161 / 1,060
第五章 うつろう心
10話
しおりを挟む
今日の料理はとてもカジュアルなものだった。
コース料理というよりは、立食パーティーて食べるようなものが数多く並ぶ。
一品一品が少量で、どれも一口で食べきれるようなもの。中には最初からスプーンに盛り付けられているものもある。
その中でスープだけがとても温かく、優しい味が身体に染み渡るようだった。
先日栞さんと一緒に作ったオードブルみたいな感じ。
クラッカーにトッピングしてあるような簡単なものではないけれど、今の私にはとても食べやすい料理に変わりはない。
「美味しい」と口にすると、秋斗さんは不服そうな顔で「そうだね」と答えた。
「……どうかしましたか?」
「いや、須藤さんに負けた気がするだけ」
「……どのあたりで勝負されていたんでしょう?」
「俺からのプレゼントよりも、須藤さんの料理を嬉しそうに喜ぶあたり?」
「っ――髪飾りもきれいでしたよっ!?」
言ったところでフォローになっているのかは怪しい限り。
「それにっ、須藤さんを呼んでくださったのも秋斗さんですし、このお料理もいわば秋斗さんからのプレゼントなわけで――」
フォローになりそうな言葉を必死で並べ立てると、「ぷっ」と秋斗さんが吹き出した。
「秋斗さん、それはひどいです……」
「別に困らせたいわけじゃないんだけど、つい……。コロコロ変わる表情が見たくなってだめだな」
人を困らせて喜ぶなんてなんて悪趣味な……とは思うけど、本当に機嫌が悪いわけでではなくて良かった。
すべての料理を食べ終え、ミニバッグからピルケースを取り出すと、
「このあと何かしたいことある?」
時計を見ればまだ一時半。
三時くらいまではお邪魔していてもいいだろうか。
ピルケースを手に取ったとき、ほかのものも指先に触れた。それは、今朝蒼兄からもらった封筒。
学校のかばんからピルケースを移すとき、一緒に入れてしまったみたい。
「――写真。……秋斗さんのアルバムが見たいです」
「アルバムかぁ……。こっちに持ってきてたかな?」
言いながら席を立ち、秋斗さんはリビングの隣にある部屋のドアを開けた。
薬を飲み終え部屋の入り口まで行くと、そこが寝室であることを知る。
部屋は全体的に青でまとめられていた。
青といっても灰色と青が混ざったような色。言葉にするならブルーグレーとかスモーキーブルー。
部屋の中央には見たこともない大きなベッドが陣取っており、リビング側の壁にはラッセンの青い絵が飾られていた。
どこまでも青いお部屋――
秋斗さんは床から天井まである本棚の前に座っていた。
おいでおいで、と手招きをされて部屋に足を踏み入れる。
「さすがに幼少期の写真はないけど」
秋斗さんはひとつのアルバムをベッドの上に開いてくれた。
「これは中学のとき」
秋斗さんは中学生から大学生くらいまでの写真を順を追って見せてくれた。途中、フローリングの上だと冷えるから、とベッドへ上がるように勧められる。
「……お邪魔します」
ベッドの上に上がってみて再度思う。大きいなぁ……と。
スプリングは硬めのものを使っていた。
「秋斗さん、これ何サイズですか?」
「キングサイズ。安心してゆっくり寝たいからね」
……秋斗さんはそんなに寝相が悪いのだろうか。
私は寝ているときにあまり寝返りを打たないらしく、ベッドから落ちた経験もない。
一度でもベッドから落ちたことのある人は、シングルやダブルくらいじゃ心配なのかな?
そんなことを頭の片隅で考えながら、アルバムを一枚一枚めくっていく。
すると、先ほどと同じ着信音が鳴った。
秋斗さんはディスプレイを見て、「はぁ」とため息をつく。
「お仕事ですか? でしたら私帰ります」
「違うから気にしないでね」
秋斗さんは電源を落とすと、ポイ、とベッドの上に携帯を放った。
アルバムに写っている写真はどれも学内のものばかり。私服のものはほとんどなかった。
「どうかした?」
「え?」
「首傾げてる」
「あ……えと、私服姿の写真はないなぁ、と思ったのと――いえ、それだけです」
口が滑りそうになったのを寸でのところで止められて良かった。
「今の、絶対にその先があったよね?」
私をベッドの上に上がらせたのに、秋斗さんは床に座ったまま。
ゆえに、珍しくも秋斗さんに見上げられる位置関係だった。
「ないですよ。全然ないです」
「挙動不審だよ」
秋斗さんは片膝を抱えてクスクスと笑う。
だって……女の子とふたりで写っている写真が一枚もないんだもの。そんなこと、「どうしてですか?」なんて訊けない。
どんな人と付き合ってきたのか、参考までに知りたかったんだけどな……。
あとは、純粋に学生時代の秋斗さんを見たかっただけ。
「まぁ、なんとなく予想はできるんだけど……。翠葉ちゃん、意外と観察力あるほうだし」
秋斗さんは苦笑しながら視線を合わせてくる。
「彼女らしき人と写ってる写真がない、とかその手のことでしょ?」
「……正解です」
答えると、嬉しそうに笑ってベッドに腰掛けた。
「それは、俺が付き合ってきた過去の女たちに嫉妬してくれた、ってことでいいのかな?」
「……嫉妬? ……それは違うかな? ただ、参考までに知りたかったというか……」
「なんだ、つまらない。『Yes』だったら嬉しかったのに」
嫉妬をされると嬉しいの……?
「嫉妬」という言葉に対する私のイメージは、「醜い」なのに……。
秋斗さんの頭の中ではどういうイメージなんだろう。
「俺、学内の人間とは付き合ったことないんだ」
「え……?」
「因みに、家に女の子を上げたのは湊ちゃんと栞ちゃん、母親意外だと翠葉ちゃんが初めてだよ」
「そうなんですか?」
「そう。そのくらい、俺にとって翠葉ちゃんは特別なんだけど?」
「けど?」と疑問文で終わられても、なんと答えたらいいのかわからない。
視線を一度手元のアルバムに落とし、ほんのちょっとやり過ごそうと思った。けれども沈黙が破られることはなく、そっと顔を上げると、すぐ近くに秋斗さんの顔があった。
トゥルルルル、トゥルルルル――
突如聞こえてきたのは固定電話と思われるコール音。
秋斗さんは、「はぁ……」とため息をついて立ち上がり、寝室から出ていった。
「……びっくりした――」
またキスをされるのかと思った。
一気に力が抜けて、パタ、とベッドに横になる。
「いつも不意打ち……」
これじゃ心臓がいくつあっても足りないよ……。
……あれ? これはいつも私が蒼兄に言われてる言葉だよね?
私が倒れるのもいつも不意打ち――なのかな?
ぼーっとシーリングライトを見て、コロン、と転がりなおしてアルバムを見る。
十二歳から二十歳過ぎまでの写真。どれを見ても、「秋斗さんだな」と思う。
顔はほとんど変わらない。年を重ねるにつれ幼さが抜けるだけ。
体型もさほど変わらなくて変化らしい変化は身長のみ。高校に入ったくらいからぐっと伸びている。
部活の写真もあった。
袴姿を見て咄嗟に思い出すのは司先輩。
頭の中で秋斗さんと司先輩を並べてみるものの、やっぱり純和風の顔立ちだからか、司先輩のほうがしっくりくる気がする。
写真を見ていて、目が好きだな、と思った。
的を見据える真っ直ぐな眼差しが印象的だ。鋭すぎるそれをきれいだと思う。
球技大会ではバスケやバレーに出ていたことが多いみたい。
高校の最後のほうは蒼兄が一緒に写っているものも何枚かあった。
写真に写るのは苦手だけど、何年かしてこうやって見られるのはいいな……。
コース料理というよりは、立食パーティーて食べるようなものが数多く並ぶ。
一品一品が少量で、どれも一口で食べきれるようなもの。中には最初からスプーンに盛り付けられているものもある。
その中でスープだけがとても温かく、優しい味が身体に染み渡るようだった。
先日栞さんと一緒に作ったオードブルみたいな感じ。
クラッカーにトッピングしてあるような簡単なものではないけれど、今の私にはとても食べやすい料理に変わりはない。
「美味しい」と口にすると、秋斗さんは不服そうな顔で「そうだね」と答えた。
「……どうかしましたか?」
「いや、須藤さんに負けた気がするだけ」
「……どのあたりで勝負されていたんでしょう?」
「俺からのプレゼントよりも、須藤さんの料理を嬉しそうに喜ぶあたり?」
「っ――髪飾りもきれいでしたよっ!?」
言ったところでフォローになっているのかは怪しい限り。
「それにっ、須藤さんを呼んでくださったのも秋斗さんですし、このお料理もいわば秋斗さんからのプレゼントなわけで――」
フォローになりそうな言葉を必死で並べ立てると、「ぷっ」と秋斗さんが吹き出した。
「秋斗さん、それはひどいです……」
「別に困らせたいわけじゃないんだけど、つい……。コロコロ変わる表情が見たくなってだめだな」
人を困らせて喜ぶなんてなんて悪趣味な……とは思うけど、本当に機嫌が悪いわけでではなくて良かった。
すべての料理を食べ終え、ミニバッグからピルケースを取り出すと、
「このあと何かしたいことある?」
時計を見ればまだ一時半。
三時くらいまではお邪魔していてもいいだろうか。
ピルケースを手に取ったとき、ほかのものも指先に触れた。それは、今朝蒼兄からもらった封筒。
学校のかばんからピルケースを移すとき、一緒に入れてしまったみたい。
「――写真。……秋斗さんのアルバムが見たいです」
「アルバムかぁ……。こっちに持ってきてたかな?」
言いながら席を立ち、秋斗さんはリビングの隣にある部屋のドアを開けた。
薬を飲み終え部屋の入り口まで行くと、そこが寝室であることを知る。
部屋は全体的に青でまとめられていた。
青といっても灰色と青が混ざったような色。言葉にするならブルーグレーとかスモーキーブルー。
部屋の中央には見たこともない大きなベッドが陣取っており、リビング側の壁にはラッセンの青い絵が飾られていた。
どこまでも青いお部屋――
秋斗さんは床から天井まである本棚の前に座っていた。
おいでおいで、と手招きをされて部屋に足を踏み入れる。
「さすがに幼少期の写真はないけど」
秋斗さんはひとつのアルバムをベッドの上に開いてくれた。
「これは中学のとき」
秋斗さんは中学生から大学生くらいまでの写真を順を追って見せてくれた。途中、フローリングの上だと冷えるから、とベッドへ上がるように勧められる。
「……お邪魔します」
ベッドの上に上がってみて再度思う。大きいなぁ……と。
スプリングは硬めのものを使っていた。
「秋斗さん、これ何サイズですか?」
「キングサイズ。安心してゆっくり寝たいからね」
……秋斗さんはそんなに寝相が悪いのだろうか。
私は寝ているときにあまり寝返りを打たないらしく、ベッドから落ちた経験もない。
一度でもベッドから落ちたことのある人は、シングルやダブルくらいじゃ心配なのかな?
そんなことを頭の片隅で考えながら、アルバムを一枚一枚めくっていく。
すると、先ほどと同じ着信音が鳴った。
秋斗さんはディスプレイを見て、「はぁ」とため息をつく。
「お仕事ですか? でしたら私帰ります」
「違うから気にしないでね」
秋斗さんは電源を落とすと、ポイ、とベッドの上に携帯を放った。
アルバムに写っている写真はどれも学内のものばかり。私服のものはほとんどなかった。
「どうかした?」
「え?」
「首傾げてる」
「あ……えと、私服姿の写真はないなぁ、と思ったのと――いえ、それだけです」
口が滑りそうになったのを寸でのところで止められて良かった。
「今の、絶対にその先があったよね?」
私をベッドの上に上がらせたのに、秋斗さんは床に座ったまま。
ゆえに、珍しくも秋斗さんに見上げられる位置関係だった。
「ないですよ。全然ないです」
「挙動不審だよ」
秋斗さんは片膝を抱えてクスクスと笑う。
だって……女の子とふたりで写っている写真が一枚もないんだもの。そんなこと、「どうしてですか?」なんて訊けない。
どんな人と付き合ってきたのか、参考までに知りたかったんだけどな……。
あとは、純粋に学生時代の秋斗さんを見たかっただけ。
「まぁ、なんとなく予想はできるんだけど……。翠葉ちゃん、意外と観察力あるほうだし」
秋斗さんは苦笑しながら視線を合わせてくる。
「彼女らしき人と写ってる写真がない、とかその手のことでしょ?」
「……正解です」
答えると、嬉しそうに笑ってベッドに腰掛けた。
「それは、俺が付き合ってきた過去の女たちに嫉妬してくれた、ってことでいいのかな?」
「……嫉妬? ……それは違うかな? ただ、参考までに知りたかったというか……」
「なんだ、つまらない。『Yes』だったら嬉しかったのに」
嫉妬をされると嬉しいの……?
「嫉妬」という言葉に対する私のイメージは、「醜い」なのに……。
秋斗さんの頭の中ではどういうイメージなんだろう。
「俺、学内の人間とは付き合ったことないんだ」
「え……?」
「因みに、家に女の子を上げたのは湊ちゃんと栞ちゃん、母親意外だと翠葉ちゃんが初めてだよ」
「そうなんですか?」
「そう。そのくらい、俺にとって翠葉ちゃんは特別なんだけど?」
「けど?」と疑問文で終わられても、なんと答えたらいいのかわからない。
視線を一度手元のアルバムに落とし、ほんのちょっとやり過ごそうと思った。けれども沈黙が破られることはなく、そっと顔を上げると、すぐ近くに秋斗さんの顔があった。
トゥルルルル、トゥルルルル――
突如聞こえてきたのは固定電話と思われるコール音。
秋斗さんは、「はぁ……」とため息をついて立ち上がり、寝室から出ていった。
「……びっくりした――」
またキスをされるのかと思った。
一気に力が抜けて、パタ、とベッドに横になる。
「いつも不意打ち……」
これじゃ心臓がいくつあっても足りないよ……。
……あれ? これはいつも私が蒼兄に言われてる言葉だよね?
私が倒れるのもいつも不意打ち――なのかな?
ぼーっとシーリングライトを見て、コロン、と転がりなおしてアルバムを見る。
十二歳から二十歳過ぎまでの写真。どれを見ても、「秋斗さんだな」と思う。
顔はほとんど変わらない。年を重ねるにつれ幼さが抜けるだけ。
体型もさほど変わらなくて変化らしい変化は身長のみ。高校に入ったくらいからぐっと伸びている。
部活の写真もあった。
袴姿を見て咄嗟に思い出すのは司先輩。
頭の中で秋斗さんと司先輩を並べてみるものの、やっぱり純和風の顔立ちだからか、司先輩のほうがしっくりくる気がする。
写真を見ていて、目が好きだな、と思った。
的を見据える真っ直ぐな眼差しが印象的だ。鋭すぎるそれをきれいだと思う。
球技大会ではバスケやバレーに出ていたことが多いみたい。
高校の最後のほうは蒼兄が一緒に写っているものも何枚かあった。
写真に写るのは苦手だけど、何年かしてこうやって見られるのはいいな……。
2
お気に入りに追加
362
あなたにおすすめの小説
光のもとで2
葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、
新たな気持ちで新学期を迎える。
好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。
少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。
それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。
この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。
何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい――
(10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
どうしてもモテない俺に天使が降りてきた件について
塀流 通留
青春
ラブコメな青春に憧れる高校生――茂手太陽(もて たいよう)。
好きな女の子と過ごす楽しい青春を送るため、彼はひたすら努力を繰り返したのだが――モテなかった。
それはもうモテなかった。
何をどうやってもモテなかった。
呪われてるんじゃないかというくらいモテなかった。
そんな青春負け組説濃厚な彼の元に、ボクッ娘美少女天使が現れて――
モテない高校生とボクッ娘天使が送る青春ラブコメ……に見せかけた何か!?
最後の最後のどんでん返しであなたは知るだろう。
これはラブコメじゃない!――と
<追記>
本作品は私がデビュー前に書いた新人賞投稿策を改訂したものです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる