贅沢品として扱われているので一番需要は高いのは保存庫だ。考えてみたら、魔剣を作って売るよりも保存庫を作って売る方が経済的には潤うかもしれない。
学院を卒業して寮を出るとなったら大家さんが食事を出してくれる家に下宿するのでない限り、食事はある程度自分で賄わなければならない。となったらこの3つは必需品だ。実習で実用に耐えうるものを作り、3年生の間に使ってみて不便なところを改善していこう。
さて。
楽しみだ。
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