絵心向上への道

よん

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美少女

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「エビス、どこだよ? 今すぐ出てこい」
「……どうした? せっかく一人ファッションショーを楽しんでいたのに」
「勝手に嫁の服着て遊ぶな。また僕が怒られるじゃないか」
「情けない男よのう。そんな弱腰だから嫁に離縁されるのだ」
「まだ別れてねえ! よしんばそうだとして、そもそもの原因はおまえにあるだろ!」
「だから私に責任取れってか? 私はおまえと付き合う気など1µmマイクロメートルもないから」
「また、ルビ泣かせの単位を引っ張り出してきたな」
「そこのµm! ムラムラ発情しない!」
「どこ指さして言ってんだッ! 勝負だ勝負! お題はさっき出た【美少女】だ。これ描くのに5時間もかかったんだぞ」
「ほう、なかなかの力作のようだな。……にしても、おまえは時間の使い方を知らん」
「どういう意味だ?」
「その5時間があればP○APの動画を264回視聴できたのに」
「ピーク過ぎた今、2回で飽きるわ! 御託ごたく並べてないで、コレ見てとっととここから消えやがれッ!」

 パソコンのモニターを覆っていたバンダナを取って、僕は自身最高傑作をエビスに披露した。




















































    



 
「……だっちゅーの?」
「違うわッ! それって女子十○楽坊以上に古いネタだぞ」
「あ、わかった。ボディビルダーのモスト・マスキュラー」
「マッチョポーズでもねえッ! 少女が照れくさそうにはにかんでる図だ!」
「はにかむどころか、目が死んだ魚のようだぞ。それより、このキモい頭身はどうにかならんのか?」
「昔から体は苦手なんだよ。特に人間がな」
「恰も得意なものがあるような言い草だな」
「だから"特に"って言ったんだ!」
「じゃ、どうしてわざわざ体を描いた?」
「おまえが前回、『生首』ってケチつけたからだ」
「体があろうがなかろうがどっちもキモい。キモさのジャンルは違うが」

 クソ! またダメだったか……。

「まあ、顔だけなら80点はやれるかな」
「えッ! は、80点もくれんのかッ? じゃあ合格でもいいじゃん?」
「うぬぼれるな。8億点満点の80点だぞ」
「それって小数点第何位まであるんだ? 殆ど0点じゃねーか!」
「だが、ゼロではない。少なくとも、さっきの"連結浮遊ハゲキッス"より遥かにマシだ」
「もしかしてソレ、遠回しに褒めてるのか?」
「……べ、別にアンタのために褒めたんじゃ」「ツンデレやめぇ――ッ! おまえがキモい! キモさレベル今日イチだッ!」
 
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