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卒業後
421 星暦554年 紫の月 20日 次の旅立ち?(13)
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シャルロの婚約式の場所はオレファーニ侯爵家本邸の庭だった。
流石侯爵家の本邸。
庭そのものが何かの芸術品みたいだ。
婚約式のために何やら花のアーチみたいのが作られて、その傍にシャルロとケレナがお互いに向き合って立っている。
まあ、お互いに向き合っていると言ってもその前にいる親戚や俺達にも微妙に体を向けているけど。
2人が交互に相手の良いところや笑える思い出とかを話し始めた。
周りの人間も気楽に笑っていて、楽しい雰囲気だ。
シャルロとケレナという、貴族ながらも気さくな2人が結ばれる事を宣言する場には合っている感じだ。
こういう婚約式っていうのもリハーサルをすることも多いと聞いていたが、シャルロが『友達と家族だけの内輪の催しなんだから、ちょっとぐらい失敗があったってそれも思い出の一部だよ』と主張したのでぶっつけ本番だ。
お陰で式の進行がイマイチよく分からないが。
まあ、確かにこういう自然な流れの方が、リハーサルをして『次はあれ、その次はこれ』みたいなことを考えているよりも良いかもしれない。
それでも俺達の幻影の演出に関してはリハーサルをしたかったけどね。
シャルロ本人には驚いて貰いたいから代役に使うにしても、流れを確認しながらもう予行演習をしたかったなぁ・・・。
2人のお互いの褒め殺しの時間(でもないか、お互いの失敗談も笑いながらぶちまけてんだから)が終わりに近づいてきたのか、アシャル氏が俺達に準備するよう合図をしてきた。
『準備は大丈夫?』
魔力を練り上げながら清早に心話で尋ねる。
『おう!』
ふわふわと俺の傍に浮いた清早がにっかり笑いながら頷く。
蒼流の活躍もあって、今日は雲一つ無い青空だ。
精霊達にとっては結婚も婚約もイマイチ重要性が理解出来ない制度のようだが、シャルロにとって大切であり、そのうちシャルロの子供が出来るかも・・・と言うことでそれなりに蒼流も清早も張り切っている。
「私、シャルロ・オレファーニはここにいる美しいケレナ・ラズバリー嬢と結婚し、家族を育み、楽しい時も辛い時も、一緒に歩んでいくことをここに誓います」
「私、ケレナ・ラズベリーはシャルロ・オレファーニ氏と共になって、楽しみを分かち合い、苦しみは支え合い、一生を共に過ごすことをここに誓います」
何やら2人がお互いに誓いの言葉を言いあっている。
あれ?
これって婚約式だよね??
それとも俺って婚約式と結婚式と、思い違いしていた????
何やら誓いの言葉っぽい台詞に驚いたが、取り敢えずはアシャル氏の合図に合わせて虹を空に創り上げ、細かい水滴を宙にちりばめることでシャルロの回りをキラキラした感じに演出した。
アレクが作った白い小さな花が良い感じに空からふわりふわりと降ってきて、シャルロとケレナはまるでおとぎ話の一場面のような感じになっている。
「「「おお~」」」
観衆からも『良いね~』という感じの声があがり、2人への祝福の拍手が辺りに満ちあふれた。
よっし。
成功だな。
婚約式なのか結婚式なのかよく分からないが。
後でシェイラに確認しよう。
◆◆◆◆
「2人とも、素敵な演出をありがとう!ケレナが凄く喜んでた~」
取り敢えず2人のスピーチと俺達の演出が終わり、皆であずまやで軽食やお菓子を食べようとガヤガヤと動き始めたら、シャルロが寄ってきた。
おいおい、ケレナはどうしたんだ?
あ、ケレナはケレナで友達と話しているっぽいから良いのか。
「シャルロがアシャル氏の伝言をちゃんと伝えてくれなかったお陰で、昨日は2人で必死になって演出を考えて練習しまくったんだ。
今度から伝言はちゃんと直ぐに伝えてくれよ?」
アレクがわざとらしいしかめっ面をしてシャルロに説教をした。
「そうそう。
後でケレナに謝っておけよ~。
本当だったら更に繊細で華やかな演出が出来たはずだったのに、シャルロのうっかりのせいでぶっつけ本番の一夜漬けバージョンになっちまったってな。
ちなみに、ケレナが喜んでいたって事はシャルロはご不満があったのか?」
シャルロをからかいながら近くにあったサンドイッチに手を伸ばす。
緊張していたせいで、朝食もあまり食べられなかったんだよね。
腹が減った。
「勿論、僕も嬉しかったよ!!
本当にありがとう!」
シャルロが俺達に抱きついてきたので、慌ててサンドイッチを皿の上に戻した。
幾ら式が一応終わったと言っても、一張羅にソースを付けたら不味いだろう。
「そう言えば。
今日のこれって婚約式なんだよな??
何か最後の俺達が幻影を見せた場面の言葉って、結婚式で誓うような言葉に聞こえたけど」
ぶっ!
ワインを持ってきたウェイターからちょうどグラスを受けとろうとしていたシェイラが吹き出して、危うくグラスを落としそうになっていた。
「ウィルったら・・・。
いかに結婚に興味が無いか、もろバレねぇ。
婚約式っていうのは大切な人達に結婚を約束した2人がこれからの誓いをする場なの。
結婚式は神殿や役場で、家の繋がりを正式な契約文書にする式典だから、もっとずっと味気ないものなのよ。
まあ、流石にあまりにも味気ないと招待客も退屈しちゃうから、神殿の聖歌隊とかに歌わせてそれなりに盛り上げる事が多いけど。
家の繋がりとかが関係ない普通の人だったら結婚式と婚約式は一緒にやっちゃう人が多いわね」
俺にワインを渡しながらシェイラが説明してくれた。
そうだったのか・・・。
結婚なんて興味が無かったので話題に上ってきても聞き流していたが、どうやら『結婚式』と『婚約式』という物に対する俺の理解がちょっと足りていなかったようだ。
・・・シェイラも別に結婚したいような様子は見せていないし、構わないよな?
【後書き】
アメリカのドラマとかで見かける、庭でやるような結婚式っぽい式典に近い物を想定してます。
流石侯爵家の本邸。
庭そのものが何かの芸術品みたいだ。
婚約式のために何やら花のアーチみたいのが作られて、その傍にシャルロとケレナがお互いに向き合って立っている。
まあ、お互いに向き合っていると言ってもその前にいる親戚や俺達にも微妙に体を向けているけど。
2人が交互に相手の良いところや笑える思い出とかを話し始めた。
周りの人間も気楽に笑っていて、楽しい雰囲気だ。
シャルロとケレナという、貴族ながらも気さくな2人が結ばれる事を宣言する場には合っている感じだ。
こういう婚約式っていうのもリハーサルをすることも多いと聞いていたが、シャルロが『友達と家族だけの内輪の催しなんだから、ちょっとぐらい失敗があったってそれも思い出の一部だよ』と主張したのでぶっつけ本番だ。
お陰で式の進行がイマイチよく分からないが。
まあ、確かにこういう自然な流れの方が、リハーサルをして『次はあれ、その次はこれ』みたいなことを考えているよりも良いかもしれない。
それでも俺達の幻影の演出に関してはリハーサルをしたかったけどね。
シャルロ本人には驚いて貰いたいから代役に使うにしても、流れを確認しながらもう予行演習をしたかったなぁ・・・。
2人のお互いの褒め殺しの時間(でもないか、お互いの失敗談も笑いながらぶちまけてんだから)が終わりに近づいてきたのか、アシャル氏が俺達に準備するよう合図をしてきた。
『準備は大丈夫?』
魔力を練り上げながら清早に心話で尋ねる。
『おう!』
ふわふわと俺の傍に浮いた清早がにっかり笑いながら頷く。
蒼流の活躍もあって、今日は雲一つ無い青空だ。
精霊達にとっては結婚も婚約もイマイチ重要性が理解出来ない制度のようだが、シャルロにとって大切であり、そのうちシャルロの子供が出来るかも・・・と言うことでそれなりに蒼流も清早も張り切っている。
「私、シャルロ・オレファーニはここにいる美しいケレナ・ラズバリー嬢と結婚し、家族を育み、楽しい時も辛い時も、一緒に歩んでいくことをここに誓います」
「私、ケレナ・ラズベリーはシャルロ・オレファーニ氏と共になって、楽しみを分かち合い、苦しみは支え合い、一生を共に過ごすことをここに誓います」
何やら2人がお互いに誓いの言葉を言いあっている。
あれ?
これって婚約式だよね??
それとも俺って婚約式と結婚式と、思い違いしていた????
何やら誓いの言葉っぽい台詞に驚いたが、取り敢えずはアシャル氏の合図に合わせて虹を空に創り上げ、細かい水滴を宙にちりばめることでシャルロの回りをキラキラした感じに演出した。
アレクが作った白い小さな花が良い感じに空からふわりふわりと降ってきて、シャルロとケレナはまるでおとぎ話の一場面のような感じになっている。
「「「おお~」」」
観衆からも『良いね~』という感じの声があがり、2人への祝福の拍手が辺りに満ちあふれた。
よっし。
成功だな。
婚約式なのか結婚式なのかよく分からないが。
後でシェイラに確認しよう。
◆◆◆◆
「2人とも、素敵な演出をありがとう!ケレナが凄く喜んでた~」
取り敢えず2人のスピーチと俺達の演出が終わり、皆であずまやで軽食やお菓子を食べようとガヤガヤと動き始めたら、シャルロが寄ってきた。
おいおい、ケレナはどうしたんだ?
あ、ケレナはケレナで友達と話しているっぽいから良いのか。
「シャルロがアシャル氏の伝言をちゃんと伝えてくれなかったお陰で、昨日は2人で必死になって演出を考えて練習しまくったんだ。
今度から伝言はちゃんと直ぐに伝えてくれよ?」
アレクがわざとらしいしかめっ面をしてシャルロに説教をした。
「そうそう。
後でケレナに謝っておけよ~。
本当だったら更に繊細で華やかな演出が出来たはずだったのに、シャルロのうっかりのせいでぶっつけ本番の一夜漬けバージョンになっちまったってな。
ちなみに、ケレナが喜んでいたって事はシャルロはご不満があったのか?」
シャルロをからかいながら近くにあったサンドイッチに手を伸ばす。
緊張していたせいで、朝食もあまり食べられなかったんだよね。
腹が減った。
「勿論、僕も嬉しかったよ!!
本当にありがとう!」
シャルロが俺達に抱きついてきたので、慌ててサンドイッチを皿の上に戻した。
幾ら式が一応終わったと言っても、一張羅にソースを付けたら不味いだろう。
「そう言えば。
今日のこれって婚約式なんだよな??
何か最後の俺達が幻影を見せた場面の言葉って、結婚式で誓うような言葉に聞こえたけど」
ぶっ!
ワインを持ってきたウェイターからちょうどグラスを受けとろうとしていたシェイラが吹き出して、危うくグラスを落としそうになっていた。
「ウィルったら・・・。
いかに結婚に興味が無いか、もろバレねぇ。
婚約式っていうのは大切な人達に結婚を約束した2人がこれからの誓いをする場なの。
結婚式は神殿や役場で、家の繋がりを正式な契約文書にする式典だから、もっとずっと味気ないものなのよ。
まあ、流石にあまりにも味気ないと招待客も退屈しちゃうから、神殿の聖歌隊とかに歌わせてそれなりに盛り上げる事が多いけど。
家の繋がりとかが関係ない普通の人だったら結婚式と婚約式は一緒にやっちゃう人が多いわね」
俺にワインを渡しながらシェイラが説明してくれた。
そうだったのか・・・。
結婚なんて興味が無かったので話題に上ってきても聞き流していたが、どうやら『結婚式』と『婚約式』という物に対する俺の理解がちょっと足りていなかったようだ。
・・・シェイラも別に結婚したいような様子は見せていないし、構わないよな?
【後書き】
アメリカのドラマとかで見かける、庭でやるような結婚式っぽい式典に近い物を想定してます。
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