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卒業後
353 星暦553年 橙の月 25日 これも後始末?(13)
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裏ギルドの男が連れてきた男達も加わって、バケツリレーならぬ廃棄物リレーで荒ら屋の入り口に積み上げられていたゴミをどんどん邪魔にならない道端へ動かしていく。
手に持った物を碌に見ずに青に渡しながら、俺は心眼で魔道具を解析しようと集中していた。
ごく小さな魔力しか感知できないので、爆発系の魔道具ではなさそうだ。
魔術回路もごく単純な形だ。
とは言っても、こっから何をやる回路が分かるほど俺が知っている形では無いが。
まあ、こんだけゴミが積み上げられている部屋だ。
小さな発火でもあっという間に火事になるだろう。
発火系の魔術回路は山ほどあるから、それの1つである可能性は高い。
あの魔石程度の魔力だったら、毒ガスや水を噴き出したところで大した被害は出せない。
ここら辺は水道は無くて井戸だ。
何カ所かに消火用の砂が備蓄されているという話だが、実際に火事が広がったら消火には時間が掛るだろう。
魔道具の周りを集中して視ようとするが、魔力が籠もった物では無いので中々はっきりとは視えない。
イライラしながらゴミの障壁を取り崩してやっと中に入ったら、何やら大きな樽や小さな樽を幾つも山積みにした上に魔道具が置いてあった。
魔石を外して手にも取り、魔術回路に軽く魔力を流してみる。
ごく僅かに熱が発生したので、魔道具そのものは単純に魔力に反応して発火する仕組みなようだ。
さっさとそれを横に置き、下の樽を開けてみた。
「これって・・・何だ?」
何やら黒い粉と塊が詰まっている。
「木炭を砕いた物だな。
火を点ければ爆発的な勢いで燃えるから、爆発物として使えないことも無いが・・・一気に燃え尽きるんでこの量では部屋に着火するか微妙な所だな。
この樽だけだったら・・・この荒ら屋を吹き飛ばして終わりじゃ無いか?」
小指の先ほどの塊を手に取って握りつぶしてみた青がそう言い、一番上の樽をどけて更にその下の樽の蓋を外す。
蓋というか、上の樽が落ちてこないように軽く支えるだけの薄い板だな。
サイズも合っていないので簡単に外れる。
そして中には・・・なにやら液体が入っていた。
「マジか!」
俺には分からなかったが、青にはこの液体の正体を知っていたらしい。
驚いたような声を上げた後、その樽をどけて、他の樽も確認し始めた。
「タレスの涙だ。着火するのにはそれなりの高熱が必要だが、一度火が付けば水で消せない火事になる」
へぇぇ。
タレスの焔の元ってこれなのか。
「ちなみに、さっき言っていた木炭の粉に火を付けて爆発させたら、これに着火できるんか?」
こういう放火系の仕組みや原料については俺は関わりが無かったから、よく知らないんだよね。
まあ、態々邪魔できないように障壁まで作って準備しているんだ。
着火するんだろうなぁ。
「ああ。一番上の魔道具が着火装置だとしたら、その下の木炭の粉の樽が爆破装置だな。
それが爆発することでタレスの焔の着火と周りへの拡散を一気にやることになる。
このオンボロだったら部屋そのものが吹き飛んで、一気に周りの家にタレスの焔が飛び散るだろう」
裏ギルドの男が他の他の樽を確認しながら答えた。
おう。
俺に付けられた奴、そう言うのにも詳しい人間だったんだ。
てっきり単なる伝言役だと思っていたら、ちゃんとそう言う爆破装置的な仕組みに詳しい人間を付けていたんだな。
さて。
見つけさえすれば、この仕組みは簡単に解体できそうだ。
解体作業そのものも特に難しくも危険でもない。
問題は、街にどれだけこれが設置されているかだな。
「ちなみに、同じ仕組みが普通の工房や商店街の建物に設置されていても同じような効果になるか?」
裏ギルドの男が首を横に振った。
「火事は起こせるだろうが、スラムのオンボロ以外の建物で壁や天井を吹き飛ばすのは、木炭の粉からの爆破では難しいだろうな。
それよりは、スラムを火の海にしてそれが街の中心部に広がることを期待した方が確実かもしれない」
そうか。
じゃあ、スラムの中に取り敢えずは集中だな。
しっかし。
それなりに広さがあるスラムのなかで、こんなちっぽけな魔力を探すのはそうだ・・・。
「じゃあ、他にも同じような仕組みがないか探そう。
良かったな、タレスの焔ってもの凄い高いんだろう?
売っぱらえば今回の騒動での出費が補填出来るんじゃ無いか?
・・・全部見つけて、スラムが火の海になるのを防げれば」
手に持った物を碌に見ずに青に渡しながら、俺は心眼で魔道具を解析しようと集中していた。
ごく小さな魔力しか感知できないので、爆発系の魔道具ではなさそうだ。
魔術回路もごく単純な形だ。
とは言っても、こっから何をやる回路が分かるほど俺が知っている形では無いが。
まあ、こんだけゴミが積み上げられている部屋だ。
小さな発火でもあっという間に火事になるだろう。
発火系の魔術回路は山ほどあるから、それの1つである可能性は高い。
あの魔石程度の魔力だったら、毒ガスや水を噴き出したところで大した被害は出せない。
ここら辺は水道は無くて井戸だ。
何カ所かに消火用の砂が備蓄されているという話だが、実際に火事が広がったら消火には時間が掛るだろう。
魔道具の周りを集中して視ようとするが、魔力が籠もった物では無いので中々はっきりとは視えない。
イライラしながらゴミの障壁を取り崩してやっと中に入ったら、何やら大きな樽や小さな樽を幾つも山積みにした上に魔道具が置いてあった。
魔石を外して手にも取り、魔術回路に軽く魔力を流してみる。
ごく僅かに熱が発生したので、魔道具そのものは単純に魔力に反応して発火する仕組みなようだ。
さっさとそれを横に置き、下の樽を開けてみた。
「これって・・・何だ?」
何やら黒い粉と塊が詰まっている。
「木炭を砕いた物だな。
火を点ければ爆発的な勢いで燃えるから、爆発物として使えないことも無いが・・・一気に燃え尽きるんでこの量では部屋に着火するか微妙な所だな。
この樽だけだったら・・・この荒ら屋を吹き飛ばして終わりじゃ無いか?」
小指の先ほどの塊を手に取って握りつぶしてみた青がそう言い、一番上の樽をどけて更にその下の樽の蓋を外す。
蓋というか、上の樽が落ちてこないように軽く支えるだけの薄い板だな。
サイズも合っていないので簡単に外れる。
そして中には・・・なにやら液体が入っていた。
「マジか!」
俺には分からなかったが、青にはこの液体の正体を知っていたらしい。
驚いたような声を上げた後、その樽をどけて、他の樽も確認し始めた。
「タレスの涙だ。着火するのにはそれなりの高熱が必要だが、一度火が付けば水で消せない火事になる」
へぇぇ。
タレスの焔の元ってこれなのか。
「ちなみに、さっき言っていた木炭の粉に火を付けて爆発させたら、これに着火できるんか?」
こういう放火系の仕組みや原料については俺は関わりが無かったから、よく知らないんだよね。
まあ、態々邪魔できないように障壁まで作って準備しているんだ。
着火するんだろうなぁ。
「ああ。一番上の魔道具が着火装置だとしたら、その下の木炭の粉の樽が爆破装置だな。
それが爆発することでタレスの焔の着火と周りへの拡散を一気にやることになる。
このオンボロだったら部屋そのものが吹き飛んで、一気に周りの家にタレスの焔が飛び散るだろう」
裏ギルドの男が他の他の樽を確認しながら答えた。
おう。
俺に付けられた奴、そう言うのにも詳しい人間だったんだ。
てっきり単なる伝言役だと思っていたら、ちゃんとそう言う爆破装置的な仕組みに詳しい人間を付けていたんだな。
さて。
見つけさえすれば、この仕組みは簡単に解体できそうだ。
解体作業そのものも特に難しくも危険でもない。
問題は、街にどれだけこれが設置されているかだな。
「ちなみに、同じ仕組みが普通の工房や商店街の建物に設置されていても同じような効果になるか?」
裏ギルドの男が首を横に振った。
「火事は起こせるだろうが、スラムのオンボロ以外の建物で壁や天井を吹き飛ばすのは、木炭の粉からの爆破では難しいだろうな。
それよりは、スラムを火の海にしてそれが街の中心部に広がることを期待した方が確実かもしれない」
そうか。
じゃあ、スラムの中に取り敢えずは集中だな。
しっかし。
それなりに広さがあるスラムのなかで、こんなちっぽけな魔力を探すのはそうだ・・・。
「じゃあ、他にも同じような仕組みがないか探そう。
良かったな、タレスの焔ってもの凄い高いんだろう?
売っぱらえば今回の騒動での出費が補填出来るんじゃ無いか?
・・・全部見つけて、スラムが火の海になるのを防げれば」
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