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第ニの「たまたま」

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パソコンを使っていると定期的にOSの更新をしなければならない。パソコンの容量がそれほど無ければ短時間で済むが、大容量だとそうはいかない。特に仕事で使っているパソコンなんかは一度更新を許可してしまうとそこから10~15分ぐらいはパソコンが使えなくなってしまう。

私が仕事で使っているパソコンも同様で、更新中は作業が出来ないのでその時間に休憩を取ったり、トイレに行ったりしている。この日は朝からパソコンの動作が非常に重く、そういう時は大体後から要更新の通知が画面に表示される。朝から係長の一件、休憩室の一件と次々に「たまたま」な出来事に見舞われていたので何となく嫌な予感はしていた。すると、案の定昼過ぎにパソコン画面上に要更新の通知が表示された。その時点で休憩室にはもう既に例の彼女が入っていたし、係長がダブルチェックを終え、修正を依頼された案件が溜まっていたのでどうやって更新をしようか非常に悩んだ。

その結果、修正作業を全て終わらせて上がる15分前にトイレ休憩を兼ねて更新することにした。「15分もあれば終わるだろ」何の疑いもなく私はそう思っていた。しかし、それは大変な誤算だった。上がる5分前になっても更新は一向に終わらない。しかも画面には「現在20%完了」などと表示されている。「ゲッ……これ時間内に終わらないやつだ……」と、私は悟った。

私の会社はパソコン上のタイムカードアプリを使って出退勤をすることになっている。だが、パソコンが使えないので打刻入力も、電源オフすら出来ない。総務関係の仕事も担っている所長に相談すると「こっちでやっておくから上がっていいよ」とのこと。安心して席に戻ると、私と所長の会話を聞いていた近くに座っている先輩女性社員が「私がパソコン切っておくので大丈夫ですよ!」と声を掛けてくれた。所長と彼女の心遣いに感謝しながら、私は会社を後にした。「やっと終わった……!」妙な達成感を覚えながら電車に乗り込んだのだった。しかし、話はこれで終わらない。
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