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第6章 エンジェルサークル

第3話 仕切り

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 三人の乗った車はアパートのある川沿いの通りに到着しました。

和華さんは黙って車を降りると通りの車道に仁王立ちとなって現場をにらむように観察し始めました。

 夕方の俗に逢魔おうまが時と言われる時間帯の通りは
既に暗くなっており車も人通りもありません。
いつ来ても現場は気味が悪く、そこだけ暗黒の異界になっているのは明らかでした。

 そこに白い服で立ち尽くす小学生の和華さん、その風景は、まるで映画のワンシーンのようでした。

視察を数分で終えると和華さんは車に戻ってきました。

「それじゃ尾形兄ちゃん会社に向かってください」

「ハイ」

会社までは信号待ちも含めて10分ほどでしたが、その間、和華さんは無言で目を閉じ何か考え事をしているようでした。

 会社に到着すると尾形君のお父さんと和華さんが挨拶を交わし早速、作業について打ち合わせになりました。

「社長さん、現場の地図出してください」

川沿いに走る車道と真ん中の脇道にバリケードを今すぐ立てて通行止めにし儀式を始めると和華さんは言いました。

「はぁ、しかし通行止めとなりますと警察の許可が必要ですが」

「それは、あしたにでも社長さんが警察に行って正式な許可なり申請してください。
それでは、メモしてください、社長さん。
警視庁のほうからコチラの警察に今すぐ緊急指令出してもらい
特例を認めさせますので
お父様はバリケードや看板、回転灯、投光器、発電機などの準備お願いします。

それと道路三ヶ所の出入り口に警備員の配置もお願いします。

緊急で今晩だけでもいいので、ひとり手配につき警備会社には
15000円、作業警備員に昼は時給2500円、夜間は3500円の破格で集めれば今夜にでも3人くらいは大丈夫でしょう・・・
あす以降の金額は社長さんが改めて決めてください。

それと実際、工事現場になってしまうので道路封鎖と道路使用許可も一応延長ありの1ヶ月程度で明日、警察に申請してくださいメモしましたか?」

「は、はい、やっております」

「それと急で申し訳ありませんが作業員6名ほど今晩10時くらいから夜間作業になりますが、ご用意できますか?」

「えぇ?6人・・・はい、なんとかいたしますが・・・」

「はい現場に松ノ木が三本ありますが、あの木、枝払いをお願いしたいのです。
ですので最低、電動ノコギリ、普通のノコギリ、作業員は、よその造園業の方でも構いませんので至急、今夜10時に現場に来ていただきたいのです、もちろん脚立やハシゴの準備もお願いします」

「はぁ、なんとか手配します」

「あとは2トン以上の大きさのトラック一台、廃棄物処理のパッカー車一台、明日以降、後々ですがダンプカーなども必要になります、あとですね・・・・」

「はい、なんでしょう」

「今日これから夜10時頃、空港から特例配達で空港輸送便の宅配がこちらに届きますので誰か会社に留守番していただいて受け取って欲しいのですが」

「はぁ・・・私が受け取りましょうか、ここに荷物が届くんですね、今晩」

「はい、社長さんは現場に来ていただきますので誰か会社の方でもお願いしたいのですが」

「うちの息子は?」

「だめです今晩現場でマルダおじさんと尾形兄ちゃんには大事な仕事がありますから」

『えっ、あ、そうなんだ・・・何やるんだろう?』

「はぁ、わかりました」

「あとですねぇ・・・」

「はい」

「明日、現場に管轄の消防署長に来てもらいます、もちろん上からもコチラの消防署に命令を入れてもらいますので根回しお願いします現場で野焼きを行いますので」

「はぁ、わかりました何かありましたら榊原様の方からも連絡していただけるんですね」

「はい、総務省から下って、こちらの消防署に命令が行くように私が手配いたしますので」

「総務省・・・ですか、はっ、かしこまりました」

「それとですねぇ・・・」

まだあるのかと、どうやらお父さんは思ったようです。

「はい、まだあるんですよーすいません」
ニッコリ笑う和華お嬢様です。

「はい」

「予算が2億でしたが、もうかなり目減りしてきました無駄遣いはしないようにしていますが、
余ったら、お返ししますのでプラス1億プールしておくように
銀行の頭取さんに言っていただけますか明細は口頭のみになりますが
国土交通省の方が説明してくださいますので、お父様は銀行の役員もされていらっしゃるのですよね」

「はい・・・」

「結局その予算から、お父様に工事代金が支払われるので、いいんじゃないでしょうかぁー?ンフッ!」

『和華さんニッコリやっぱカワイイ・・・おっと不謹慎かロリコンか俺は・・』

「それでは一旦、私、ホテルにチェックインしてきますので
今晩の作業の為、通行止めなどの手配、お願いします、
あと夜間作業ですので照明器具もお願いしますね」

「はい、かしこまりました」
お父さんは急な仕事量に真っ青になりました。

 私と尾形君は、あっけにとられてボーっと立っていました。

こんなスゴイ小学生、見たことも聞いたこともありません。

「じゃ行きましょうか尾形兄ちゃん、マルダおじさん」

顔を見合わせ返事をしました。

「はい」
「ハイ」

そして車に乗り込むと・・・

和華さんの携帯が鳴りました。

「もしもし・・・うん和華がんばる・・うん・・うん・・・」

そう言って短い通話が切れたようです。

「あのねマルダおじさん、静華お姉様が、おじさんに愛してるって伝えて下さいだって・・・・・」

「えっ!なんだって!静華さん今どうなってるの?和華さんっ?」

急に和華さんは目に涙を浮かべて辛そうにして私を見つめていました。

『なんだよ一体・・・静華さん、どうしちゃったの?
なんだよそれ・・・まさか何か大変なことになってるのか!なんだよ、やめてくれよ今、急に・・・・』
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