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第12章 GOOD BY FRIENDS

依頼 ~ハゲの捜索

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 そして【機関】支部の2階にある、打ちっぱなしコンクリートが物々しい会議室。

「桜ん家のごはん……」
 舞奈は会議机に頬杖をついて、情けない顔をして凹んでいた。
 そんな舞奈を、側の明日香がジト目で見やる。

 ニュットに強引に連れてこられた2人は並んで椅子に座り、会議机についていた。

 そんな中、立て付けの悪い鉄のドアが重々しい音を立てて開く。
 そこにいたのは、なんと食堂のばあさんだった。
 側には飯の乗ったワゴン。

 舞奈は表情を輝かせる。
 そんな様を見やって明日香は苦笑する。

「あんたたち、デスメーカーの慰安旅行で美味いものをたんと食ってきたんだって?」
「へへっ、まあな!」
 ばあさんの問いに、異郷の食事を思い出して笑う。
 彼女の飯を差し置いて、他所で美味いものを食ってきて申し訳ないと、ふと思う。

「だが」
 ばあさんはニヤリと笑い、

「あんたは異郷のとびきり美味いものを、実はまだ食ってないんだよ」
 でっぷり太った腹を揺らして言った。

「なんだって!?」
「そいつが、これさ」
 その反応を待ってましたとばかりに、ばあさんは会議机に手際よく料理を並べる。

 出汁香る湯気を立ち上らせる吸い物と、奈良漬け。
 空の椀としゃもじ、薬味、きゅうす。

 そしてメインメニューとおぼしき御櫃おひつ
 昔ながらの曲げわっぱでできた大きな御櫃に、これでもかと盛られた蒲焼き。
 大ぶりに切り分けられた蒲焼きにからむ飴色のタレが、甘辛く香って食欲をそそる。
 あつあつのご飯の上にかば焼きを乗せた――

「魚のどんぶり飯か?」
「――なるほど、ひつまぶしですね」
「お、流石だねぇ」
 毎度の明日香のうんちくに、ばあさんはニヤリと笑う。

「あ、そういや聞いたことがあるぞ。うなぎとかいう……すごい高い魚の丼だっけか?」
「あら、あんたもよく知ってるじゃないかい」
「食いもんのことはな」
 舞奈は笑う。
 噂にだけは聞いていた鰻とやらは、想像以上に美味そうだ。

 しかも、よく見ると舞奈の御櫃だけひとまわり大きい。
 舞奈の食欲を見越して飯の盛りを増やしておいてくれたらしい。

「ひつまぶしには、決まった食べ方があるんだ。試してみるかい?」
 ばあさんの言葉に、舞奈は思わず御櫃を見やる。

 面倒な決まりなんか無視して、美味そうな鰻とタレの浸みたご飯を頬張りたい。
 それが正直な気持ちだ。だが、

「ああ、頼む」
 ニヤリと笑って答える。

 舞奈は無知だが馬鹿ではない。
 信頼できる識者の言葉は聞いておくべきだと、今までの経験から知っている。
 銃のことはスミスに。
 魔法のことは魔道士メイジに。
 彼ら、彼女らの助言のおかげで命拾いしたことは何度かある。
 助言を軽んじた者の末路もたくさん見てきた。

 だから鰻のことについては、食堂の厨房を統べる彼女に従うべきだ。
 そう思った。

 そんな舞奈を見やってばあさんは笑い、

「まずは御櫃を四等分して、1/4をお椀に盛るのさ」
 手で4つに区切る仕草をしてみせる。

「それで茶碗やしゃもじなんかあるのか」
 舞奈も促されるまましゃもじを握り、折り重なった鰻とご飯を大胆にぶった斬る。
 ふっくらとやわらかく焼きあげられた鰻は、驚くほど抵抗もなくご飯と一緒にサクサク切れた。

 次に御櫃に手をかける。
 しゃもじをぐいっと押し入れ、切り分けた一角を碗に移す。
 ご飯の中にも刻んだ鰻が散りばめられているらしい。
 早くも腹が食欲を訴える。

 明日香が几帳面に鰻をどかして下のご飯を切断するのを待つ。
 そして次は何をするのかと、ばあさんを見やる。
 すると、

「そして、それをそのまま食べる」
「お、おう、普通だな」
 だが好都合だ。
 ミニ丼ほどの量になった椀を手に取って喰らいつく。

 鰻を貪り、ご飯を頬張る。
 パリッと焼かれた皮と、ほくほくにやわらかく焼きあげられた鰻の身。
 ほかほかのご飯に、甘辛いたれ。
 見た目と香りの印象通り、それらすべてが過不足のないひとつの完成した料理としてアンサンブルを奏でて舌を楽しませる。
 鰻もご飯も、あっという間に腹の中に消えた。

 ミニ丼の後味を名残惜しみつつも、奈良漬けをつまむ。
 コリコリとした食感、ほのかな甘みと酸味もまた舌の上で踊る。

 そうやって舞奈と明日香が最初の1杯を堪能したころを見計らい、

「2杯目は薬味を乗せて食べてみな」
 ばあさんは言った。

 先走ってすでに2杯目をよそっていた舞奈はその流れで、明日香も上品に2杯目をよそって、次いで小皿に盛りつけられた薬味を乗せる。

 明日香はシソと山椒さんしょうをふりかけて風味を楽しむ。
 舞奈はネギとワサビをたっぷりのせる。

 シヤリシャリとした刻みネギと、ワサビのツンとくる辛さが鰻のやわらかさとタレの甘さを引き立てる。こちらも絶品だ。
 だが明日香の山椒も美味そうなので、2口目をいただくまえに少しかける。

「鰻は昔は、庶民の食べ物だったとか」
 明日香が良い気分で語り始める。

 知性派の明日香は舌で味を堪能し、頭で知識を堪能する。
 だが舞奈も良い気分なのは同じなので、明日香のうんちくを聞くことにする。だが、

「……ああ、そうさ」
 ばあさんは少しばかり暗い声で答えた。
 舞奈は無言で先をうながす。

「あんたの言う通り、10年ほど前の鰻は一般家庭でも普通に食べられる庶民の食べ物だった。流通量が今よりずっと多かったのさ」
「そいつは良いことなんじゃないのか?」
 昔と違って高級品である鰻を大事に口に運びつつ、舞奈は首をかしげる。

 物心つく前は庶民の食べ物だったなんて言われてもピンとこない。
 そんな舞奈を見やって苦笑しつつ、

「だが、そのせいで当時の鰻は絶滅の危機に瀕していたのさ」
「乱獲……って奴か」
 舞奈の言葉に、ばあさんはこくりとうなずく。

「当時の識者や国内の水産業者は警鐘をならしたんだが、海外の業者と結託した流通業者が乱獲と安価での流通を強行した」
「その海外ってのは……」
「ああ、特定アジアだ」
 楽しい食事の席で語られた忌まわしい名に、思わず口元を歪める。

「だが、」
 舞奈は変わらぬ笑みを浮かべてばあさんを見やり、

「【機関】が……10年前のあんたたちが奴らの悪事を阻止した。そうだろ?」
 気づいて思ったことを、そのまま口に出す。

「でなきゃ今のあたしらは、こいつを食べられなかったはずだ」
「まあね」
 それは紛れもない真実だったらしい。
 ばあさんは乾いた笑みを浮かべ、

「当時の執行人エージェントは流通の元締めに成りすましていた泥人間を排除し、水産業者は完全養殖を成功させて鰻の量を回復させた」
 自慢話に思えるほどのハッピーエンドを語り、
「それでも、」
 自嘲するように続ける。

「そのせいで鰻の価格が急上昇したのも事実だ。それによって廃業を余儀なくされた店もたくさんあった。鰻を捌く技術もいくばかか失われた」
 ばあさんは柄にもなく、寂しげに笑う。

「だから、わたしは高級魚になった鰻をこうして料理するのさ。罪滅ぼしとしてね」
「……どこに滅ぼす罪があるよ?」
 舞奈は言いつつ、2杯目の最後の一口を堪能する。

 その意外な律義さも彼女の彼女たる所以なのかもしれない。
 だからこそ彼女は、食する者すべてが笑顔になれる料理を作る。
 まるでアートのように。

 だが、善人が悩んでいる様を見て見ぬ振りもできないのも舞奈の舞奈たる所以だ。
 だから、

「あんたたちが守らなきゃ、今頃は絶滅してた魚なんだろ? なら、あたしは感謝をこめて、こいつをいただくぜ」
 言って笑う。
 明日香も頷く。そして、

「さあ、3杯目はどうやって食うんだ?」
 またしても先走ってよそい始める舞奈。
 そんな様子を見やり、ばあさんもようやく普段のように不敵に笑う。

「3杯目は、まず身をほぐすのさ」
「ふむ」
「そして、きゅうすの出汁を注いでお茶漬けにするんだ」
「そいつは理に適ってるな」
 言われるがまま椀に出汁を注ぎつつ、ひとりごちる。

 1杯目は鰻とタレの味を普通に楽しむ。
 2杯目でアクセントを加える。
 そして腹がくちくなりかけた3杯目は、出汁の味を足しつつさらさらといただく。
 高級魚を美味しく食うために積み重ねられた知恵だ。

 明日香は申し訳程度に出汁をかける。
 茶の中にご飯が浮かんでる状態の茶漬けが好きじゃないのだ。
 だが、きゅうすを持ち上げるときの様子からして、出汁は濃い目で少ししか入っていないのだろう。こちらも明日香の嗜好を読んでの特注だ。

「そして最後は――」
「「最後は?」」
「――好きな食べ方で食べるんだ」
「「なるほど」」
 2人はしばし手元に残った1/4の御櫃を見やる。
 だが仕事人トラブルシューターの決断は早い。

 舞奈はよそったご飯と鰻に、山椒をかけていただいた。
 最後はシンプルな鰻の味で締めたいと思ったからだ。

 明日香は再び少量の出汁をかけ、ワサビを乗せて食べていた。
 出汁の味が気に入ったらしい。

 そして明日香がお茶漬けを食べ終わる頃には、舞奈も吸い物まですっかり片づけ、腹もくちくなっていた。

 丁度いいタイミングでばあさんは器を下げる。

 そして入れ替わりにフィクサーがニュットを伴って入ってきた。

「ごちそうさん。あんたたちが守ってくれた鰻、しっかり味わったぜ」
「10年前は、あちしは未就学児だったのだよ?」
「……いや、あんたのことじゃないよ」
 軽口を叩きあいつつ、2人は舞奈たちの対面に座る。
 いつもの依頼のポジションだ。

「で、今度は何の依頼なんだい?」
 良い気分で舞奈が問いかけ、

「君たちには脂虫連続殺害事件の調査を頼みたい」
 フィクサーが返答する。
 ニュットが机に数枚の写真を並べる。
 まあ、豪華な食事が出た時点で予想の範囲の依頼ではある。

「前にも似たようなことがあったが、この手の仕事は警察の管轄じゃ……」
 苦笑しながら言いかけて、

「……ないな。ったく飯食った直後に」
 口元を歪める。

 どの写真も映っているのは、凄惨に『加工』された人体だった。

 不幸中の幸いなのは、オブジェにされた犠牲者が、すべて脂虫だということだ。
 なにせ形の残っている頭部はすべからくヤニで歪み、唇に煙草を癒着させている。
 つまり正確には『人』体ではない。

 悪臭と犯罪をまき散らす喫煙者――脂虫は、人間ではなく害ある怪異だ。
 だから死んでも問題はない。グロテスクに切り継ぎされた脂虫を見やるのが、生前の彼らを目撃するのと同じくらい不愉快なことを除けば。

 だが、そうした事情を知っているのは異能力や怪異に関わりのある者だけだ。

 それに、この異様な殺害方法。
 たとえ相手が脂虫といえど、まともな人間にできることではない。
 そんな事件を何とかしろと言われても、警察だって困るだろう。

「ヤニ狩りのついでにでも、あちしらで発見できればよかったのだが、先に警察案件になってしまってな」
 ニュットが糸目を歪め、珍しく不満を表現する。

「公安の手柄を増やすなと、地元警察があちしに苦情を言ってくるのだよ」
「……顔が広いのも良し悪しってわけか」
 舞奈もいっしょに顔をしかめ、

「それにしても、自分たちの面子しか考えてないのか? 奴らは」
 吐き捨てるように言い放つ。
 前回の事件では、彼らは脂虫と結託して拳銃の横流しまでしていた。
 これでは治安を守る組織なのか、脅かす組織なのかわからない。

 だが、まあ、今は目先の事件をどうにかしなければならない。

「念のために聞くが、小夜子さんか楓さんの仕業だったってオチはないよな?」
 脳裏に浮かんだ、まともじゃない知人の名前を言ってみる。

 どちらにも脂虫を惨たらしく殺す正当な理由がある。
 加えて楓たち【メメント・モリ】は、仕事人トラブルシューターになる以前から連続殺害犯として脂虫を殺しまくっていた。ちょうど今回の事件と同じように。だが、

「少なくとも小夜子ちんじゃないのは、そちらのほうがよく知ってるはずなのだ」
「どういうことだ?」
 ニュットの返答に首をかしげ、

「直近の事件が起きた日には、小夜子ちんも舞奈ちんもネコランドにいたのだよ」
「あの日だったのか……」
 納得する。

 あの日はずっと、小夜子は脂虫のことなど忘れて異郷を楽しんでいた。
 もちろん舞奈や皆もいっしょだ。
 わざわざ地元で脂虫オブジェを作る時間的な余裕も、理由もない。

「それに次の日に脂虫の解体作業をするときも、いかにも一日ブランクが開いた感じではりきって仕事していたのだよ」
「リフレッシュ休暇の意味は……?」
 やれやれと苦笑する明日香の横で、

「じゃあ楓さんたちは?」
 今度は舞奈が問いかける。
 だが、こちらについても、

「楓ちんの作品にしては、こいつはちとワイルドすぎるらしいのだよ。興味津々だったし、いつか自分もやってみたいとは言ってたのだがね」
「いや、せんでくれって言ってやってくれ」
 変わらぬ口調で答えるニュットに、舞奈は引き気味に苦笑する。
 そういう方面の芸術にはまったく疎いし、別に詳しくなりたいとも思わない。

「けどさ、それならむしろ、あたしらじゃなくて【メメント・モリ】に依頼した方が手っ取り早いんじゃないのか?」
 思わずぼそりと、そうこぼす。
 そんな桂木姉妹も、今は舞奈たちと同じ仕事人トラブルシューターだ。

 もちろん舞奈も、仕事を受けるのが嫌なわけじゃない。
 飯も食ったし。
 だが犯人の同類らしい楓たちの方が、この件の調査に向いているのは確かだ。
 実は趣味の近い知人だったという可能性すら考えられる。だが、

「すまんが、【メメント・モリ】には別件での調査を依頼中だ」
 答えたのはフィクサーだった。

「立て続けに事件か? ここらの物騒さ加減も大概だなあ」
「いや、事件というわけではないのだが……」
 言いずらい事情でもあるのか言葉を濁すフィクサーに代わり、

「諜報部の異能力者たちが、この近辺でツチノコを目撃したと言うのだよ」
 ニュットが言った。

「ツチノコだと?」
「ツチノコというのは胴の太い蛇なのだよ。見つけると富を得られるのだ」
「いや、ツチノコが何なのかは知ってるよ」
 舞奈はやれやれと苦笑し、

「……彼女たちにはその噂の真偽を確認してもらっている」
 少しバツが悪そうにフィクサーが締めくくった。

 そして、ふと思い出す。

 数刻前に、桜と委員長もツチノコを探すと言っていた。
 伊或いある町の小学生が仲睦まじく探しているそれを、魔術と呪術を修めた仕事人トラブルシューター、しかも有り余るほど金のあるブルジョアが本気で探すのだとフィクサーは言う。
 なんだか桜たちが貧乏くじを引いているような気がして、面白くなかった。

「……ったく。大の高校生がツチノコ探しか」
 舞奈は口元をへの字に曲げる。

 だが【機関】にも事情があるのだろう。
 ツチノコを見つけると金持ちになれるという効用が、あるいは使い方を誤ると危険なものなのかもしれない。

 それに内訳はどうあれ楓たちもこの事件とは無関係だということがはっきりした。
 舞奈たちに今回の依頼を断る理由はもうない。

 舞奈は凄惨な脂虫の映った不愉快な写真を再び一瞥し、

呪術師ウォーロックの儀式に似てますね」
 明日香が感想を述べる。
 なるほど、脂虫を加工する行為は小夜子が贄をあげる様子と似てなくもない。

「諜報部の見解も同じだ」
 それにはフィクサーも同意する。

「流派と効果はわかりますか?」
「ああ、どうやら祓魔術エクソシズムの亜流に属する流派が存在するらしい。情報の出所がアモリ派の術者が過去に聞きかじった話なので、信ぴょう性は心ともないのだが」
 明日香の問いに淀みなく答える。
 流石にある程度の下調べはしてくれているようだ。

「……意外に物知りなんだな、えり子ちゃん」
「エリコは執行部よ。それに流派もカタリ派」
 ふと頭に浮かんだ祓魔師エクソシストの名を出した途端、明日香がドヤ顔で指摘してきた。

「へいへい」
 舞奈は口をへの字に歪める。
 そんな友人をよそに、

「この支部にアモリ派の術者なんていたんですか」
 明日香は首をかしげる。

「そうか、君は知らないのも無理はないな」
 フィクサーが、ああそういえばみたいにそう言って、
「お前の知らない術者だっているってこった」
 今度は舞奈がドヤ顔を浮かべる。

 脳裏に浮かんだのは、先日に出会った気のいいロッカーのことだ。
 ひょっとしたら今回の事件の片づけか現場検証をしていたのかもしれない。

 なるほど力こぶを作れない男は脳みそを鍛えなければ生き残れない。
 貧相な彼は博識な祓魔師エクソシストだったのだろう。

「で、その儀式の効果はなんなんだ?」
「それはだな……」
 舞奈はそう問いかけ、フィクサーは再び言いずらそうに言葉を濁し、

「育毛の儀式らしいのだよ」
 ニュットが表情ひとつ変えぬまま言い切った。

「……は?」
「育毛というのは、頭に髪の毛を生やす行為のことなのだ」
「いや、それは知ってるよ」
「それなら結構。つまり犯人は、祓魔術エクソシズムの亜流を操るハゲなのだ」
「お、おう……」
 舞奈と明日香は思わず顔を見合わせる。

 こうして2人は、育毛を企てるハゲの祓魔師エクソシストを探す羽目になったのだった。
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