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第12章 GOOD BY FRIENDS

襲撃2 ~銃技&戦闘魔術vs大天使?

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「チャムエル……だと!?」
 舞奈は驚愕しつつも拳銃ジェリコ941を構える。

 小さな天使(?)の群を片づけた舞奈たちの前に出現した新たな天使。
 それはアモリ派の天使のように肉感的な全裸の女を模していた。

 先ほどの人形サイズの少女とは違い、普通の人間サイズ。
 しかも大人をベースにした新たな天使は長身だ。

 代わりに数は1体だけ。
 さしずめ天使の親分の大天使とでもいったところか。

 白い肌の大天使の足だけが黒。
 真面目な表情に造形された顔には眼鏡。
 その容姿は、全裸ストッキングの高等魔術師チャムエルに似ていた。

「ほら、いただろう? 全裸」
 舞奈は天使をドヤ顔で指さしながら、軽薄に笑う。

 以前に全裸が歩いていたと言ったら信じてもらえず、鼻で笑われたことがある。
 それが今は2人の目前にいるのだ。
 だが今回も、

「……術者が貴女と同じメンタリティーの持ち主だってことだけはわかったわ」
 明日香はジト目で見やるのみ。

「ちぇっ」
 舌打ちする。

 正直なところ、予備の弾倉マガジンに余裕がない。
 先ほどの天使の群れに、少しばかり撃ちすぎたらしい。
 この状況を如何に切り抜けようかと思案しつつ構える舞奈の前で、

――ここはコンクリートの壁に囲まれた……
――冷たい鉄の檻の中……
――ボクらは堕とされ翼を無くしたANGEL……

 再び歌。
 囁くような、先ほどと同じ男の声。
 天使の口で歌っているのではなく伴奏こみでどこからか聞こえてくるのも同じだ。

 曲はファイブカードの『堕天使のINNOCENT∵WISH』。
 教会で舞奈たちと別れた後、委員長が歌っていた。
 ロックの定番だというそのグループの曲を、術者も好きだということだろうか?

――だからボクらは古びた鎖、引き千切って……
――何処へ続くか知れない彼方を目指して、走り出す……

 歌声に合わせるようにアスファルトの地面が蠢き、裂ける。
 裂け目から岩石でできた何かがせり上がる。
 それは柄を上側に向けたひとふりの剣だった。
 紅葉の【地の手ジェレト・ター】とよく似た、大地を操り形と成す呪術だ。

 大天使は右手で剣を抜く。

 同時に左腕を横にのばし、拳を握りしめる。
 舞奈の鋭敏な感覚が、その手の先に空気を固めた何かが形作られたと告げる。
 こちらは【風の手ジェレト・チャウ】と同様の技術による、見えざる剣。そして、

――ボクは走る走る走る息が切れるまで、走る!!
――羽は無くても2本の足があるから!!

 爆発の如くシャウト。
 大音量でかき鳴らされるギター。

 同時に天使は石と大気の剣を構えて地面を滑るように踏みこむ。
 早い。人が踏みこむスピードではない。だが、

「おおっと」
 大振りで薙がれた石剣を、舞奈は身をかがめて避ける。
 間髪入れずに放たれた左の突きを横に跳んでかわす。
 見えざる刃の斬風は、ツインテールの端を空しくかすめる。

「間近でみると、いいおっぱいだ。女の趣味は合うらしいな」
 素早く体勢を立て直しつつ、舞奈はニヤリと笑いかける。

 美しいものを美しいまま模倣するには実は相応のセンスがいる。
 それを、かつて舞奈は、背後で施術している明日香に(悪い意味で)教わった。
 対して目前の大天使の容姿は、わりと完璧にチャムエルだ。

 正直なところ、明日香の軽口に同意するのは癪だ。
 だが天使を操る術者の、女性の容姿に対する価値観は舞奈と似ている。対して、

『な……!?』
 大天使は驚愕する。
 最速で不可視な連撃をかわされたからだ。

 舞奈は卓越した感覚で空気の流れすら読み取り、身体の動きを察する。
 そして極限まで鍛え抜かれた身体能力で反応する。
 故に一切の近接挌闘は無力。
 それが正体不明の大天使であろうとも、人の形をした実体があるのなら同じだ。

『これならどうだ!』
 大天使はなりふり構わず、左右の剣で嵐のように斬りかかる。
 斬る、斬る、突く、斬る。
 どうやら人間のようなスタミナの制限はないらしい。
 それでも、

『くそっ! ちょこまかと!!』
「……チャムエルなのは見た目だけってことか」
 斬撃を、突きを、舞奈は最小限の動作で回避しながら何食わぬ表情でひとりごちる。

 チャムエルとは何度か一緒に戦ったことがある。
 確かに彼女も、いくつかの属性の術を使いこなす。

 だが彼女が得手とするのは光と重力、それに金属の魔術だ。
 大地や風の術も知らないわけじゃないのだろうが、使ったところを見たことはない。

 何より彼女は魔術師ウィザードだ。
 まあ確かに両手の杖に魔法をかけて接近戦に転じることはある。
 だが、初手から剣を抜いて斬りかかることはない。

――ボクは歌う歌う歌う声がかれるまで、歌う!
――天使のリングなくても願いがあるから!

『何なんだよ!? おまえ、本当に人間なのか!?』
 容姿だけがチャムエルな天使は、叫びながら斬りかかる。

「……あんたが言うなよ」
 ツッコミながら、もちろん舞奈は難なく避ける。
 だがチャムエルの容姿で、男の声で悲鳴をあげられると調子が狂う。

 舞奈はふと、術者が歌いながら叫んでいるのが不思議だと思った。
 魔法的に録音・再生する術でもあるのだろうか?
 あるいは口を2つにする術だろうか?

 そんな大天使はたたらを踏むこともなく、ホバリングめいた動作で向き直る。
 物理法則に従っていない類のスムーズさだ。
 流石は天使や妖精と同等の存在。
 重力と無関係に動けるらしい。

 そんな手札を使えるなら、得意満面に口封じを試みる気にもなるだろう。
 その攻撃を避けられ続けたのだから、そりゃあ慌てもするだろう。

――走り続けるうちにキミと出会った
――キミはボクの隣で歌ってた

 攻防の中、拳銃ジェリコ941の銃口は何度か敵を捉える。
 だが撃たない。
 女の形をしたものを撃ちたくないというのもあるが、それ以上に弾丸を温存したい。
 当てても無力化されない確証を持てずに撃っても十中八九、無駄弾だ。

――何を願い走るのか忘れたまま
――気づくと皆で歌ってた

 そうやって歌をバックに幾度も交差するうち、大天使は舞奈の後をとった。
 振り返るには一瞬遅いタイミング。
 あくまで舞奈は人間だ。人の身体構造と重力の制限から逃れられない。

 だからピンク色のジャケットの背中めがけて、天使は矢のように突く。石剣。だが、

『な……!?』
 舞奈はそれを、振り向く代わりに後ろ手で受け止めた。
 左の手袋――ワイヤーショットの内側には金属製の金具が仕込まれている。
 そのまま刃の側面をつまみ、ちょいとひねってへし折る。

 舞奈を近接攻撃で害することは、不可能なのだ。
 それでも、

『何だ……と……!?』
「……いやいいけど」
 チャムエルの容姿から繰り出される男の声にはどうしても慣れない。
 それ以前に――

――それが愚かだなんてボクだって思うさ
――皆はボクらを指さして笑うさ

『なら、こいつならどうだ!』
 大天使は両腕を広げる。
 形のいい胸を見せつけるようなその仕草に見とれる間もなく、

――けれどそれこそが冷たい壁を打ち砕く、POWER!

「――野郎!」
 舞奈は舌打ちしながら大天使の足元に滑りこむ。
 一瞬遅れ、見惚れるような女の裸体から無数の火弾が放たれた。

 直前まで舞奈がいた道路を、火弾の群れが焼き尽くす。
 辛くも難を逃れた舞奈の背中を熱風が炙る。

 火の雨に気づいた理由は急激な体温の変化だ。
 この一見して全裸ストッキングのチャムエルにしか見えない大天使は、実は人間の身体構造を模してすらいない。
 先ほどの天使と同様に火、水、風、土、氷、雷の元素から形作られている。

 異なるのは、6つの元素すべてが1体の大天使に混ざり合っていること。
 目前の敵は、それを切り替えながら戦っているのだ。
 だからか固さも体温も常に変化し、相対するだけで調子が狂う。

 その様を、舞奈は元素の力を見せびらかしているようだと感じた。
 粒子ビームと天使の力を操る祓魔師エクソシスト以外の力を操り、それを誇示するように。
 己が呪術は祓魔術エクソシズムを超えたのだと、天に向かって叫ぶように。

 口元を歪めつつ一挙動で跳び起きる。
 流れのまま左の拳を大天使に向け、手袋のレバーを拳銃ジェリコ941の背で引く。
 そんな不自然な体勢にも関わらず舞奈は狙いを外さない。
 手の甲の金具から小口径弾22LRに押されてワイヤーが放たれる。

『うわあっ!?』
 先端のフックに振り回されたワイヤーが大天使の上半身に巻き付き、束縛する。
 両腕と胴を細いワイヤーに幾重にも縛られ、大天使はもがく。
 並の人間ならば動けないどころか負傷すらしかねない状況。だが、

――だから走る走る走る走る倒れるまで、走る!
――そうさ立ちふさがるものすべてを蹴散らして、走る!

「……こいつも駄目か!」
 舞奈は舌打ちしながら跳び退り、ワイヤーを切り離す。
 手ごたえが急に弱まったからだ。

 その目前で、大天使の身体は水と化す。
 そして文字通り流れ出るように束縛を逃れる。
 ほどけたワイヤーが音もなく地に落ちる。

 天使は後方に跳び退りつつ、再び全裸の女の姿をとる。

 同時に左右の手の中に、新たな得物が握られる。
 右手には炎の剣。
 左には氷の剣。

 そして踏ん張るためもなく舞奈めがけて突き進む。
 氷炎の剣の2段斬り。
 舞奈は軽やかなステップで跳び退って避ける。

 大天使は追撃とばかりに、両手の剣を構えて跳びかかる。
 舞奈は素早く身をかがめる。
 次の瞬間、

魔弾ウルズ!」
 舞奈の頭上を巨大な稲妻の弾丸が通り過ぎる。
 そして真上に迫った大天使を飲みこんだ。
 避けてすら放電混じりの豪風でツインテールの髪を揺らすほどの超巨大な電気の砲弾が、大天使の全身を焼きながら吹き飛ばす。

 即ち【雷弾・弐式ブリッツシュラーク・ツヴァイ】。
 戦闘魔術師カンプフ・マギーアの手札のうちでもっとも初歩的な、故に強力な攻撃魔法エヴォケーション
 しかも帝釈天インドラの咒に追加の魔力をこめつつ、タイミングを見計らっていたのだ。

「なに遊んでるのよ?」
 次いで文句を言う明日香に、

「弾の残りが少ないんだ! 無駄弾を撃ちたくない」
 体勢を立て直しながら答え、

――だから歌う歌う歌う歌う狂うまで、歌う!
――そうさ限界なんてさ無視して振り切って、歌う!

「……駄目か」
 舌打ちする。
 明日香も憎々しげに口元を歪める。

 その目前で、プラズマの塊が徐々に人の姿を取り戻す。

 触れるもの皆、焼き尽くすエネルギーで形成された雷の砲弾。
 それを敵は、自身も同じ種類の元素になって受け流したのだ。

 防御されることを見こんで強化した雷弾による不意打ちすら防がれた。
 だが2人は怯まない。
 手練れた仕事人トラブルシューターの手札はまだある。

――その先にあるのが楽園だなんて
――そんな保障は何処にもないけど

「……手の内をあまり見せたくなかったんだけど」
 ひとりごち、明日香は小型拳銃モーゼル HScを持っていない左手をクロークの内側に入れる。
 無数のドッグタグを媒体に雷の雨を降らせる【雷嵐ブリッツ・シュトルム】を使うつもりだ。

――走り続けた者しか行けない
――すごい場所だとボクは信じるさ

「結界は持つのか? 下手にぶち破ったら、この界隈がまるごと火の海だぞ」
 舞奈は油断なく身構えながら問いかける。だが、

「そうならないように、エネルギーのロスなしで叩きつけるの。あなたの協力で」
「へいへい、そりゃ名案だ」
 軽口を叩く舞奈の背中めがけ、明日香は取り出したベルトを放る。

 舞奈はそれを後ろ手で受け取る。
 いつもと同じドッグタグを吊られたベルトだ。
 だが以前より少しベルトが細く、タグも半分ほど。

 以前に銃弾をも弾く完全体を破壊するために、無数のタグをベルトごと首にひっかけた状態で、まとめて発破したことがある。
 明日香はそれを、強力な単体への攻撃手段として確立させるつもりなのだろう。
 威力を調節するために半分ずつ投げられるようにしたのだ。

――だから走る走る走る走る振り向かずに、走る!
――それがボクの生き方さだから振り向かずに、走る!

 舞奈は右手に拳銃ジェリコ941、左手にベルトを構えて大天使に走り寄る。

 大天使が熱くなる。
 同時に舞奈に掌を向け、幾つもの燃える何かを放つ。

 またしても炎弾の雨。
 だが大天使が放つ魔弾の量も範囲も怪異の妖術師ほど。
 かつて魔獣が放った【尖弾の雨ザッパー・レイン】に比べれば、ものの数ではない。

 だから舞奈は明日香が唱える帝釈天インドラの咒を背中に聞きながら地を転がって、燃えさかる雨を避けつつ大天使に肉薄する。
 舞奈が通り過ぎた後の道路を、火弾の群が焼き砕いて耕す。
 
 そのまま大天使の目前で立ち上がり、ベルトを構えて跳びかろうと身をかがめる。
 そんな舞奈を警戒したか、大天使は跳び退る。
 その胸に、青白い光線が突き刺さった。

 光線の着弾地点から氷の茨が走って大天使の上半身を縛り、そのまま凝固する。
 敵を凍りつかせて拘束する【氷棺・弐式アイゼスザルク・ツヴァイ】の魔術。

『……っ!?』
 大天使は驚く。
 今度は舞奈に気をとられた敵に、明日香が不意打ちを仕掛けたのだ。

「おっ」
 舞奈も少し驚く。
 真言なしで行使可能な程度の術とはいえ、帝釈天インドラの咒による雷の魔力を維持しながら氷の魔術を司る大自在天シヴァの魔力を喚起したのだ。
 明日香の魔術は研鑽によって常に高みを目指して進化する。

――だから歌う歌う歌う歌う何も考えずに、歌う!
――それがボクのやりたいことだから躊躇わずに、歌う!

 大天使の身体が徐々に冷たく透き通る。
 氷と同化して逃れるつもりだろう。

 だが、その隙を舞奈は見逃さない。
 跳びかかり、チャムエルを象った大天使の首にベルトをかける。
 ベルトに吊られた無数のタグがギラリと光る。

『――!?』
 天使が困惑する隙に、
「今だ!」
 舞奈が素早く跳び退ると同時に、
災厄ハガラズ!」
 明日香は一語の魔術語ガルドルを唱える。

 途端、ベルトに提げられたドッグタグのそれぞれが雷球と化した。

 本来ならば稲妻の雨を降らせる【雷嵐ブリッツ・シュトルム】の魔術。
 だが今は、タグを吊ったベルトは大天使の首に提げられている。
 つまり敵は【雷弾・弐式ブリッツシュラーク・ツヴァイ】相当の雷撃を至近距離から無数に喰らうことになる。

 舞奈は明日香が反応する間もなく押し倒し、いっしょに身をかがめる。
 その背を熱風と閃光が炙る。

 そして凄まじい轟音と爆発が止んだ後。
 舞奈が跳び起きて振り返ると、

『な……!?』
 プラズマの塊がゆっくりと人の形に戻る。
 先ほどと同じように自身の材質を変え、稲妻の雨を受け流そうとしたのだろう。
 だが、

――そこできっと空と大地は混ざり合う……

 大天使の表情は驚愕に歪んでいた。
 普段の半分の枚数とはいえ、密着状態で一斉爆発した雷弾の威力は想像を絶する。
 同じ姿になったからといって、容易く無にできるはずもない。だから、

――ボクはボクだけの空を取り戻した、FALLEN ANGEL……
――何処までも走って行けるだろう……

 次の瞬間、大天使は砕けて元素の源をまき散らした。
 つまり火の粉と放電と飛沫を散らし、石片と氷片をばらまいた。
 その中心に、

「うへっ、こりゃ酷い」
 脂虫の成れ果てが転がった。
 いつか会議室で見た写真と同じように切り刻まれ、加工された身体だ。

 薄汚れた野球のユニフォームを着ていたらしい、切断された胴と手足。
 それらがてんでばらばらに散乱し、結界化を解除された普通の道路を体液で汚す。

 ごろんと転がった上半身は頭と繋がっている。
 ご丁寧に煙草をくわえたままの頭は、ヤニで濁った目を見開きながら蠢いている。
 ……器用にもこの部分だけ生きたまま大天使のコアになっていたらしい。

「つまり、貴女はこれを見て鼻の下をのばしてたのよ」
「鼻の下なんて、のばしてないだろ」
 軽口に、口元をへの字に歪める。
 生きていても死んでいてもその中間でも不快な脂虫を見下ろし、すぐに視線を上げ、

「回収車の手配を頼む」
 ジャケット裏のホルスターに拳銃ジェリコ941を仕舞いつつ、周囲に目を配らせる。

 脂虫――臭くて不潔な喫煙者は人ならぬ怪異だ。
 死んだ脂虫や生きたまま捕縛された脂虫を支部の片隅にある受け入れセンターに運ぶのは、ゴミ収集車と清掃員に扮した回収班の仕事だ。

「まったく、何でも人まかせで……」
 愚痴りながらも携帯をかける明日香を尻目に気配を探る。

 舞奈は空気の流れすら読む鋭敏な感覚を誇る。
 動くものすべてを正確に知覚する獣じみた動体視力をも持つ。
 だが、そのどちらでも、周囲に術者とおぼしき何者かを捉えることはできなかった。

 やはり術者は、襲撃を退けられても安全な場所から刺客を操っていたのだろう。

 それでも今の戦いで、舞奈たちは敵について様々なことを知ることができた。
 それらの情報を踏まえて調査を続ければ、やがて犯人にたどり着けるはずだ。

 そんなことを考えて口元を歪めた途端、

「……?」
 携帯が鳴った。

「いや、あたしじゃなくて支部にかけろよ」
 軽口を叩くも明日香は無視。
 支部に電話をかけてるからだ。
 なので舞奈もかかってきた電話に出てみると、

『大変よ、舞奈』
 切羽詰まった声。

「テックか。何かわかったのか?」
 何気なく相槌を打ちながらも、身をこわばらせる。
 普段と変わらず無表情なのに焦燥だけは伝わる声色。そして、

『チャビーたちが事件に巻きこまれたみたい』
 焦った声は、そう告げた。
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