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第一章
夢なら覚めて…!
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「助けて! 誰か! 誰かぁぁあ…!!!」
悲痛な叫びが耳に届く。
なんとかしないと…
ただならぬ事態に頭が真っ白だが、
それだけは感じた。
キョロキョロと辺りを見渡す。
ここには私しかいない。
でも私の身も危ない…。
ポタッと足元に雫が落ちた。
涼しいはずの森の中なのに、
汗が止まらない。
ふと視線を下に向けると、
見たことも無い花が目に付いた。
そういえば、改めてよく見ると
虫も鳥もどこか変だ。
ぶわっと嫌な汗が吹き出るのがわかる。
もしかしたら…
どこかもわからないこの土地は、
とんでもなく危ない場所なのかもしれない。
穏やかな風がサワサワと葉っぱを揺らし、
ひらりと葉が地に落ちた。
口に当てた手指が、
自分の意思とは関係なく小刻みに震える。
「いやあああぁ…誰か!!!誰かぁ!!
助けてぇぇっ…!!!」
泣き叫ぶ声に体がビクッと震え、
反射的にギュッと目を瞑った。
目の前にどんな恐ろしい光景が
広がっているのだろう。
想像するだけで、足がガクガクと震えた。
なんとかしないと、
なんとかしないと。
でも、どうやって?
『はぁ…はぁ』
呼吸が浅くなり、
心臓の音がうるさいくらい耳に響く。
警告サインのように全身も激しく震え、
身体が思い通りに動かない。
足に力が入らず、その場にしゃがみこみ、
両腕で自分を抱きしめるようにした。
もう抑えきれない。
ぽろぽろと涙が溢れてくる。
『ヒック…なんなのよこれぇ…』
どこかもわからない場所に来てすぐに、
目の前で人が殺されようとしているなんて。
『もう意味わかんない…
夢なら早く覚めて…ヒック』
すすり泣きながら、
手に汗握って強く強く祈った。
パアァ…ッ
するとその瞬間、光が飛び散った
『眩しっ…』
視界が不透明な光に満たされていく。
途端、意識が遠のき、そこからは記憶がない。
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