上 下
243 / 436
第14章 悪魔姫の復讐・姫騎士編

243話 正体は既にバレている!

しおりを挟む
 話が脱線してる……私が人見知りとか、別にどうでも良いじゃん!
 こちとら長旅で疲れてるんだし、早くふかふかベッドにダイブしてゆっくりしたい。
 ここは、どうにかして話を本筋に戻さなければ!!

『いや、長旅って』

 黙れ邪神!

『……』

 どうせ、長旅じゃ無くてさっき馬車に転移したばかりとかしょうもない事を言おうとしたんだろうけど。
 その話は既にさっき一回やってんだよ!  ほかに何か無いわけ? 

『何か私に対して辛辣すぎない?
 はっ!  ま、まさか……反抗期っ!?』

 うるっせぇよ!  無いならそこで黙って見てろ!!

「こほん」

 よし、咳払いで注目を集める事には成功した。
 シルヴィアのせいで人見知り属性を付けられちゃったし、今のカティラ達の私に対する印象は人見知りの超絶美少女。

『自分で言っちゃうんだ』

 ……とにかく!
 ここはビシッ!  キリッと決めて、私の威厳ある姿をカティラ達に見せつけてやらねば!!

「カティラ。
 雑談は終わりにして本題に入りたい」

 ふっ、どうよ?
 カティラ達には正体を明かすつもりは無いけど、ナメられるわけにはいかないからな。
 ここで牽制しとかないと!

「これは申し訳ない。
 長旅で疲れているでしょうし、早速本題に入りましょう」

 そうそう、もうちょっとでお昼だし。
 早くお昼ご飯を食べて、私には怠惰に惰眠を貪るっていう崇高な日課があるのだ!

 本格的に話を詰めていくのは明日で、今日の目的は顔合わせだし。
 ぶっちゃけ、面倒な事は早く終わらせたい。

「じゃあ、リーゼも座って」

「「「っ!!」」」

 ギルドマスターであるカティラと、副ギルドマスターのジン。
 そして、壁際で控えていた新人受付嬢が驚愕に目を見開いて息を呑む。

 まっ、その気持ちも分からなくは無いけど。
 ふっふっふ~、この私を誰だと心得る!  私が気付いていないとでも?
 茶番に付き合ってあげていただけなのだよ!!

「えっと、レフィー様?  何の事でしょうか?」

 いや、アレだけハッキリと反応しちゃったのに流石にそれは無理があるでしょ。
 まっ、そっちがその気なら良いだろう!  私の口から新人受付嬢の正体をバラしてやる。

「リーゼ・スパーダ。
 ヴァリエ騎士王国で唯一の大公、代々剣聖を輩出するスパーダ家の一人娘。
 そして現騎士王、姫騎士フェリシアと国内では唯一肩を並べて双璧をなす強者」

 6年前の大戦時。
 当時私と同い年の12歳にしてフェリシアは既に次代の騎士王候補として名高く、ヴァリエ騎士王国でも一二を争う実力を誇こっていた。

 そんな床に臥せっていた前騎士王に代わって国を守るべきフェリシアが、何故勇者と共に魔王討伐の旅に出れたのか。
 それはフェリシアに代わってヴァリエ騎士王国を守護した陰の英雄の存在があったからに他ならない。

「現剣聖、リーゼ・スパーダ」 

 単純な剣術ではフェリシアを凌ぐ程の実力者。
 騎士王を決定するための戦いではかなり白熱した。
 まぁ、結果は僅かに魔力量で勝り、魔王討伐の旅で多くの実戦経験を積んだフェリシアが僅差で勝利を収めたけど。

 ここヴァリエ騎士王国でフェリシアと並ぶ強者にして大公家の御令嬢と、大物である事は間違いない。
 尤も!  そんなフェリシアとリーゼよりも私の愛弟子であるエレナの方が強いけど!!

「っ!  何故その事を……」

「ふふふ、新人受付嬢リーゼ・スパーダ。
 早く座ったら?」

 今日の顔合わせは今回の発案者……って事に表向きはなってるアクムス王国サイドの私達と、カティラ達冒険者ギルド。
 そして、ヴァリエ騎士王国陣営の顔合わせなわけだし。

 私達は過去最速でAランク冒険者に上り詰めたって事で結構有名だし。
 受付嬢に扮して私達を見定めようとでも考えてたんだろうけど……ふっ!  この私の目は騙せない!!
 だって魂も思考も覗けちゃうし、ステータスすら見れるからな!

「こほん、じゃあ本題に……ここヴァリエ騎士王国で開催予定の闘技大会の話に移る!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。 しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。 相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。 そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。 無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

娘の命を救うために生贄として殺されました・・・でも、娘が蔑ろにされたら地獄からでも参上します

古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
ファンタジー
第11回ネット小説大賞一次選考通過作品。 「愛するアデラの代わりに生贄になってくれ」愛した婚約者の皇太子の口からは思いもしなかった言葉が飛び出してクローディアは絶望の淵に叩き落された。 元々18年前クローディアの義母コニーが祖国ダレル王国に侵攻してきた蛮族を倒すために魔導爆弾の生贄になるのを、クローディアの実の母シャラがその対価に病気のクローディアに高価な薬を与えて命に代えても大切に育てるとの申し出を、信用して自ら生贄となって蛮族を消滅させていたのだ。しかし、その伯爵夫妻には実の娘アデラも生まれてクローディアは肩身の狭い思いで生活していた。唯一の救いは婚約者となった皇太子がクローディアに優しくしてくれたことだった。そんな時に隣国の大国マーマ王国が大軍をもって攻めてきて・・・・ しかし地獄に落とされていたシャラがそのような事を許す訳はなく、「おのれ、コニー!ヘボ国王!もう許さん!」怒り狂ったシャラは・・・ 怒涛の逆襲が始まります!史上最強の「ざまー」が展開。 そして、第二章 幸せに暮らしていたシャラとクローディアを新たな敵が襲います。「娘の幸せを邪魔するやつは許さん❢」 シャラの怒りが爆発して国が次々と制圧されます。 下記の話の1000年前のシャラザール帝国建国記 皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません! https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/129494952 小説家になろう カクヨムでも記載中です

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

はぁ?とりあえず寝てていい?

夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。 ※第二章は全体的に説明回が多いです。 <<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

処理中です...