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探偵クライマックス~こうして冤罪は作られた~
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「犯人は貴方です」
そう探偵は断言して私に指を指した。決して逃がさないとばかりに双眸が睨みつけてくる。その揺るぎない自信はどこから来るのか。
あと人に指を指すな。
「何の根拠があってそんなことを言うのですか?い、言いがかりは止めて下さい」
何でここでどもるのか。怪しまれてしまうじゃないか。
「佐藤さんが殺された日、アリバイが無いのは貴方だけなんですよ」
「自宅にいたと言っているでしょう」
「それを証明してくれる人はいますか?」
「そ…れは…」
言い淀んでしまう。一人暮らしで況して深夜だ。証明してくれる人なんていようはずがない。他の容疑者はこの分だとアリバイは立証されているのだろう。
「こ、殺す動機が無い」
「佐藤さんが亡くなる数日前貴方と言い争う声を聞いた人がいるんですよ。かなり声を荒げていたそうです」
「声を荒げるなんて大げさな」
「言い争ったことは否定しないんですね」
淡々と退路を防ぎ探偵は私を追い詰めていく。この探偵は加虐趣味に違いない。獲物を狩る肉食獣のように眼はギラギラしていた。
「仕事のことで意見が衝突したのは認めます。しかしそんなことで」
「ははは。人は簡単に人を殺せる。それこそ些末な事ででもね」
「そ…そんなに言うのなら証拠は!勿論あるんでしょうね?ここまで人を貶めて犯人に仕立て上げようとするぐらいなのだから!!」
何処の三文芝居の犯人役だ。苦し紛れに言った台詞はいかにも犯人臭い。
「貶めるだの仕立て上げるだの人聞きの悪い。」
私が犯人じゃ無いのは私自身がよく分かっている。しかし状況だけ見れば私を犯人にした方が収まりが良いのだろう。探偵は私を犯人と見なして都合の良い証拠で外堀を埋めているのだ。
「証拠ならあるんですよ。佐藤さんが必死に残してくれていました」
「?何を訳の分からないことを」
「佐藤さん右手にはボタンが確りと握られていました。金色の変わったデザインのボタンでした。」
ボタン?そういえば上着の袖のボタンが無くなって別のボタンを付けた事がある。あれはいつだった?
「これ。貴方のものでしょう?」
探偵はポケットからボタンを取り出し私に見せた。確かに私の上着のボタンに酷似している。口ぶりから私の物だという裏は取れているのだろう。
「違う…私じゃない」
「悪足掻きもいい加減にしてください」
長い溜息を吐いて苛立ち気味に探偵は言った。
「違う。違う。私は殺っていない!」
私は首を何度も左右に振り尚も言い募った。そんな私に探偵は冷たい視線を向ける。
「誰かに嵌められたんだ!私じゃない!!」
「誰かとは誰です?」
「それは……」
真犯人など私に分かるはずが無い。
「詳しくは警察で。弁明があるならそこですると良い」
最後は警察に丸投げするのか。
隣室で待機していたであろう警察官が入ってくるなり私に手錠をかけた。
結論ありきで私を犯人に仕立て上げた探偵より、弁護士を雇って警察と遣り取りをした方がまだマシかもしれない。
そんなことを考えつつ私は警察官と共にパトカーに乗った。
佐藤さんを殺した真犯人は分からないけれど、私を嵌めた人物は今ならハッキリ言える。
『探偵が私を嵌めたんだ』
そう探偵は断言して私に指を指した。決して逃がさないとばかりに双眸が睨みつけてくる。その揺るぎない自信はどこから来るのか。
あと人に指を指すな。
「何の根拠があってそんなことを言うのですか?い、言いがかりは止めて下さい」
何でここでどもるのか。怪しまれてしまうじゃないか。
「佐藤さんが殺された日、アリバイが無いのは貴方だけなんですよ」
「自宅にいたと言っているでしょう」
「それを証明してくれる人はいますか?」
「そ…れは…」
言い淀んでしまう。一人暮らしで況して深夜だ。証明してくれる人なんていようはずがない。他の容疑者はこの分だとアリバイは立証されているのだろう。
「こ、殺す動機が無い」
「佐藤さんが亡くなる数日前貴方と言い争う声を聞いた人がいるんですよ。かなり声を荒げていたそうです」
「声を荒げるなんて大げさな」
「言い争ったことは否定しないんですね」
淡々と退路を防ぎ探偵は私を追い詰めていく。この探偵は加虐趣味に違いない。獲物を狩る肉食獣のように眼はギラギラしていた。
「仕事のことで意見が衝突したのは認めます。しかしそんなことで」
「ははは。人は簡単に人を殺せる。それこそ些末な事ででもね」
「そ…そんなに言うのなら証拠は!勿論あるんでしょうね?ここまで人を貶めて犯人に仕立て上げようとするぐらいなのだから!!」
何処の三文芝居の犯人役だ。苦し紛れに言った台詞はいかにも犯人臭い。
「貶めるだの仕立て上げるだの人聞きの悪い。」
私が犯人じゃ無いのは私自身がよく分かっている。しかし状況だけ見れば私を犯人にした方が収まりが良いのだろう。探偵は私を犯人と見なして都合の良い証拠で外堀を埋めているのだ。
「証拠ならあるんですよ。佐藤さんが必死に残してくれていました」
「?何を訳の分からないことを」
「佐藤さん右手にはボタンが確りと握られていました。金色の変わったデザインのボタンでした。」
ボタン?そういえば上着の袖のボタンが無くなって別のボタンを付けた事がある。あれはいつだった?
「これ。貴方のものでしょう?」
探偵はポケットからボタンを取り出し私に見せた。確かに私の上着のボタンに酷似している。口ぶりから私の物だという裏は取れているのだろう。
「違う…私じゃない」
「悪足掻きもいい加減にしてください」
長い溜息を吐いて苛立ち気味に探偵は言った。
「違う。違う。私は殺っていない!」
私は首を何度も左右に振り尚も言い募った。そんな私に探偵は冷たい視線を向ける。
「誰かに嵌められたんだ!私じゃない!!」
「誰かとは誰です?」
「それは……」
真犯人など私に分かるはずが無い。
「詳しくは警察で。弁明があるならそこですると良い」
最後は警察に丸投げするのか。
隣室で待機していたであろう警察官が入ってくるなり私に手錠をかけた。
結論ありきで私を犯人に仕立て上げた探偵より、弁護士を雇って警察と遣り取りをした方がまだマシかもしれない。
そんなことを考えつつ私は警察官と共にパトカーに乗った。
佐藤さんを殺した真犯人は分からないけれど、私を嵌めた人物は今ならハッキリ言える。
『探偵が私を嵌めたんだ』
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