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الفصل ٣「あなたがCEO ⁉︎」
②
しおりを挟む「マミコさん、実はアブダビも、Natural pearls有名でした」
——へぇ、そうだったんだ。なんだか親近感♪
「……日本がCultured pearls、作るまでは」
——え゛っ⁉︎
「日本のCultured pearls、安いから世界じゅうで売れました。アブダビのNatural pearls、売れなくなりました」
——ま、まさか……
日本の真珠王が始めた養殖真珠の所為で、アブダビの天然真珠産業が斜陽になった……とか?
心なしか、ムフィードさんが苦笑している。
あたしは真っ青になった。そして、このような名前を付けた我が両親を心底恨んだ。
「え、えっと……ムフィードさん、今の私の『真珠』の件……ミスター・マーリクに訳しました……よね?」
だって、明らかにマーリク氏の目力に威力が増してるもん。思いっきり、あたし、ガン飛ばされてるもん。
「はい、訳しました」
——訳す前に、教えてよーっ!
「マスター・マーリク、失礼しました。なにぶん、彼女はたった今東京から赴任したばかりで……」
林室長がすかさずフォローに入ってくれる。心の中でスライディング土下座だ。
——うっ、室長、着任早々に申し訳ありません……
「السيد هاياشي يقول "نحن آسفون جدا"」
早速、ムフィードさんが通訳する。
「لا يبدو أنها تعرف الكثير عن بلدنا」
だが、マーリク氏はあたしに向けて放つ眼光鋭い眼差しをいっさい緩めることなく、
「ذا كانت تحب اللؤلؤ كثيرًا ، فسأسميها لؤلؤة」
と告げた。
「إن شاء الله」
ムフィードさんがマーリク氏に応える。
——ま、まさか……着いて早々、担当を外されるんじゃ……⁉︎
「マミコさん、彼はあなたを『真珠』と呼ぶ、言ってます」
——はぁ……⁉︎
「ルールゥ」
マーリク氏があたしに向かって言った。
「アラビア語で真珠、『ルールゥ』言います」
ムフィードさんが補足する。
——えっ、そうなの?
「ルールゥ」って呼び名、なんだかかわいい……と、思った矢先——
「Get out of here immediately.」
マーリク氏がよく響く低音の声で告げた。
——へっ?……『この場から、とっとと失せろ』?
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