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卒業後
457 星暦554年 緑の月 7日 俺達専用の屋形船(5)
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>>サイド パディン夫人
「海に浮かぶ家、ですか?」
暫く新しく発見されたとか云う補給島の開拓に出かけていた雇い主3人組だが、やっと帰ってきたと思ったら、何やら不思議な質問をされた。
海に浮かぶ屋敷の船を造りたいので、家を造る事に関して私の意見を聞きたい、とのこと。
「そう~。
年に2、3回はパストン島に行くと思うんだけど、その際に一々転移門を使って東の大陸に行って、その後あちらで船を探して、島に行って宿を探して泊まるよりも、僕に加護をくれている水の精霊の蒼流やウィルの清早に船を動かして貰う方が同じぐらいの時間で着く上に、居心地のいい自分の部屋で過ごせるからいいと思うんだ。
ただまあ、掃除とかお料理とかを頼まなきゃいけないんで、パディン夫人に出来れば一緒に来てもらいたいな~って。
時間が取れそうなら旦那さんも一緒に来てくれたら、旦那さんの食事を心配しなくていいし、向こうで散歩とか楽しめると思うよ~?
でも、旦那さんの都合が悪くって、夜にパディン夫人が家に帰れないと困るっていうんだったら短期にその時だけ臨時に人を雇うつもりだけど。
どちらにせよ、新しい別荘みたいなのを建てるような感じで考えてくれたらいいんだ。
で、どんな部屋を含めておくべきか、家の面倒を見るプロのパディン夫人に意見を聞きたいと思って」
シャルロ君が焼き立てのクッキーが冷めるのを待ちながら説明してくれた。
台所でお菓子を焼いていると『味見』にシャルロ君が立候補に現れるのはいつものことなんだけど、今回の質問はちょっと想定外だわね。
「別荘、ですか。
どんな家を現時点では想定しているんです?」
火傷しないぐらいに冷めたクッキーを一つ手に取りながら、確認する。
「とりあえず、僕たち個人の寝室が3つでしょ、後は客室なんだけど・・・ウィルとアレクは1つで良いと言っているんだ。
僕は4つぐらいあった方が良いかとも思ったんだけどね~。
そんでもって居間。
これも、ウィルとアレクは1つで良いって言っているんだけど、客室4つなら居間も2つの方が良いかな~って思っているんだよねぇ。
後はお風呂場2つにトイレ3つ、台所に食堂(ダイニングルーム)、パディン夫人用の部屋、工房、貨物室ってところかな?」
クッキーを受け取りながらシャルロ君が答えた。
別荘に客室4つとは、なんとも贅沢なこと。
この家にだってめったに誰も遊びに来ないのに、その別荘用の船の上に造った家にそんなにお客様があるのかしら?
「シャルロさんのご家族に、どのくらいの頻度でその屋敷船を使ってパストン島に遊びに行く予定があるのか、聞いてみたらどうです?
そうしたら客室の数もおのずと決まりますでしょう?
客室の数から居間やトイレがいくつ必要になるか決まるでしょうし。
本当に客室を4つつけるなら私一人ではちょっと大変なので、メイドを一人雇っていただきたいですね。
あと、船の中にあるという話ですが、水や食料はどうするんです?」
ぽんっと手を叩いて、シャルロ君がポケットから紙を取り出して何やら書き込み始めた。
「パントリーは大きめにしないとね。
パストン島ではまだしばらくの間は食糧を余剰生産できないと思うから、最初から積んでいく必要があるよね。
貨物室に入れるんじゃあちょっと料理の際に出し入れが大変だから、ちゃんと台所の隣に大き目なパントリーを作っておこう。
水に関してはこないだ発明した魔道具を使うから、海から汲んできて魔道具でろ過して使えばいいだけだからそれ程場所は取らないと思うよ。
というか、僕かウィルがいたらすぐに真水を出せるし。
でもまあ、海から汲んだ水なり、僕たちが出した水なりを溜めておく場所はある程度は必要だよね。
後は各寝室や客室の傍に顔を洗う場所を作っておく方が良いよね~。
ふむふむ。
じゃあ、まずは僕の家族にどのくらい遊びに来るか、聞いてくるね!」
そう言うと、クッキーを数枚つかんでシャルロ君は出ていってしまった。
「おやおや、忙しないですねぇ。
あの調子だったら、船のキッチンにもオーブンを設置してもらった方が良さそうけど・・・出来るのかしら?」
【後書き】
船大工とか家大工の相談場面も書こうと思ったのですが、また今度になりましたw
「海に浮かぶ家、ですか?」
暫く新しく発見されたとか云う補給島の開拓に出かけていた雇い主3人組だが、やっと帰ってきたと思ったら、何やら不思議な質問をされた。
海に浮かぶ屋敷の船を造りたいので、家を造る事に関して私の意見を聞きたい、とのこと。
「そう~。
年に2、3回はパストン島に行くと思うんだけど、その際に一々転移門を使って東の大陸に行って、その後あちらで船を探して、島に行って宿を探して泊まるよりも、僕に加護をくれている水の精霊の蒼流やウィルの清早に船を動かして貰う方が同じぐらいの時間で着く上に、居心地のいい自分の部屋で過ごせるからいいと思うんだ。
ただまあ、掃除とかお料理とかを頼まなきゃいけないんで、パディン夫人に出来れば一緒に来てもらいたいな~って。
時間が取れそうなら旦那さんも一緒に来てくれたら、旦那さんの食事を心配しなくていいし、向こうで散歩とか楽しめると思うよ~?
でも、旦那さんの都合が悪くって、夜にパディン夫人が家に帰れないと困るっていうんだったら短期にその時だけ臨時に人を雇うつもりだけど。
どちらにせよ、新しい別荘みたいなのを建てるような感じで考えてくれたらいいんだ。
で、どんな部屋を含めておくべきか、家の面倒を見るプロのパディン夫人に意見を聞きたいと思って」
シャルロ君が焼き立てのクッキーが冷めるのを待ちながら説明してくれた。
台所でお菓子を焼いていると『味見』にシャルロ君が立候補に現れるのはいつものことなんだけど、今回の質問はちょっと想定外だわね。
「別荘、ですか。
どんな家を現時点では想定しているんです?」
火傷しないぐらいに冷めたクッキーを一つ手に取りながら、確認する。
「とりあえず、僕たち個人の寝室が3つでしょ、後は客室なんだけど・・・ウィルとアレクは1つで良いと言っているんだ。
僕は4つぐらいあった方が良いかとも思ったんだけどね~。
そんでもって居間。
これも、ウィルとアレクは1つで良いって言っているんだけど、客室4つなら居間も2つの方が良いかな~って思っているんだよねぇ。
後はお風呂場2つにトイレ3つ、台所に食堂(ダイニングルーム)、パディン夫人用の部屋、工房、貨物室ってところかな?」
クッキーを受け取りながらシャルロ君が答えた。
別荘に客室4つとは、なんとも贅沢なこと。
この家にだってめったに誰も遊びに来ないのに、その別荘用の船の上に造った家にそんなにお客様があるのかしら?
「シャルロさんのご家族に、どのくらいの頻度でその屋敷船を使ってパストン島に遊びに行く予定があるのか、聞いてみたらどうです?
そうしたら客室の数もおのずと決まりますでしょう?
客室の数から居間やトイレがいくつ必要になるか決まるでしょうし。
本当に客室を4つつけるなら私一人ではちょっと大変なので、メイドを一人雇っていただきたいですね。
あと、船の中にあるという話ですが、水や食料はどうするんです?」
ぽんっと手を叩いて、シャルロ君がポケットから紙を取り出して何やら書き込み始めた。
「パントリーは大きめにしないとね。
パストン島ではまだしばらくの間は食糧を余剰生産できないと思うから、最初から積んでいく必要があるよね。
貨物室に入れるんじゃあちょっと料理の際に出し入れが大変だから、ちゃんと台所の隣に大き目なパントリーを作っておこう。
水に関してはこないだ発明した魔道具を使うから、海から汲んできて魔道具でろ過して使えばいいだけだからそれ程場所は取らないと思うよ。
というか、僕かウィルがいたらすぐに真水を出せるし。
でもまあ、海から汲んだ水なり、僕たちが出した水なりを溜めておく場所はある程度は必要だよね。
後は各寝室や客室の傍に顔を洗う場所を作っておく方が良いよね~。
ふむふむ。
じゃあ、まずは僕の家族にどのくらい遊びに来るか、聞いてくるね!」
そう言うと、クッキーを数枚つかんでシャルロ君は出ていってしまった。
「おやおや、忙しないですねぇ。
あの調子だったら、船のキッチンにもオーブンを設置してもらった方が良さそうけど・・・出来るのかしら?」
【後書き】
船大工とか家大工の相談場面も書こうと思ったのですが、また今度になりましたw
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