9 / 11
第一章
オレがこの世界に呼んだ
しおりを挟む✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼
頭の中に白いもやのようなものが
広がっている。
朧気な意識のまま、
声が頭に流れ込んでくる。
【ハナ…ハナちゃん】
ん…?先ほどのイケメンの声だ。
ぼんやりしながら、
心の中で問いかけてみる。
なんで私の名前知ってるの?
【オレがこの世界に呼んだから】
私はまだ夢を見ているようだ。
きっと頭を強く打って
悪い夢を見ているのだろう。
そろそろ覚めてほしい。
【これは夢じゃない】
夢に決まってるでしょ!
こんな意味不明な状況。
一気に感情がせきを切ったように溢れ出した。
【………】
返事はなく、
声の主は黙り込んでしまったようだ。
早くこの夢から覚めたい!
あなたが原因なら戻して
【アルファン王子】
え…?
ふと思考停止した。
ここ最近、何度も頭の中で呟いた名前。
【救いたいんだよな?】
うん!!!そりゃもちろん
朦朧とする意識の中、
全身に力を込め勢いよく頷いた。
【だからこの世界に連れてきた】
は?
【その願いを叶えるためにハナを呼んだ】
は?え…?
頭の中に疑問符が飛び回る。
どうゆうこと?!
【そうゆうことだ】
意味わかんない!!
全く説明になってない。
【ハナの救いたいって気持ちが強すぎた。
だからこの世界の扉が開いた。】
そりゃ、毎日お祈りはしてたけど…。
そんなことって現実に有り得る?
信じろって言われて、
すぐ受け入れる方が無理があるんでんdてすが。
【まあ、ハナが受け入れられなくても、
この物語はどんどん進む。
アルファン王子を救うか救わないかは
キミ次第だ】
ドクンッ…
心臓が強く脈を打った。
ウソみたいな話…
信じていいの?
でも、もう既に有り得ないことが
現実に起きている。
夢かもしれないけれど。
ドッドッドッ…
心臓を打つ音がどんどん速くなる。
目を開けようとするが、
どうしても瞼が重く思い通りに動かない。
【君にある能力を授けた。
先程のように強く祈ると
その力は発動する】
ほう…
【だが、ゲームのシナリオを変えようとするその力の反動は大きい…。
これは先に言っておくが、
堪えがたいほどの試練が
キミに襲いかかるだろう。】
言いにくそうに、声が少しかすれている。ゴクリと唾を飲み込んだ。
【それでもキミは頑張れるかい?
助けたいが、
僕ができることはここまでなんだ。】
堪えがたい試練とは?
今までの私のいじめられっ子人生も
散々なものだったが、
それ以上なのだろうか。
【逃げるなら今のうちだ。】
その瞬間、カッと目が開いた。
「逃げるもんか!!そんなの受けてやろうじゃないの!!!」
気づいたら大声で叫んでいた。
フッとかすかに笑う声が聞こえた。
【そう言うと思ったよ。僕の代わりに、サポート役をつけておく…君を導いてくれるだろう】
パァァァッ…
フラッシュがあり視界を真っ白に遮る。
【姿は現せないけど、
ハナをずっと見守ってるよ…】
静かな声が耳元で優しく溶け、
深海に沈んでいくように、
声が遠くなってゆく。
まだ、その声を聞いていたいのに。
またどこからからかメロディが聴こえ、
深い、深い眠りへと誘われた。
✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
侯爵令嬢の置き土産
ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。
「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。
変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ
奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。
スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな
婚約破棄ですか。ゲームみたいに上手くはいきませんよ?
ゆるり
恋愛
公爵令嬢スカーレットは婚約者を紹介された時に前世を思い出した。そして、この世界が前世での乙女ゲームの世界に似ていることに気付く。シナリオなんて気にせず生きていくことを決めたが、学園にヒロイン気取りの少女が入学してきたことで、スカーレットの運命が変わっていく。全6話予定
悪役令嬢ですが最強ですよ??
鈴の音
ファンタジー
乙女ゲームでありながら戦闘ゲームでもあるこの世界の悪役令嬢である私、前世の記憶があります。
で??ヒロインを怖がるかって?ありえないw
ここはゲームじゃないですからね!しかも、私ゲームと違って何故か魂がすごく特別らしく、全属性持ちの神と精霊の愛し子なのですよ。
だからなにかあっても死なないから怖くないのでしてよw
主人公最強系の話です。
苦手な方はバックで!
婚約破棄は踊り続ける
お好み焼き
恋愛
聖女が現れたことによりルベデルカ公爵令嬢はルーベルバッハ王太子殿下との婚約を白紙にされた。だがその半年後、ルーベルバッハが訪れてきてこう言った。
「聖女は王太子妃じゃなく神の花嫁となる道を選んだよ。頼むから結婚しておくれよ」
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
そして乙女ゲームは始まらなかった
お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。
一体私は何をしたらいいのでしょうか?
完 あの、なんのことでしょうか。
水鳥楓椛
恋愛
私、シェリル・ラ・マルゴットはとっても胃が弱わく、前世共々ストレスに対する耐性が壊滅的。
よって、三大公爵家唯一の息女でありながら、王太子の婚約者から外されていた。
それなのに………、
「シェリル・ラ・マルゴット!卑しく僕に噛み付く悪女め!!今この瞬間を以て、貴様との婚約を破棄しゅるっ!!」
王立学園の卒業パーティー、赤の他人、否、仕えるべき未来の主君、王太子アルゴノート・フォン・メッテルリヒは壁際で従者と共にお花になっていた私を舞台の中央に無理矢理連れてた挙句、誤り満載の言葉遣いかつ最後の最後で舌を噛むというなんとも残念な婚約破棄を叩きつけてきた。
「あの………、なんのことでしょうか?」
あまりにも素っ頓狂なことを叫ぶ幼馴染に素直にびっくりしながら、私は斜め後ろに控える従者に声をかける。
「私、彼と婚約していたの?」
私の疑問に、従者は首を横に振った。
(うぅー、胃がいたい)
前世から胃が弱い私は、精神年齢3歳の幼馴染を必死に諭す。
(だって私、王妃にはゼッタイになりたくないもの)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる