片羽のオトは愛を歌う

貴葵

文字の大きさ
上 下
33 / 33
終幕 清らかなまま愛して

あとがき

しおりを挟む
『片羽のオトは愛を歌う』
無事完結です!ここまでお読みいただきありがとうございました!
少しでも楽しんでいただけたら幸いです(*´ω`*)

以下、ちょっとしたあとがきになります。

終幕の「わたしがかんがえたさいこうにえもいちゅっちゅ」はいかがでしたでしょうか? これが書きたくて6万字書いたんですよ(キリッ)
雛鳥は純潔を失ってはいけない、という設定上、清い関係のまま愛し合わなければいけないと悶々考えていて。そこで思いついたのがウエディングベール(レースカーテン)越しのチュッチュでした。
ウエディングベールっていろんな意味があります。「邪悪な者から守ってくれる魔除け」で、「花嫁が純潔である証」という文言を見つけた時、「これだ!!」と。ベールダウンした状態でのチュッチュはまさに純潔ではないですか。しかも「二人の間の障壁」を表すこともあるとか。いつかオトちゃんとノア様が何にも遮られず思う存分チュッチュしたりその先ができるようになる日が来ることを願って書きました。その先も全力で書かせろください(日本語)

ちなみにノア様の名前は「ノアール」から取りました。フランス語で黒です。そのままだとあからさますぎるかなと思って、二文字だけ。ここに書かないと絶対誰にも気づかれない設定(笑)


そんな甘々な終幕も終わり、無事に完結です。


この作品はカクヨムで開催されている「世界を変える運命の恋中編コンテスト」に参加するために書き下ろしたものになります。
カクヨムのコンテスト参加は賢いヒロインコンテスト以来でした。
賢いヒロインであっけなく散り、編集部さんと読者さんが求めているものは自分の作風には縁遠いんじゃないかと落ち込みまくって数か月。レギュレーションガチガチの嫁コンを遠くから眺め、変わりゆく中編コンテストに戦々恐々としていた時に運命コンが発表されました。

コンテストに参加するにあたって、改めて編集部さんがどんな作品を求めているのかをじっくり考えてみることにしました。
ありがたいことに今回はベンチマーク作品が紹介されていたのでそちらを購入してみたり、レーベルさんのラインナップを見て傾向を分析したり。その結果生まれたのが今回の和洋折衷シンデレラファンタジーです。
今まではコンテストの題材に自分の書きたい世界観や解釈を当てはめていたのですが、今回は主催である富士見L文庫さんへ自分なりに寄り添ったつもりです。「あそこの読者さんはきっと好きなはず」と自分に言い聞かせながら書いていました。

もともと私は腕っぷしや性格が強いヒロインが好きです。精神的に自立している女性が好きなんですよね。
だから今回のオトちゃんはそれとは真逆で、とても戸惑いました。何をされても言い返せないし、不遇を受け入れてうつむくばかり。人の手を借りないと変わることができない繊細な子です。書きながら何度も苦々しい思いをしました。だからこそ彼女の世界が変わっていく様を少しでも鮮烈に、ロマンチックにお見せしたい。どうか変わってほしいと思いながら書き続けて、ようやく6万字。長かった……(遠い目)

『世界を変える運命の恋コンテスト』ということで、何よりもまず世界を変えないといけません。
ということで、今回は変えるべき世界を二つ用意しました。
一つはオトちゃん自身です。徹底的に虐げられて自己肯定力がどん底を抉っていたオトちゃんが籠の外へ自ら羽ばたき、自分の世界を変える。ノア様が言っていたように、鳥籠を開けても飛び立つかどうかは自分で決めなければいけません。第二章の最後、オトちゃんはノア様の傍で歌う決断をしました。これでオトちゃんの生きる世界は変わってくれたかなと思います。
もう一つは、クレセンティアです。これは文字数の関係で深く書くことはできなかったのですが、ノア様による「神域の解明」がメインになっていく部分です。読み進めるうちに読者様も「この島ヤバいな」と思ったのではないでしょうか。はい、ヤバい島です。だから変わらなければいけません。「要石」や「門戸渡り」など、謎を多く残したまま終わっているので、コンテストの結果が分かり次第続きも書いて行けたらなと思っています。


以下、書きたくても文字数的に書けなかった&これから書きたいネタたちです。


・オトちゃんを取り戻しに来るカージュ
楽徒『繚乱』を率いるナナセというキャラクターがいました。本編で名前のみ出てくるのですが、本当は第二章で登場予定だったのです。告鳥様の命令でオトちゃんを言葉巧みに呼び戻しに来ます。それでオトちゃんの心は本島とカージュへ揺れ動く予定だったのですが、文字数の都合であえなく断念💦この子も相当な曲者です。

・副領事
ネームドキャラで登場予定が、こちらも文字数の都合で……。
トビー・ドットさんと言います。ノア様の下僕です(え)
続きを書く機会があれば絶対に登場させたい! 愉快な人なのですが台詞で文字数を食います。

・オトちゃん、初めてのお風呂
執筆がどん詰まると生活描写を書きたくなるマンなのですが、今回はとことん削減しまくりました。
でも実はお風呂シーンを書いていて、ギリギリまで出そうか悩んだんですよね。カージュから連れ出されて総領事館で目覚めた後、サヨちゃんとハンナさんが湯浴みをしてくれました。何かの機会があれば公開したいです。

・サヨちゃんの初恋
本作一番の功労者と言っても過言ではないサヨちゃん。
ロマンス小説でおませな女の子になってるので、恋の一つや二つしちゃうと思うんですよね。
サヨちゃんも幸せになるべきキャラクターなので、いつか初々しい幼鳥の初恋を書きたいです。

・サヨとオトの声楽練習
これ、書きたかった(泣)
オトちゃんがサヨちゃんに指導してる姿とか、微笑ましいことこの上ない……!
連載再開する日があれば絶対に書きます!

・島主殿の思惑
カージュへカチコミした時に尽力してくれた島主、ツキシマ・ミツルさん。
この人もおもしれー男なんですよねぇ。開国主義なのですが、カージュの力と島主の権限が逆転している状態で物事がうまく進まずやきもきしていたところに、ノア様がやってきました。思想に囚われない者同士、気が合うみたいです。ミツルさんの曲者具合もまた書きたい!



コンテストの結果はまず来年2月に中間選考の発表がある予定です。
レーベルさんが独自で開催している富士見ノベル大賞の傾向を見ていると、選考基準がとても厳しい印象を受けます。編集部さんが求めている作品が書けたかどうかの答え合わせ、恐ろしいですが楽しみです。震えながら結果を待ちたいと思います……!

最後の最後までお付き合いいただきありがとうございました!
あとは天命を待つのみ!(*˘-˘人)゚.:。+゚
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

【完結】わたしはお飾りの妻らしい。  〜16歳で継母になりました〜

たろ
恋愛
結婚して半年。 わたしはこの家には必要がない。 政略結婚。 愛は何処にもない。 要らないわたしを家から追い出したくて無理矢理結婚させたお義母様。 お義母様のご機嫌を悪くさせたくなくて、わたしを嫁に出したお父様。 とりあえず「嫁」という立場が欲しかった旦那様。 そうしてわたしは旦那様の「嫁」になった。 旦那様には愛する人がいる。 わたしはお飾りの妻。 せっかくのんびり暮らすのだから、好きなことだけさせてもらいますね。

殿下には既に奥様がいらっしゃる様なので私は消える事にします

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のアナスタシアは、毒を盛られて3年間眠り続けていた。そして3年後目を覚ますと、婚約者で王太子のルイスは親友のマルモットと結婚していた。さらに自分を毒殺した犯人は、家族以上に信頼していた、専属メイドのリーナだと聞かされる。 真実を知ったアナスタシアは、深いショックを受ける。追い打ちをかける様に、家族からは役立たずと罵られ、ルイスからは側室として迎える準備をしていると告げられた。 そして輿入れ前日、マルモットから恐ろしい真実を聞かされたアナスタシアは、生きる希望を失い、着の身着のまま屋敷から逃げ出したのだが… 7万文字くらいのお話です。 よろしくお願いいたしますm(__)m

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

側室は…私に子ができない場合のみだったのでは?

ヘロディア
恋愛
王子の妻である主人公。夫を誰よりも深く愛していた。子供もできて円満な家庭だったが、ある日王子は側室を持ちたいと言い出し…

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました

海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」 「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」 「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」 貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・? 何故、私を愛するふりをするのですか? [登場人物] セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。  × ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。 リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。 アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

処理中です...