上 下
102 / 436
第5章 悪魔王国編

102話 第一回魔国会議

しおりを挟む
 悪魔王国ナイトメアが首都。
 これまた国名と同様に知らない間に首都の名称が決定されており。
 それが私の名前だと判明して徹底して断固抵抗した結果。

 妥協に妥協を重ねて最終的に採用された私の名前を語呂的に読みやすいように組み換えた〝首都フィーレ〟の中央に聳え立つ白亜のお城の最奥。

 不本意ながら定着してしまった大魔王の名に相応しく、豪華絢爛ながら品が良く厳かな空間。
 この限られた者しか立ち入る事の許されない空間の中央に設置された長細い円卓の最奥に鎮座する玉座に腰掛け……

「ではこれより、第一回魔国会議を開始する」

 魔国の、この大陸の支配者。
 大魔王に相応しい威厳ある態度で厳かに、そしてカッコよく言い放った!!

 ふっ、我ながら完璧!
 今この場にいる全員が私の凄まじくカッコよく威厳ある姿に畏れと尊敬の念を抱いている事は確実!
 この瞬間を!  威厳あるカッコいい私を演出するために半日もかけて特別会議室を作り込んだ甲斐があったわっ!!

『いや、ぶっちゃけ、子供が張り切ってる微笑ましい光景しか見えないんだよね……』

 今何か言った?
 あまりの完璧さに私とした事が、思わず自画自賛しちゃってたわ。

『いや、何も言ってないよ』

 ふ~む、怪しい。
 怪しいけど……今は気分が良いから細かく追及するのはやめてやろう。
 ふっふっふ、威厳あるカッコいい私の懐の深さと広さに感謝するが良い!!

『うん、そうだねー』

 さて、本当はもっとこの感動に浸っていたい所だけど……そう言う訳にもいかないか。
 何たって私はできる女!  

 仕方ない、本当に仕方ないけど、真面目にお仕事を頑張らないとね!!
 てな訳で司会進行のシルヴィアさん!  お願いしますっ!!

「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。
 ではまず最初に各代表者の方から簡単に自己紹介をお願いします」

 この場所に集まった面々は旧四魔王の勢力の中でも高い地位にある存在。
 言ってしまえば我が悪魔王国ナイトメアにおける重鎮達。

「では、私から。
 竜都ドラゴニアの代表を務めさせていただきます、アーグベルです。
 以後お見知りおきを」

 大陸の四方に存在する四大都市。
 グランが支配地であった大陸南西部の竜都ドラゴニアからはアーグベルやミランダ、メアリーといったお馴染みの6人。

「ふふふ、では次はワタクシが。
 お初にお目にかかります、ワタクシの名はセシリアと申します。
 以後よしなにお願いしますわ」

 血王ミリアこと、今は私の眷属であるミリアーナが治めていた大陸北西部の血都ヨルからはグラマラスな美女を始めとする美形揃いが合計4名。

「じゃあ次は俺ですね。
 どうも初めまして、鬼人のバランです。
 若輩者ですが、よろしくお願いします」

 北東部に位置する鬼王ヴィゴーレが治めていた鬼都ヴィ・ゴーレからは鬼人の細マッチョとスレンダー美人が2人ずつの計4名。

「では、最後は私ですね。
 今回、死都の代表を務めさせていただくドレイクと申します。
 皆様、よろしくお願いします」

 そして大陸南東に存在する死王ゲヘディが治めていた死都モールデスからは、ぱっと見既に死んでいる不死者とはとても思えない騎士風のお兄さん達が5人。

 取り敢えず四大都市の代表者に来てもらってるわけだけど……一つだけ言いたい事がある。
 何で全員が会議室に入ってきた時にまるで私を神の如く崇めたの!?

 いや、まぁ確かに神に至ったけどさ。
 全員偉いんだよ?  ぶっちゃけ王侯貴族みたいなもんなんだよ?
 まぁ貴族制度を導入するつもりはないけど……とにかく!  お願いだから面と向かって崇めないで!  恥ずかしい!!

「ありがとうございます。
 では早速本題に入らせていただきますが、今回皆様に集まっていただいたのは、我ら悪魔王国ナイトメアの今後の方針をすり合わせるためです」

 おっと、危ない危ない。
 司会進行はシルヴィアがやってくれるとはいえ、会議に集中せねば!!

「もう既に皆様ご存知かとは思いますが。
 我ら悪魔王国ナイトメアの国家方針は外界……人間国家との国交の樹立。
 そして勇者を始めとする数名及びアルタイル王国の滅亡です」

「1つ質問してもよろしいでしょうか?」

「構いませんよ。
 セシリアさん、どうぞ」

 流石はグラマーな美女!
 軽く手を挙げただけでおっぱいがボインって揺れたっ!!

「それが我らが王にして神であらせられるレフィー様のお考えならば意見などあろうはずもありません。
 しかし、何故たかが人間の国如きを?」

 うんうん、セシリアの疑問は尤もだ。
 そもそも、クソ勇者やアルタイルの事は私の私怨だし、あんまり無関係な皆んなを巻き込みたく無いんだけどなぁ。
 シルヴィア達は協力するって言ってくれてるけど……とりあえず事情を説明する必要があるかな。

「それは私から説明」

 とりあえずこの場にいる全員に私の記憶を付与して……っと、これでよし!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

弓使いの成り上がり~「弓なんて役に立たない」と追放された弓使いは実は最強の狙撃手でした~

平山和人
ファンタジー
弓使いのカイトはSランクパーティー【黄金の獅子王】から、弓使いなんて役立たずと追放される。 しかし、彼らは気づいてなかった。カイトの狙撃がパーティーの危機をいくつも救った来たことに、カイトの狙撃が世界最強レベルだということに。 パーティーを追放されたカイトは自らも自覚していない狙撃で魔物を倒し、美少女から惚れられ、やがて最強の狙撃手として世界中に名を轟かせていくことになる。 一方、カイトを失った【黄金の獅子王】は没落の道を歩むことになるのであった。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。 しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。 相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。 そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。 無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

娘の命を救うために生贄として殺されました・・・でも、娘が蔑ろにされたら地獄からでも参上します

古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
ファンタジー
第11回ネット小説大賞一次選考通過作品。 「愛するアデラの代わりに生贄になってくれ」愛した婚約者の皇太子の口からは思いもしなかった言葉が飛び出してクローディアは絶望の淵に叩き落された。 元々18年前クローディアの義母コニーが祖国ダレル王国に侵攻してきた蛮族を倒すために魔導爆弾の生贄になるのを、クローディアの実の母シャラがその対価に病気のクローディアに高価な薬を与えて命に代えても大切に育てるとの申し出を、信用して自ら生贄となって蛮族を消滅させていたのだ。しかし、その伯爵夫妻には実の娘アデラも生まれてクローディアは肩身の狭い思いで生活していた。唯一の救いは婚約者となった皇太子がクローディアに優しくしてくれたことだった。そんな時に隣国の大国マーマ王国が大軍をもって攻めてきて・・・・ しかし地獄に落とされていたシャラがそのような事を許す訳はなく、「おのれ、コニー!ヘボ国王!もう許さん!」怒り狂ったシャラは・・・ 怒涛の逆襲が始まります!史上最強の「ざまー」が展開。 そして、第二章 幸せに暮らしていたシャラとクローディアを新たな敵が襲います。「娘の幸せを邪魔するやつは許さん❢」 シャラの怒りが爆発して国が次々と制圧されます。 下記の話の1000年前のシャラザール帝国建国記 皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません! https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/129494952 小説家になろう カクヨムでも記載中です

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

処理中です...