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August
海水浴 Side 翠葉 01-01話
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インターハイから帰ってきた週の土曜日、蒼兄と唯兄に買い物へ行こうと誘われた。
「お買い物……?」
「翠葉、水着持ってないだろ? 海水浴は来週の土曜日だからさ」
「あ、うん……」
まだ、「行く」とはっきり返事をしたわけではない。でも、まさか行くこと自体を悩んでいるとは思われていないのだろう。
「リィ……? なんかある? 生理はかぶってないでしょ?」
唯兄の言葉にコクリと頷く。そして、自然と右手が首元へ伸びていた。
「……もしかして、傷跡気にしてる?」
唯兄に訊かれて、再度コクリと頷いた。
「水着を着るのは抵抗があって……」
俯くと、唯兄にわしわしと頭を撫でられる。
「リィ、大丈夫。傷跡が見えないのも売ってるから」
「え……?」
「ちょい待って」
唯兄はボディバッグから取り出したタブレットの電源を入れると、何かを検索し始めた。そして、目的のサイトを表示させて私の方へと向けてくれる。
「水着の上にラッシュガード着ちゃえば問題ないって」
ラッシュガードとはなんだろう。
見せられたサイトに目を通していくと、紫外線対策として水着の上に着るパーカやトレンカなどが売っているらしい。画面に映し出されるモデルさんは必要最低限の露出しかしていない。
「こういうパーカを着たまま海に入る人、今多いみたいだよ。ケガの予防にもなるし紫外線も防げる。さらにはチャックを上まで上げちゃえば鎖骨のとこにある傷もカバーできるよ」
「翠葉、行こう?」
兄ふたりに誘われ、私は引っ張られるままに家を出た。
出かけた場所は藤倉の駅ビル。催事スペースに水着売り場が特設会場として設けられているらしい。
男子の水着売り場と女子の水着売り場は右左くっきりと分かれていた。けれども、どちらのスペースにも男女の姿が見受けられる。
先に蒼兄たちの水着を見て回ると、
「男の海パンなんてなんでもいいよ。適当に買ってリィの選ぼう」
「賛成」
唯兄と蒼兄はぱっと目についたものを手に取り十分とかからずに水着を選ぶと、会計まで済ませてしまった。
女の子の水着売り場は同性同士で買い物に来ている人もいれば、恋人と来ているのかな、と思われる人たちもいる。バレンタインのときとはちょっと違う雰囲気。
「上にラッシュガード着るんだったら中はビキニでもいいんじゃない?」
「そうだなぁ……」
唯兄と蒼兄の会話に目を見開く。
「無理っ。ワンピースタイプがいいっ」
「リィ、スタイルいいんだからもったいないよ」
「スタイルなんて良くないっ。スタイルがいいっていうのは桃華さんや飛鳥ちゃんみたいなことを言うんだよっ? 私はただ細っこいだけだもの」
「ま、そうだなぁ……もうちょっと肉付きよくてもいいと思うけど」
言いながら、唯兄に脇腹をつつかれた。
「ビキニの上にパーカ着て、短パンはいたら洋服っぽい感じになるけど?」
蒼兄の提案を頭の中で組み立てるも、足の露出は免れない感じだ。しかし、それはワンピースタイプでも変わらないだろう。
頭の中で想像していると、真正面に並べて吊るされているトレンカが目に入った。
「……トレンカもはいていい?」
トレンカを右手に掴み兄ふたりを見上げる。と、
「えー!? せっかくの海なのにっ!? そこまで全部隠すっ!?」
そう言ったのは唯兄。蒼兄は、
「ま、焼けて痛い思いすることを考えたらトレンカはいちゃったほうがいいのかもな」
私は早々にパーカとトレンカを選び、ビキニを物色している唯兄たちから少し離れ、上がタンクトップになっている水着を手に取り、それに合わせた短パンを探した。
「お買い物……?」
「翠葉、水着持ってないだろ? 海水浴は来週の土曜日だからさ」
「あ、うん……」
まだ、「行く」とはっきり返事をしたわけではない。でも、まさか行くこと自体を悩んでいるとは思われていないのだろう。
「リィ……? なんかある? 生理はかぶってないでしょ?」
唯兄の言葉にコクリと頷く。そして、自然と右手が首元へ伸びていた。
「……もしかして、傷跡気にしてる?」
唯兄に訊かれて、再度コクリと頷いた。
「水着を着るのは抵抗があって……」
俯くと、唯兄にわしわしと頭を撫でられる。
「リィ、大丈夫。傷跡が見えないのも売ってるから」
「え……?」
「ちょい待って」
唯兄はボディバッグから取り出したタブレットの電源を入れると、何かを検索し始めた。そして、目的のサイトを表示させて私の方へと向けてくれる。
「水着の上にラッシュガード着ちゃえば問題ないって」
ラッシュガードとはなんだろう。
見せられたサイトに目を通していくと、紫外線対策として水着の上に着るパーカやトレンカなどが売っているらしい。画面に映し出されるモデルさんは必要最低限の露出しかしていない。
「こういうパーカを着たまま海に入る人、今多いみたいだよ。ケガの予防にもなるし紫外線も防げる。さらにはチャックを上まで上げちゃえば鎖骨のとこにある傷もカバーできるよ」
「翠葉、行こう?」
兄ふたりに誘われ、私は引っ張られるままに家を出た。
出かけた場所は藤倉の駅ビル。催事スペースに水着売り場が特設会場として設けられているらしい。
男子の水着売り場と女子の水着売り場は右左くっきりと分かれていた。けれども、どちらのスペースにも男女の姿が見受けられる。
先に蒼兄たちの水着を見て回ると、
「男の海パンなんてなんでもいいよ。適当に買ってリィの選ぼう」
「賛成」
唯兄と蒼兄はぱっと目についたものを手に取り十分とかからずに水着を選ぶと、会計まで済ませてしまった。
女の子の水着売り場は同性同士で買い物に来ている人もいれば、恋人と来ているのかな、と思われる人たちもいる。バレンタインのときとはちょっと違う雰囲気。
「上にラッシュガード着るんだったら中はビキニでもいいんじゃない?」
「そうだなぁ……」
唯兄と蒼兄の会話に目を見開く。
「無理っ。ワンピースタイプがいいっ」
「リィ、スタイルいいんだからもったいないよ」
「スタイルなんて良くないっ。スタイルがいいっていうのは桃華さんや飛鳥ちゃんみたいなことを言うんだよっ? 私はただ細っこいだけだもの」
「ま、そうだなぁ……もうちょっと肉付きよくてもいいと思うけど」
言いながら、唯兄に脇腹をつつかれた。
「ビキニの上にパーカ着て、短パンはいたら洋服っぽい感じになるけど?」
蒼兄の提案を頭の中で組み立てるも、足の露出は免れない感じだ。しかし、それはワンピースタイプでも変わらないだろう。
頭の中で想像していると、真正面に並べて吊るされているトレンカが目に入った。
「……トレンカもはいていい?」
トレンカを右手に掴み兄ふたりを見上げる。と、
「えー!? せっかくの海なのにっ!? そこまで全部隠すっ!?」
そう言ったのは唯兄。蒼兄は、
「ま、焼けて痛い思いすることを考えたらトレンカはいちゃったほうがいいのかもな」
私は早々にパーカとトレンカを選び、ビキニを物色している唯兄たちから少し離れ、上がタンクトップになっている水着を手に取り、それに合わせた短パンを探した。
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