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卒業後
342 星暦553年 橙の月 15日 これも後始末?(2)
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「実は、王太子の婚約が決まった」
俺を迎えた学院長が重々しく伝えた。
「ええ、シャルロから何かそんな話を聞きました。
良かったですね」
ため息をつきながら学院長がお茶を注いでくれた。
「まあ、そちらは良かったのだがな。
今日ウィルに来て貰ったのは、そちらだけではなく、前回助けて貰った件にも関係する」
学院長絡みの『前回』?
つまり、ファルータ公爵がとち狂ってガルカ王国と組んで学院長を陥れ、最終的には王族を片っ端から殺して王位を乗っ取ろうとした案件か。
学院長を追い落とした後に、ファルータ公爵が実際に王位を取りに行くところまでやるつもりがあったのかは知らんが。
「あの件が何か?
街中の噂では、新しいファルータ公爵は特に問題も無く後を継いで堅実に公爵領を納めているようですけど」
学院長が肩を竦めた。
「新しいファルータ公爵が問題なのでは無い。
亡くなったファルータ公爵は死ぬ前にガルカ王国の手の者の侵入経路や手段の情報を伝え、彼らの逮捕に色々と協力してくれたのだ。
お陰で、アファル王国内にあったガルカ王国の諜報員はほぼ壊滅したと言って良いだろう。
だが、流石に直接ガルカ王国に繋がっていると直接証明できないテリウス神殿の人間までも始末する訳にはいかないからな。
彼らにはそれなりに見張りを付けるなり、金で買えそうな者にはこちらに情報を流すよう持ちかけるなり、手を打ったのだが・・・」
そうか、ガルカ王国とテリウス教って俺的には一心同体だと思っていたが、名目上は違うんだよな。
しかも、宗教関係の人間には手を出すと色々と面倒なことが起きやすい。
「どうも、ガルカ王国は前ファルータ公爵の裏切りを深く恨んでいる様でな。
王太子の婚約を祝う祭りで領都で何やら企んでいるらしい」
うげぇ。
テリウス教の神殿の買収した人間から話が来たのか、それとも見張っていた奴が気が付いたのか。
どちらにせよ、面倒だな。
「公爵の暗殺という話だったらまだしも、もしかしたら不特定多数の市民を標的にした無差別な虐殺を行うことで新公爵に対する領民の信頼を失墜させることを狙っている可能性がある」
「公爵が暗殺されても良いんですか?」
まだ若いし子供なんぞ居なさそうだが。
というか、下手に幼い嫡男なんぞいたら、却って面倒な事態にならないか?
直系の跡継ぎがいなくて、前公爵の弟でまともに職務能力のある人間がいるとかならまだマシそうだが。
「明確な跡継ぎになる人間がいないので、公爵が死んだら死んだで色々と面倒だ。だが、一人の人間の暗殺だったらそれなりに保護の手を打てる。
前もって分かっているなら暗殺ギルドに頼めばプロの視点から護衛を手配できるからな。
だが、標的がはっきりしない、不特定多数の虐殺が目的となるとな・・・」
学院長が顔をしかめた。
確かに大変そうだ。
でも、なんで俺を呼び出すわけ??
明らかに、軍の情報部の仕事でしょう?
「俺って単なる普通の魔術師なんですが?」
学院長がお茶を俺に勧めながらニヤリと笑った。
「普通とは言わんと思うぞ?
まあ、それはともかく。
単に放火や爆破テロ、毒の混入などに関しては、当日に実行犯がいるだろうから軍や裏社会のギルドに協力を仰いで人海戦略で何とかする予定らしい。
だが、魔道具を設置しておいて遠隔操作や時間経過で起動させられた場合、彼らでは発見は難しいのでな。
手伝いを願いたいと軍部から非公式に声が掛ってきた」
また軍部かよ。
お得意様とは言え、軍部との協力って嫌なんだけど。
まだギルドの長と協力する方が気楽だ。
「あまり軍部に『便利な魔術師』として認識されたくないので・・・盗賊ギルドと組みます。
彼らも手伝うのですよね?
盗賊ギルドに軍部が危険だと考えている箇所の情報を流してくれれば、盗賊ギルド側が危険と見なしている場所と合わせて回ってみます」
なんと言っても、王太子の婚約祝いだ。
それなりに各地で派手な祭りになるだろうし、下手をしたらシェイラが遊びに行っている可能性もある。
しょうがないから、頑張ろう。
・・・祭りに参加できるのかな、俺?
仕事で忙しいって言ったらシェイラは怒るかなぁ・・・?
俺を迎えた学院長が重々しく伝えた。
「ええ、シャルロから何かそんな話を聞きました。
良かったですね」
ため息をつきながら学院長がお茶を注いでくれた。
「まあ、そちらは良かったのだがな。
今日ウィルに来て貰ったのは、そちらだけではなく、前回助けて貰った件にも関係する」
学院長絡みの『前回』?
つまり、ファルータ公爵がとち狂ってガルカ王国と組んで学院長を陥れ、最終的には王族を片っ端から殺して王位を乗っ取ろうとした案件か。
学院長を追い落とした後に、ファルータ公爵が実際に王位を取りに行くところまでやるつもりがあったのかは知らんが。
「あの件が何か?
街中の噂では、新しいファルータ公爵は特に問題も無く後を継いで堅実に公爵領を納めているようですけど」
学院長が肩を竦めた。
「新しいファルータ公爵が問題なのでは無い。
亡くなったファルータ公爵は死ぬ前にガルカ王国の手の者の侵入経路や手段の情報を伝え、彼らの逮捕に色々と協力してくれたのだ。
お陰で、アファル王国内にあったガルカ王国の諜報員はほぼ壊滅したと言って良いだろう。
だが、流石に直接ガルカ王国に繋がっていると直接証明できないテリウス神殿の人間までも始末する訳にはいかないからな。
彼らにはそれなりに見張りを付けるなり、金で買えそうな者にはこちらに情報を流すよう持ちかけるなり、手を打ったのだが・・・」
そうか、ガルカ王国とテリウス教って俺的には一心同体だと思っていたが、名目上は違うんだよな。
しかも、宗教関係の人間には手を出すと色々と面倒なことが起きやすい。
「どうも、ガルカ王国は前ファルータ公爵の裏切りを深く恨んでいる様でな。
王太子の婚約を祝う祭りで領都で何やら企んでいるらしい」
うげぇ。
テリウス教の神殿の買収した人間から話が来たのか、それとも見張っていた奴が気が付いたのか。
どちらにせよ、面倒だな。
「公爵の暗殺という話だったらまだしも、もしかしたら不特定多数の市民を標的にした無差別な虐殺を行うことで新公爵に対する領民の信頼を失墜させることを狙っている可能性がある」
「公爵が暗殺されても良いんですか?」
まだ若いし子供なんぞ居なさそうだが。
というか、下手に幼い嫡男なんぞいたら、却って面倒な事態にならないか?
直系の跡継ぎがいなくて、前公爵の弟でまともに職務能力のある人間がいるとかならまだマシそうだが。
「明確な跡継ぎになる人間がいないので、公爵が死んだら死んだで色々と面倒だ。だが、一人の人間の暗殺だったらそれなりに保護の手を打てる。
前もって分かっているなら暗殺ギルドに頼めばプロの視点から護衛を手配できるからな。
だが、標的がはっきりしない、不特定多数の虐殺が目的となるとな・・・」
学院長が顔をしかめた。
確かに大変そうだ。
でも、なんで俺を呼び出すわけ??
明らかに、軍の情報部の仕事でしょう?
「俺って単なる普通の魔術師なんですが?」
学院長がお茶を俺に勧めながらニヤリと笑った。
「普通とは言わんと思うぞ?
まあ、それはともかく。
単に放火や爆破テロ、毒の混入などに関しては、当日に実行犯がいるだろうから軍や裏社会のギルドに協力を仰いで人海戦略で何とかする予定らしい。
だが、魔道具を設置しておいて遠隔操作や時間経過で起動させられた場合、彼らでは発見は難しいのでな。
手伝いを願いたいと軍部から非公式に声が掛ってきた」
また軍部かよ。
お得意様とは言え、軍部との協力って嫌なんだけど。
まだギルドの長と協力する方が気楽だ。
「あまり軍部に『便利な魔術師』として認識されたくないので・・・盗賊ギルドと組みます。
彼らも手伝うのですよね?
盗賊ギルドに軍部が危険だと考えている箇所の情報を流してくれれば、盗賊ギルド側が危険と見なしている場所と合わせて回ってみます」
なんと言っても、王太子の婚約祝いだ。
それなりに各地で派手な祭りになるだろうし、下手をしたらシェイラが遊びに行っている可能性もある。
しょうがないから、頑張ろう。
・・・祭りに参加できるのかな、俺?
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