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卒業後
410 星暦554年 赤の月 15日 次の旅立ち?
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ウィルの視点に戻りました。
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「商業省と軍部は先にアレグ島を開拓したいそうだ」
商業省の方にセビウス氏と一緒に開拓の話を聞きに行ったアレクが、帰って来て説明し始めた。
ちなみに、アレグ島とは東の大陸に近い方だった島の名前だ。
本来はこういう島を発見した場合は発見した船の船長に命名権があるらしいが、今回は商業省(つまりは王家)が金を出した航海だったので、王太子が名付けたらしい。
俺達が気に入った方の島はパストン島と言う名になった。
何やら古い神話に出てくる存在の名前から来ているらしいが、詳しい話は知らないし、聞かなかった。
別に名前なんてどうでも良いからね。補給島1号と2号でも俺は構わなかったぐらいだし。
「先に僕たちだけでパストン島の開拓を始めちゃあ駄目なの?
折角色々と考えてたのに~」
シャルロが口を尖らせて文句を言った。
そうだよな。
さっさと開拓してケレナと遊びに行く予定だったもんなぁ?
アレクが首を横に振った。
「少なくとも、アレグ島がある程度形になって小型でも軍艦が常時滞在出来る程度になるまで、待ってくれとのことだ。
先に私達がパストン島を開拓して、それを海賊なり近隣の国に占領されては面倒だと思っているらしい。
軍が航路を守る準備が出来るまで、私達が責任を持ってパストン島を守るというのなら開拓を始めても良いと言われたが・・・兄曰く、下手にそんなことを約束すると何年も無報酬であの島に拘束されかねないらしい」
なるほどね。
アレグ島の開拓は最低限の分だけをして、軍艦は定期的に寄るけど常時は滞在しない程度に抑えておいたら精霊の加護持ちのシャルロや俺を無料でパストン島の見張りと開拓に使えるもんなぁ。
幾ら気がせいていても、下手に俺達が利用されかねない約束はしない方が良いだろう。
俺達はあそこを開拓して永住するつもりとかは無いんだから。
「で?どの位で『アレグ島がある程度』形になるんだ?」
疲れた様子のアレクにお茶を淹れながら尋ねる。
俺たちの為に頑張ってくれたようなので、東の大陸から持って帰ってきた茶葉を使った。
きっちり湿度と温度を管理して持ってきた分だから、中々美味しいし飲んだ後すっきりした気分になるんだよね、これ。
まあ、いい加減これも飲んじゃわないと湿度・温度管理の結界を張り続けるのも面倒だしね。
普通に持ってきた茶葉は何やら発酵して味が変わっていたので、それはそれで美味しいが元の茶葉の方がすっきりする様に俺は感じる。
学院長はどちらもそれぞれ良いと言っていたが。
今度転移門を使って向こうで大量に茶葉を入手してくると言っていた。
どうやら自分で条件を管理して発酵させ、色々と味を試してみたいらしい。
「3月は掛ると言っていた。
まあ、あちら方面の警備に当たる船団を新しく配備し直す必要もあるからな。
実際に開拓に掛る時間がどれ程で、軍の方の準備がどれ程なのかは分からないが」
お茶を受け取りながらアレクが答えた。
「3月かぁ。
じゃあ、遊んで待っている訳にもいかないね。
何か開拓に役に立つけどこっちでも普通に売れそうな物を考えながら待つ?」
シャルロがクッキーの缶をアレクに差し出しながら提案する。
それが一番無難な所だろうなぁ。
もう少し期間が短いならシェイラの所に行って手伝いでもしていようかと思ったが、流石に3月は長い。
いい加減、俺達本来の仕事をした方が良いだろう。
折角『そこそこ良い物を出す』と俺達のブランドがそれなりに認識されるようになったんだ。
忘れられる前に何か新しい魔道具の商品を出しておく方が良いだろう。
「そう言えば、ケレナと東の大陸の街へ転移してみたのか?
どの位の魔力を使いそうだ?」
帰国してから俺はシェイラに会いに行ったり学院長に土産を持って行ったりとバタバタしていたし、アレクはパストン島の開拓についてシェフィート商会と一緒になって商業省と色々と交渉していたが、シャルロは特に何をしていたとは聞いていない。
つまりはケレナと時間を過ごしていたんじゃないかと思うが・・・。
もう東の大陸にケレナと遊びに行ったのかな?
簡単そうなら俺もシェイラを連れて行きたいが。
3月あれば、数日はシェイラが休める日もあるだろう。
「ケレナは婚約式の服やその他諸々の準備に忙しくて、連れ出せなかったんだよね~。
来月には婚約式だから、その後に記念にでも連れて行こうかと思ってる」
自分もクッキーをつまみながらシャルロが答えた。
お!
そうか。
婚約式をするんだっけ。
王太子の婚約祝いの後にシャルロ達もという話は聞いていたが、考えてみたらやってなかったよな。
「領地の方でするから、ウィルとアレクも来てね。
シェイラも是非誘って。
ケレナがシェイラに会いたいって言っていたし」
・・・え??
【後書き】
貴族の婚約式なんて、幾ら領地での気軽なスタイルでもウィルには居心地が悪そうw
シェイラの方が楽しめるかも?
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「商業省と軍部は先にアレグ島を開拓したいそうだ」
商業省の方にセビウス氏と一緒に開拓の話を聞きに行ったアレクが、帰って来て説明し始めた。
ちなみに、アレグ島とは東の大陸に近い方だった島の名前だ。
本来はこういう島を発見した場合は発見した船の船長に命名権があるらしいが、今回は商業省(つまりは王家)が金を出した航海だったので、王太子が名付けたらしい。
俺達が気に入った方の島はパストン島と言う名になった。
何やら古い神話に出てくる存在の名前から来ているらしいが、詳しい話は知らないし、聞かなかった。
別に名前なんてどうでも良いからね。補給島1号と2号でも俺は構わなかったぐらいだし。
「先に僕たちだけでパストン島の開拓を始めちゃあ駄目なの?
折角色々と考えてたのに~」
シャルロが口を尖らせて文句を言った。
そうだよな。
さっさと開拓してケレナと遊びに行く予定だったもんなぁ?
アレクが首を横に振った。
「少なくとも、アレグ島がある程度形になって小型でも軍艦が常時滞在出来る程度になるまで、待ってくれとのことだ。
先に私達がパストン島を開拓して、それを海賊なり近隣の国に占領されては面倒だと思っているらしい。
軍が航路を守る準備が出来るまで、私達が責任を持ってパストン島を守るというのなら開拓を始めても良いと言われたが・・・兄曰く、下手にそんなことを約束すると何年も無報酬であの島に拘束されかねないらしい」
なるほどね。
アレグ島の開拓は最低限の分だけをして、軍艦は定期的に寄るけど常時は滞在しない程度に抑えておいたら精霊の加護持ちのシャルロや俺を無料でパストン島の見張りと開拓に使えるもんなぁ。
幾ら気がせいていても、下手に俺達が利用されかねない約束はしない方が良いだろう。
俺達はあそこを開拓して永住するつもりとかは無いんだから。
「で?どの位で『アレグ島がある程度』形になるんだ?」
疲れた様子のアレクにお茶を淹れながら尋ねる。
俺たちの為に頑張ってくれたようなので、東の大陸から持って帰ってきた茶葉を使った。
きっちり湿度と温度を管理して持ってきた分だから、中々美味しいし飲んだ後すっきりした気分になるんだよね、これ。
まあ、いい加減これも飲んじゃわないと湿度・温度管理の結界を張り続けるのも面倒だしね。
普通に持ってきた茶葉は何やら発酵して味が変わっていたので、それはそれで美味しいが元の茶葉の方がすっきりする様に俺は感じる。
学院長はどちらもそれぞれ良いと言っていたが。
今度転移門を使って向こうで大量に茶葉を入手してくると言っていた。
どうやら自分で条件を管理して発酵させ、色々と味を試してみたいらしい。
「3月は掛ると言っていた。
まあ、あちら方面の警備に当たる船団を新しく配備し直す必要もあるからな。
実際に開拓に掛る時間がどれ程で、軍の方の準備がどれ程なのかは分からないが」
お茶を受け取りながらアレクが答えた。
「3月かぁ。
じゃあ、遊んで待っている訳にもいかないね。
何か開拓に役に立つけどこっちでも普通に売れそうな物を考えながら待つ?」
シャルロがクッキーの缶をアレクに差し出しながら提案する。
それが一番無難な所だろうなぁ。
もう少し期間が短いならシェイラの所に行って手伝いでもしていようかと思ったが、流石に3月は長い。
いい加減、俺達本来の仕事をした方が良いだろう。
折角『そこそこ良い物を出す』と俺達のブランドがそれなりに認識されるようになったんだ。
忘れられる前に何か新しい魔道具の商品を出しておく方が良いだろう。
「そう言えば、ケレナと東の大陸の街へ転移してみたのか?
どの位の魔力を使いそうだ?」
帰国してから俺はシェイラに会いに行ったり学院長に土産を持って行ったりとバタバタしていたし、アレクはパストン島の開拓についてシェフィート商会と一緒になって商業省と色々と交渉していたが、シャルロは特に何をしていたとは聞いていない。
つまりはケレナと時間を過ごしていたんじゃないかと思うが・・・。
もう東の大陸にケレナと遊びに行ったのかな?
簡単そうなら俺もシェイラを連れて行きたいが。
3月あれば、数日はシェイラが休める日もあるだろう。
「ケレナは婚約式の服やその他諸々の準備に忙しくて、連れ出せなかったんだよね~。
来月には婚約式だから、その後に記念にでも連れて行こうかと思ってる」
自分もクッキーをつまみながらシャルロが答えた。
お!
そうか。
婚約式をするんだっけ。
王太子の婚約祝いの後にシャルロ達もという話は聞いていたが、考えてみたらやってなかったよな。
「領地の方でするから、ウィルとアレクも来てね。
シェイラも是非誘って。
ケレナがシェイラに会いたいって言っていたし」
・・・え??
【後書き】
貴族の婚約式なんて、幾ら領地での気軽なスタイルでもウィルには居心地が悪そうw
シェイラの方が楽しめるかも?
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