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後継を掻っ攫われた兄
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ディアとバディになって少し経ったがとても良好な仲で彼と騎士として過ごせていた。仕事の方も今のところ自分に合っていてほっとした。しかし悩みが全く無いというわけではなく辛いこともある。
もともと私には言われているというか笑われる話があり、貴族としても肩身が狭かった。それは本来、私が後継者だったのだが腹違いに出来た弟がそれはもう優秀で自分の後継がなしになったという笑い話だ。まあ、他人から聞けば笑い話だが自分としては情けないし、弟が出来るまで必死で後継者として頑張ってきたので悲しい話になる。仮に弟がある程度の優秀さならここまで私の話が知れ渡ることもなかったが飛び抜けて優秀だった弟の話は貴族では有名になり、必然的に私の話も知れ渡ってしまい弟に後継を掻っ攫われた兄といった風に思われているのだ。
もちろんこの話が騎士になったからといって消えることはないと分かっていたから慎ましくいようと考えていた。だが運がいいのか悪いのか私と立場が反対なディアとバディになり、嫌でもその話があがった。彼は私の弟と同じ立場で兄がいるが優秀過ぎてその兄の後継を白紙にしそうだったので騎士になったらしく、確かに彼と過ごせば嫌になるほど優秀さを感じた。私が努力して手に入れたものを彼は簡単に手にしていくところに私の弟のようで家にいた頃の嫌な懐かしさがあるも弟とは違い、彼は人が出来ていた。何度も言うが……。
努力で一歩遅れる私を必ず待って、時にアドバイスや助けをくれたのだ。私は情けなさや恥ずかしさがあったが確実に彼のおかげで成長出来ていた。
しかしそれは傍から見れば後継を掻っ攫われた出来の悪い私が優秀なディアの足を引っ張るお荷物に見えるらしい。実際その通りなため、私は何も言えないが陰で馬鹿にされたり彼を慕っているらしい者から面と向かって言われる日々が辛くある。加えてディアにまで私がお荷物だと同意を求める彼らに困った顔をして対処する彼を見た時は申し訳なさしかなかった。
「すまない、ディア……」
「……なんのことだい?」
現在私の部屋のベッドで雑誌を見て寛いでいたディアがこちらを見てくる。最近は特にこの狭い部屋に来る頻度が多い彼が置いていった物がそこかしこに溢れる実質彼の部屋みたいになったそこで私はため息をひとつ吐く。
「その……私が相変わらずお荷物なことに……謝ったんだ……」
申し訳なさで俯くと雑誌を閉じ、今までもそれほど距離のない距離をさらに詰めて「レド」と彼は名前を呼んだ。なんだいというように顔をあげた私は彼と目が合えば優しく抱きしめられる。
「私は一度もそんなふうに思ったことはないよ。レドは素晴らしいんだ、だから謝らないで」
ああ、彼はどこまで優しいのだろうかと滲む視界を閉じて彼の肩へ顔を埋めた。鼻をすする私の背中を撫でる彼は「ふふ、もっと私に甘えてもらって結構だよ」と優しく言う。彼の言葉に心が軽くなった私は「ありがとう」と感謝するのだった。
もともと私には言われているというか笑われる話があり、貴族としても肩身が狭かった。それは本来、私が後継者だったのだが腹違いに出来た弟がそれはもう優秀で自分の後継がなしになったという笑い話だ。まあ、他人から聞けば笑い話だが自分としては情けないし、弟が出来るまで必死で後継者として頑張ってきたので悲しい話になる。仮に弟がある程度の優秀さならここまで私の話が知れ渡ることもなかったが飛び抜けて優秀だった弟の話は貴族では有名になり、必然的に私の話も知れ渡ってしまい弟に後継を掻っ攫われた兄といった風に思われているのだ。
もちろんこの話が騎士になったからといって消えることはないと分かっていたから慎ましくいようと考えていた。だが運がいいのか悪いのか私と立場が反対なディアとバディになり、嫌でもその話があがった。彼は私の弟と同じ立場で兄がいるが優秀過ぎてその兄の後継を白紙にしそうだったので騎士になったらしく、確かに彼と過ごせば嫌になるほど優秀さを感じた。私が努力して手に入れたものを彼は簡単に手にしていくところに私の弟のようで家にいた頃の嫌な懐かしさがあるも弟とは違い、彼は人が出来ていた。何度も言うが……。
努力で一歩遅れる私を必ず待って、時にアドバイスや助けをくれたのだ。私は情けなさや恥ずかしさがあったが確実に彼のおかげで成長出来ていた。
しかしそれは傍から見れば後継を掻っ攫われた出来の悪い私が優秀なディアの足を引っ張るお荷物に見えるらしい。実際その通りなため、私は何も言えないが陰で馬鹿にされたり彼を慕っているらしい者から面と向かって言われる日々が辛くある。加えてディアにまで私がお荷物だと同意を求める彼らに困った顔をして対処する彼を見た時は申し訳なさしかなかった。
「すまない、ディア……」
「……なんのことだい?」
現在私の部屋のベッドで雑誌を見て寛いでいたディアがこちらを見てくる。最近は特にこの狭い部屋に来る頻度が多い彼が置いていった物がそこかしこに溢れる実質彼の部屋みたいになったそこで私はため息をひとつ吐く。
「その……私が相変わらずお荷物なことに……謝ったんだ……」
申し訳なさで俯くと雑誌を閉じ、今までもそれほど距離のない距離をさらに詰めて「レド」と彼は名前を呼んだ。なんだいというように顔をあげた私は彼と目が合えば優しく抱きしめられる。
「私は一度もそんなふうに思ったことはないよ。レドは素晴らしいんだ、だから謝らないで」
ああ、彼はどこまで優しいのだろうかと滲む視界を閉じて彼の肩へ顔を埋めた。鼻をすする私の背中を撫でる彼は「ふふ、もっと私に甘えてもらって結構だよ」と優しく言う。彼の言葉に心が軽くなった私は「ありがとう」と感謝するのだった。
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