上 下
319 / 436
第18章 聖魔大戦・開戦編

319話 凄惨な悪魔公

しおりを挟む
「さて、愚かな人間共よ。
 我らが神にして至高の御方であらせられるレフィー様の御命令により、これよりアレス公国を滅ぼします」

「うふふっ!  喜びなさい!  皆様はレフィー様の最初の贄に選ばれたのですっ!!
 そして私達、七魔公の手によって滅亡できる事を光栄に思い、感謝しなさい」


 公爵位に恥じない貴族然とした爽やかな微笑みを浮かべながら滅ぼすと告げるサタンはまぁいつも通りだな。
 そんでノワールも妖艶に微笑んで私の最初の贄だって笑ってるのはいつも通りだけど……

 後半!
 変わらず妖艶だけど、ゾッとする程に冷たい冷笑!!
 何あれ!  めっちゃカッコいいっ!!

「ふむふむ」

 流石はノワール。
 あれがカッコいい美人の態度ってやつか……私も見習わなければ!

「もぐもぐ……あ~ん!  んん~っ!!」

『……ほっぺにケーキのクリームをくっつけて何言ってるんだか』

 煩いぞ!
 べ、別にクリームなんてつけて無いし!

『うん、思いっきりついてたけどね。
 高速で拭っても無駄だよ』

「ぅ……」

 そ、そんな事より!  ほら!  あれ見て!  あれっ!!

『必死だね』


「本来ならばレフィー様を貶めた脆弱で愚かで醜い人間の皆様は皆殺しにするところですが……私達の目的は皆様を皆殺しにする事ではなくアレス公国を滅亡させる事。
 そして……」


 ノワールがスッと前方に。
 首都である公都マルスの中央に聳え立つ荘厳な王城に向けて手を翳し……

「黒滅の祝福」


 パチンッ!


 軽く指を打ち鳴らすと同時にノワールから漆黒の魔力の波動が広がって瞬時に公都の上空を駆け巡って、波動に触れた王城が漆黒に染まり……音も無く塵となって崩れ去る。


「皆様の犯した罪を自覚させ、絶望と恐怖を齎すこと」


 その現実離れした光景に、誰も唖然と目を見開き。
 息も忘れて呆然と崩した王城と、それを成した黒髪の美女を眺め……


「ですが……我らの神にして至高の御方であるレフィー様の御命令を邪魔する愚者は容赦なく殺しますし……」

「「「「「「「「「「っ!!」」」」」」」」」」


 その微笑みに。
 ココロの、魂の根源から恐怖を感じさせる凄惨な、殺意の篭った邪悪な、それでいて誰もが見惚れる妖艶な微笑みを息を呑む。


「ふふふ、一度でも。
 かつて卑劣な者共によって処刑されたレフィー様を一度でも貶め、嘲笑った者は生きている価値も無いゴミ」

「死ねっ!!」


 ノワールの背後に突如として現れた全身を真っ白な鎧に身を包んだ金髪の男が魔力を纏わせた剣を振るう。
 常人なら認識すらできない速度で振り抜かれた神速の剣はノワールの首を刎ね……


「なっ!?」


 飛ばせるわけもなく。
 振り向く事すらなく指一本で受け止められた金髪の男が驚愕の声を漏らす。


「邪魔が入りましたが、ちょうど良いですね」

「がぁっ!」


 ノワールの操る魔素に捉えられて空中で身動きが取れなくなった男が苦悶の声を上げ……


「ぎゃあ!  や、やめ……ギャァぁぁっ!!」


 男の悲鳴が静まり返った公都マルスに鳴り響く。
 バキバキッと音を立てて白い鎧がひしゃげ、腕が、足が捻れて折れ曲がる。


「そのようなゴミは、この者の様に恐怖をその魂に刻み込み……命だけで無く、魂を消滅させて差し上げましょう」


 その瞬間。
 血塗れになりながら絶叫を上げていた金髪の男の全身が弾け飛び。
 その肉片が、真っ赤な血が公都に降り注いだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。 しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。 相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。 そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。 無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

娘の命を救うために生贄として殺されました・・・でも、娘が蔑ろにされたら地獄からでも参上します

古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
ファンタジー
第11回ネット小説大賞一次選考通過作品。 「愛するアデラの代わりに生贄になってくれ」愛した婚約者の皇太子の口からは思いもしなかった言葉が飛び出してクローディアは絶望の淵に叩き落された。 元々18年前クローディアの義母コニーが祖国ダレル王国に侵攻してきた蛮族を倒すために魔導爆弾の生贄になるのを、クローディアの実の母シャラがその対価に病気のクローディアに高価な薬を与えて命に代えても大切に育てるとの申し出を、信用して自ら生贄となって蛮族を消滅させていたのだ。しかし、その伯爵夫妻には実の娘アデラも生まれてクローディアは肩身の狭い思いで生活していた。唯一の救いは婚約者となった皇太子がクローディアに優しくしてくれたことだった。そんな時に隣国の大国マーマ王国が大軍をもって攻めてきて・・・・ しかし地獄に落とされていたシャラがそのような事を許す訳はなく、「おのれ、コニー!ヘボ国王!もう許さん!」怒り狂ったシャラは・・・ 怒涛の逆襲が始まります!史上最強の「ざまー」が展開。 そして、第二章 幸せに暮らしていたシャラとクローディアを新たな敵が襲います。「娘の幸せを邪魔するやつは許さん❢」 シャラの怒りが爆発して国が次々と制圧されます。 下記の話の1000年前のシャラザール帝国建国記 皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません! https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/129494952 小説家になろう カクヨムでも記載中です

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

処理中です...