上 下
385 / 436
第20章 聖魔大戦編

385話 神能!

しおりを挟む
「ん、ぅ~」

 何だろ、この暖かくて包み込まれるような。
 まるで柔らかな雲の中で微睡んでいるかのような心地よさだわ~。

「……」

 あれ?  何か思ってたの違う。
 目を開けるといつもの天井が広がってると思ってたのに……何故か皆んな眷属達が心配そうな顔で私の事をガン見してるんですけど。

「おはよ」

「っ!  レフィーお嬢様っ!!」

「むぐっ」

 なになに?  シルヴィアさん、いきなり抱き締めて来るなんて……まぁ、割といつも通りだけど、いきなりどうしたの??

「ご無事で、よかったですっ!!」

 し、締め付けられる……!  くっそぉ、この巨乳めっ!!
 と言うか、本当にどう言う状況なの?  ここは……多分ファルニクスの神域だと思うけど。
 そもそも何で私はこんな場所で寝てるんだろ?

「シルヴィア、お嬢様が困惑していますよ」

「も、申し訳ございません。
 私とした事が……」

 グラン、ナイス指摘!
 お陰でやっとシルヴィアの胸から解放されたわ。

「ご主人様っ!」

「お姉様っ!」

 今度はミーシャとアリーか。
 まぁ、2人は左右からヒシッ!  って抱きついて来てるだけだし。
 シルヴィアみたいに正面から顔を抱き込んでるわけじゃ無いからこのままで良いや。

「おはようございます、陛下。
 よくぞご無事で……」

「おはよう、レフィー様。
 身体の調子はどう?」

「ん、問題ない」

 もう体調万全!
 ぐっすり寝たお陰でいつになく気分爽快で、むしろいつもよりも体調が良い。

「ふぅ、何はともあれ、陛下がご無事で何よりです」

「むっ」

 まぁ、グランを始めミリアとリリィーはキャラじゃ無いからわかるけど。

「フィルは、良いの?」

「えっ?  さ、流石に私が陛下に抱きつくわけには……」

「……そう」

 むぅ、アリーみたいにもっとお姉様っ!  って甘えて来ても良いのに。
 今も陛下って呼んで、たまにしか姉上様って呼んでくれないし。
 まぁ、フィル本人がいいって言うのなら別に強制はしないけど。

「ははは……申し訳ありません」

「ん、別に気にしなくていい」

 まぁ、フィルはアルタイル王国の第一王子。
 王族としての教育を受けてるフィルからすれば、紳士として馴れ馴れしく異性に抱きつくってのに抵抗があるだろうし。

「レフィー、おはようございます」

「ファルニクス」

 そう言えば、ここは私の部屋じゃなくてファルニクスの神域だった。

「ファルニクス様、お願いいたします」

「任せてください」

 え?  何の話??
 何でお願いします、だけで通じ合ってんの?

「むぅ……」

 と言うか、シルヴィアとファルニクスっていつの間にそんなに仲良くなってたわけっ!?

「何やら勘違いしてるようですが、私がこれから行うのはレフィーの診察です」

 私の診察?

「昨日の勇者達との戦闘を事を覚えていますか?」

 当然!  クズ勇者共を圧倒したし、王都を星天魔法で消し飛ばしてやった!!
 まぁクソ女神に邪魔されたけど……

「あ」

「思い出したようですね。
 貴女はショウの身体に憑依したアナスタシアに剣で胸を貫かれたのです」

 そうだった。
 対悪魔用にアナスタシアが自身の魔素エネルギーのみで作った剣。

 その剣で貫かれたせいで全然傷が修復しないし、血も止まらないし、魔素は乱されるわで最悪だった。
 おのれアナスタシアめ!  あのクソ女神、次にあったら叩き潰してスクラップにしてやるっ!!

「では、診察を始めますよ。
 胸元を見せてください」

「……変態」

「はいはい、私は変態でロリコンですよ」

「っ!?」

 そ、そんなバカなっ!!
 何事も無かったかのように飄々と受け流しただとっ!?

「問題は無いようですね。
 アナスタシアの魔素のせいで修復に時間はかかりはましたが、レフィーの基準で見れば元々大した傷でも無かったですからね」

 大した事無いって。
 普通に心臓を貫かれてんだけど。

『いやいや、悪魔ちゃんも昨日大した事無いって言ってたからね?』

 む、出たな変態邪神。

『変態邪神っ!?』

 今の診察だってグランとフィルはしっかりと後ろを向いてるのに堂々と覗き見とは良い度胸だな。

『いや、だからね?  私は……』

「邪神様、一応レフィーは病み上がりなので、そのくらいにしていただけますか?」

 ぷぷっ!  怒られてやんの!!
 けどそうか、私とした事がまさか戦いの途中に気絶しちゃうとは……

「う~ん」

 確かに心臓を貫かれて、血もいっぱい出たし。
 アナスタシアの剣の魔素のせいで傷は修復しないし、多少魔素を乱されはしたけど。

 まさか気を失っちゃうなんて想定外だわ。
 ぶっちゃけ、そこまでのダメージじゃ無いと思ってたんだけどなぁ。

『まぁ、実際そこまでのダメージじゃ無かったしね』

「えぇ、そうですね」

「ん?」

 どう言う事?
 思ってたよりもアナスタシアの攻撃のダメージが大きくて意識が飛んだんじゃ無いの?

「レフィー、無事に回復した事と合わせて……神能の獲得おめでとうございます」

「神能……?」


『対象の意識回復を確認、再度通知します』

『ぴろん!
 ユニークスキル・付与者、ユニークスキル・付与魔法が統合進化……成功しました。
 神能・付与ノ神を獲得しました!』

『ぴろん!
 ユニークスキル・迷宮創造、ユニークスキル・創造者。
 固有魔法・滅光魔法、星天魔法、虚無魔法が統合進化……成功しました。
 神能・創滅ノ神を獲得しました!』

『ぴろん!
 個体名ノアール・エル・アルタイルより、ユニークスキル・憤怒者ラース
 個体名リナ・エル・アルタイルよりユニークスキル・色欲者ラストを強奪した事により全ての七つの大罪系スキル獲得を確認』

『ぴろん!
 ユニークスキル・暴食者グラトニー怠惰者スロウス強欲者グリード傲慢者プライド嫉妬者エンヴィー憤怒者ラース色欲者ラストが統一進化……成功しました。
 神能・大罪ノ王を獲得しました!』

『ぴろん!
 神能・付与ノ神によるスキル統合の結果、神能・魔導ノ王を獲得しました!』


「……ふむ」

 何これ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。 しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。 相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。 そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。 無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい

梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。

娘の命を救うために生贄として殺されました・・・でも、娘が蔑ろにされたら地獄からでも参上します

古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
ファンタジー
第11回ネット小説大賞一次選考通過作品。 「愛するアデラの代わりに生贄になってくれ」愛した婚約者の皇太子の口からは思いもしなかった言葉が飛び出してクローディアは絶望の淵に叩き落された。 元々18年前クローディアの義母コニーが祖国ダレル王国に侵攻してきた蛮族を倒すために魔導爆弾の生贄になるのを、クローディアの実の母シャラがその対価に病気のクローディアに高価な薬を与えて命に代えても大切に育てるとの申し出を、信用して自ら生贄となって蛮族を消滅させていたのだ。しかし、その伯爵夫妻には実の娘アデラも生まれてクローディアは肩身の狭い思いで生活していた。唯一の救いは婚約者となった皇太子がクローディアに優しくしてくれたことだった。そんな時に隣国の大国マーマ王国が大軍をもって攻めてきて・・・・ しかし地獄に落とされていたシャラがそのような事を許す訳はなく、「おのれ、コニー!ヘボ国王!もう許さん!」怒り狂ったシャラは・・・ 怒涛の逆襲が始まります!史上最強の「ざまー」が展開。 そして、第二章 幸せに暮らしていたシャラとクローディアを新たな敵が襲います。「娘の幸せを邪魔するやつは許さん❢」 シャラの怒りが爆発して国が次々と制圧されます。 下記の話の1000年前のシャラザール帝国建国記 皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません! https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/129494952 小説家になろう カクヨムでも記載中です

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

処理中です...