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4.コロッケ1つ
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「まあね。母子家庭だからね」
「それがさ、あたしのお母さん、最近恋してるみたいなんだよね」
理央は続けてそう言った。
「あんたのお母さん、きれいだもんな」
「いや、良いんだけどさ、あたしが失恋して落ち込んでるときに、ママが色気づいてるの見るの辛くない? なんか夜遅くに帰ってきた後、幸せそうにスマホを握りしめて笑ってるんだよ?」
「え、超乙女じゃん」
理央の一途さはそこから来ているのかと雛子は妙に納得する。
「羨ましくってさ!」
「でしょうね」
「あれやりたいよ! あたしもスマホ握りしめて、『あ~幸せ!!』って感じをかみしめたくない?」
「分かるよ」
「雛子、ちょっと今日、イケメンなライン送ってきてよ。バイト終わりに確認して、嬉しくなるようなやつ」
「無茶ぶりがすごいな」
そんな話をしながら、二人はコロッケを食べ終えて、帰路につく。
「一回やってみて」
「分かった」
どんなラインを送ろうかと雛子は思案を始めた。
さばさばした性格と男っぽい口調のせいか、雛子はよく女子から頼られることがあった。以前には一度も話したことのない隣のクラスの女子から告白されたこともある。
ショートヘアではあるものの、決してボーイッシュというわけではないのだが、なんとなくそういう役回りを求められるようになっていた。
「じゃあ、またあとでね」
理央はバス停のベンチに座ると、期待に満ちた表情で手を振った。
「おう」
バイト終わりに確認して嬉しくなるようなラインなど思いつきそうもない。
というか、それは受け手の問題だろう。
彼氏からラインが来れば、どんな内容でもうれしいだろうし、友だちから送られてきたラインではそうときめけるものではない。
かなりの無理難題だが、雛子は理央の無茶ぶりに付き合うつもりだった。
多分、明日から草薙の代わりをしてと言われても、とりあえずは協力してみたはずだ。
それは二人の間柄では当たり前のことで、それに理由なんかないのだが、誰かからなぜ?と聞かれれば、恐らく雛子は理央と出会ったときのことを思い出しただろう。
「それがさ、あたしのお母さん、最近恋してるみたいなんだよね」
理央は続けてそう言った。
「あんたのお母さん、きれいだもんな」
「いや、良いんだけどさ、あたしが失恋して落ち込んでるときに、ママが色気づいてるの見るの辛くない? なんか夜遅くに帰ってきた後、幸せそうにスマホを握りしめて笑ってるんだよ?」
「え、超乙女じゃん」
理央の一途さはそこから来ているのかと雛子は妙に納得する。
「羨ましくってさ!」
「でしょうね」
「あれやりたいよ! あたしもスマホ握りしめて、『あ~幸せ!!』って感じをかみしめたくない?」
「分かるよ」
「雛子、ちょっと今日、イケメンなライン送ってきてよ。バイト終わりに確認して、嬉しくなるようなやつ」
「無茶ぶりがすごいな」
そんな話をしながら、二人はコロッケを食べ終えて、帰路につく。
「一回やってみて」
「分かった」
どんなラインを送ろうかと雛子は思案を始めた。
さばさばした性格と男っぽい口調のせいか、雛子はよく女子から頼られることがあった。以前には一度も話したことのない隣のクラスの女子から告白されたこともある。
ショートヘアではあるものの、決してボーイッシュというわけではないのだが、なんとなくそういう役回りを求められるようになっていた。
「じゃあ、またあとでね」
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「おう」
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というか、それは受け手の問題だろう。
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かなりの無理難題だが、雛子は理央の無茶ぶりに付き合うつもりだった。
多分、明日から草薙の代わりをしてと言われても、とりあえずは協力してみたはずだ。
それは二人の間柄では当たり前のことで、それに理由なんかないのだが、誰かからなぜ?と聞かれれば、恐らく雛子は理央と出会ったときのことを思い出しただろう。
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