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12.神さまがアキラの悩みを解決!?

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 僕のアパートで大学の課題を作っている最中、コノハから、
 突然、意外なことを言った。

「アキラはやりたいこと、決まっていないの?」

 思わず、戸惑ってしまった。あっけらかんと子どものようにふるまっているコノハが、だよ。

 聞いてみる価値はあるだろう。
 相談したい相手は神様であり、何か教えてくれるかもしれない。

「やりたいことは、自分の手で掴むものだよ」

 ひ、非情な答えだった。

「確かにあたしの力で、人の夢をかなえることも出来るけど、一番大事なのは自分の意志だよ。自分を知ることが先じゃないかな? アキラはどこかで自分を避けているんだと思うよ」

「自分を知る……例えば、適性診断とか?」

「参考程度なら別にいいんだけど、自分がこれまでにあったことを思い出すといいじゃない?」

「今まであったこと?」

「だって、アキラは念願の美術大学に合格したでしょ? 夢ってのは案外、簡単なものなんだよ。刺激があるかないかだけだから。夢を追うってのは、刺激がある日々ってことなんだから」

 ニッコリと微笑みを浮かべながら、僕の前に座っていく。

「アキラは今、刺激のある日々を満喫してるじゃない? そう! あたしがいるからなんだよねっ!」

 そう口にしたコノハは、人差し指で可愛らしく自分の顔を向けた。

「…………」

 コノハのお陰で、充実した日々になっていることを認めたくない僕がいる。確かに、コノハと共に暮らしてから色んな人に迷惑をかけたりしているし、代わりに僕がペコペコと頭を下げている日々が多くなった気がする。
 これって充実なのだろうか。

「アキラは考え過ぎじゃないかな?」

 ダメ出しを言われた。か、考え過ぎなのかな……。

 コノハが、子どもらしく上目遣いをした。

「香織さんとタケルさんは、自分のやりたいこと見つかったんじゃない?」

「そうだね。やりたいこと見つかったみたいだよ」

「じゃあ、2人にやりたいことを見つけたキッカケを聞くといいじゃない? 1人で悩んでも、答えが見つからないなら聞くべきだよ!」

 た、確かに……。

「いいっ? 小さな出来事から始まり、周りに惹かれていく。それが少しずつ広まっていくと、やがて大きな夢の1つになるんだよっ!
 川に例えると、最初はちょろちょろとした水が出るけど、色んな川と交じり合って協力していく。それが大きな川になって最後は海にたどり着くでしょ? 海ってのは大きな夢で、川は人なんだよ!」

 両手を腰に当てながら踏ん反り返るコノハに、僕は目を見張る。

 おお……。あのコノハが、初めて神さまらしいお言葉を発したわ。うん、おっしゃる通りだ。
 そうだな。自分がどうかしてた。

 まずは、タケルと香織に進路の相談をしたいと約束することにした。

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