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第2章 勢力拡大編

31話 進化しなかった

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 まぁ、色々と言いたい事はあるけど。
 とりあえず……何故に加護の欄に、私が記載されちゃってるんですか!?
 えぇ?  マジで謎なんだけど?

 加護なんて与えた記憶もなければ、思い当たる節も全くない。
 そもそも公爵令嬢時代に教わった内容によると、加護とは上位存在が生物としての格が下の存在に与えるモノ。

 確かにシルヴィアは私の眷属だけど、ぶっちゃけシルヴィアと比べたら私なんてただの雑魚なんだよ!?
 種族名からも明らかだし!
 誰がどう見てもシルヴィアの方が格上なのに……謎だわ。

「如何なされましたか?」

「これって……」

「レフィーお嬢様の御加護ですね!
 私にレフィーお嬢様の御加護が宿っているなんて……ぐふふ……」

 えぇ、何でそこで恍惚そうな顔をして、自分の世界にトリップしちゃってんの?
 しかも、ぐふふって!  あの礼儀作法にも鬼のように厳しかったシルヴィアが淑女にあるまじき笑いを……!!

『悪魔ちゃん、目を見開いてどうしたのかな?』

 本当に一々からかって来るなコイツ。
 邪神とは言え仮にも神のくせに、バカなの?  暇なの??

『まぁまぁ、そう怒らないで。
 せっかく可愛い顔をしているんだから、ね?』

 うぜぇー。
 途轍もなくウザい、とにかくウザい!
 もうコイツは無視だ。

 シルヴィアもまだ自分の世界から戻って来てないし。
 優雅に朝ご飯を食べながら、悪魔族デーモンの序列についての考察を……

『悪魔ちゃん、キミは何か忘れてないかね?』

「忘れてる?」

『そう、私は神。
 つまり、加護についての知識も当然持っているのだよ。
 シルヴィアがキミの加護を持っている理由。
 それは、悪魔ちゃんが原初の悪魔だからだよ』 

 えっと……ちょっと意味がわからないんだけど?

『確かに悪魔ちゃんは悪魔デーモンで、シルヴィアは最上位悪魔アークデーモン
 種族としての序列はシルヴィアの方が上だよ?
 けど、それ以前にキミは原初の悪魔。
 つまり、種族の序列以前に悪魔ちゃんは、言ってしまえば全ての悪魔達の神のような存在なのさ』

 それはいくら何でも流石に大袈裟じゃ……

「その通りです!!
 レフィーお嬢様は、我ら悪魔の頂点に君臨するお方!  我々にとっての神なのですっ!!」

 そ、そうなんだ。
 ま、まぁとにかく!  私が悪魔族デーモンにとっての、神のような存在である事はいいとして。
 それでも、シルヴィアに加護を与えた覚えは一切無いんですけど?

『そもそも悪魔ちゃん自身が、悪魔ちゃんを見守るように漂っていたシルヴィアの魂に無意識に干渉して、シルヴィアを眷属として召喚したんだよ?
 大好きなシルヴィアに無意識のうちに、加護を与えていても不思議じゃ無いよ』

「っ!!」

 だ、大好きなって!?

「あら、真っ赤になってしまわれて。
 ふふふ、そこまでレフィーお嬢様に思っていただけただけで、私は嬉しゅうございます」

 ぬぅ……何で今に限って、自分の世界にトリップしないの!?
 うぅ、恥ずかしくて顔を上げられないっ!
 いつの間に移動したのか、頭を撫でられてるから余計に恥ずかしいぃっ!!

 お、落ち着け!  落ち着くんだレフィーよ!!
 何事も冷静になる事が大事!  そ、そうだ、こんな時は違う事を考えるんだ。
 よし!  とりあえず最上位悪魔アークデーモンについて鑑定して……

「か、鑑定……」



 最上位悪魔アークデーモン
 文字通り、最上位に位置する悪魔。
 悪魔の序列は最下級・下位・悪魔・上位・最上位となっており、最上位悪魔アークデーモン以上の悪魔は爵位を有する。



「……」

 うん、まぁ、何と言うか……とりあえず落ち着いたわ。
 思わぬところで悪魔の序列がわかったし、爵位とか何か新しいワードも出て来たけど……とにかく冷静にはなれたわ。

「ではレフィーお嬢様。
 朝食も済みましたし、一度帰ると致しましょう」

 えっ?  本当だ。
 トレント達の魂がいつの間にか無くなってる……って事は、今日のおやつは……

「ふふ、ご安心下さい。
 この通り、ちゃんとお菓子用の魂はとっております」

 おぉ!  流石はシルヴィア!!

「では、失礼いたします」

 むぅ、何故に一々抱っこするんだろう?
 転移するのに別に抱っこする必要は無いと思うんだけど……まぁ良いか。
 それよりも、今日のおやつ!  楽しみだなぁ!!

「あっ」

「如何なさいましたか?」

「うんん、何でもない」

 そう言えば、今日は進化しなかったな。
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