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الفصل ٢「アブダビに到着!」

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   アブダビ国際空港に着いた。
   成田から直行便を出しているエティハド航空で、約一三時間のフライトだった。日本から向かうときは偏西風ジェットストリームに逆らって飛ぶため時間が掛かるのだ。

   アブダビに本拠地を置くエティハド航空は、アラブ首長国連邦の国営の航空会社だ。経由地トランジットとして利用されることも多く、アジアとヨーロッパを結ぶ中継ハブ空港としての機能を果たしている。

   早速、入国審査を済ませると、あたしは機内持ち込みした無◯のインド綿帆布のトートバッグから(海外に出るときは、こんな何の変哲もない無地のバッグが最適だ)スマホを取り出した。
   そして、会社が契約しているアラビア語通訳のオフィスへ電話をかける。

   何回かのコールのあと、
『…Hello?』
と、相手が出た。男の人の声だった。

「Hello.」
   あたしは英語で相手に返した。
「This is Mamiko Miura from Nagasawa Real Estate Co., Ltd. May I speak to Mr. Mufiid? I’ve just arrived at the airport.」
〈(株)長澤不動産の三浦 真珠子まみこです。ムフィードさんをお願いしたいのですが。たった今、空港に到着しました〉

『This is he.』
〈私です〉
   ムフィードさん本人が電話に出たようだ。彼がうちのプロジェクトチームの通訳だと聞いている。

『Welcome to Abu Dhabi,Ms.Miura. I'm glad you arrived safely. 』
〈アブダビへようこそ、三浦さん。無事に到着されて何よりです〉


゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚


   その後、これからムフィードさんが車で空港まで迎えに来てくれることになった。
   空港近くのマスダール・シティに、うちのプロジェクトチームのオフィスも彼のオフィスもあると聞いている。

——時差ボケってほどでもないけど、眠気がしてきたらイヤだな。コーヒーでも飲んで待ってるかな……
   今のあたしは日本との時差分、五時間ほど過去の時間に戻ったことになる。

   あたしはトートバッグを肩に掛け直した。G◯◯gle mapをググったスマホを左手に持つと、右手でハン◯プラスのスーツケースをがらごろ引っ張りながら、空港エリアから出てショッピングエリアを目指すためにゲートへと向かった。


   アブダビ国際空港内のショッピングエリアを歩く。アラベスクというのだろうか、壁面や天井などにやたらとダイナミックな幾何学模様が目立つ。

   そうこうしているうちに、C◯STA COFFEEを見つけたので入ることにした。イギリス発祥の世界的チェーンで、日本でも最近見かけるようになってきたカフェだ。
——あ、最近コンビニとかで飲料メーカーと提携したペットボトルが買えるようになったんだっけ?
   カフェラテよりエスプレッソの量が少し多いという「フラットホワイト」を選んで、あたしは窓際のテーブルに移った。


   窓の外を行き交う人たちを眺めながら、フラットホワイトを飲む。

   男性はスーツを着たビジネスマンの人たちもいるけれど、カンドゥーラという真っ白な貫頭衣の民族衣装の人も歩いている。
   女性はやはりアバヤという真っ黒な貫頭衣の民族衣装が目につく。アバヤはごく薄い生地らしく、実はその下には欧米人と変わらない服を着ているそうだ。

——あぁ、あたし……ほんとにUAEに……アブダビに来ちゃったんだなぁ……

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